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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シーズンレビュー 8

※この記事にはネタバレが含まれています。また記事の感想は個人的な意見です。

 

 

 

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S19 E05  「Toad and the Whale」

脚本:ヘレン・ファレル

内容:打ち上げられた子クジラを救出するためトードは策を練る。

 

【高評価点】

・トードの正義感の強さ、優しさ、頭の回転の速さ、おおらかで楽天的な思考や、オリバーの自己肯定意識、疑り深さ、調子に乗りやすいさま、影響を受けやすい性格など2台の全ての性格がふんだんに活かされている。

・チョイ役ながらもベルとフリンの利点が活かされている。

・子クジラを載せて走る際のオリバーの編成。

 

【低評価点】

・何故近場であるはずのアールズバーグ港でクジラを降ろさなかったのか。(※ブラフズコーブはダックの支線にあるという設定でありその最寄りの港はアールズバーグである)。※ソルティーとクランキーが良いアクセントになっていたので良し。

・ロッキーのアームが固定されていないにも拘らず何事もなかったかのように出発するトーマスと、彼の役割。「みずにつかったダック」でジェームスが得た教訓とロッキーが慌てたさまは何だったのか…

 

【その他小ネタなど】

・トード主役回。

・冒頭と終盤で「I do like to be beside seaside」を歌うトード。

・のんびりしていて滑舌が悪いため歌唱力はお粗末。

・打ち上げられたクジラはシロナガスクジラの子供と思われる。

・トードの意見をかたくなに信じようとしない調子こきオリバー。

・このエピソードのみフリンのアクターがグレン・ウレッジに変更。

・水タンク貨車、テレビシリーズ初登場。(玩具からの輸入?)

・警察官、S11以来の再登場。

・エミリーの客車、S16以来の登場。

・水タンク貨車の両数が増えているシーンがある。(CGミス)

 

 

 

【このエピソードについて】

 エピソードを見る前の出来事は最も印象強く残っています。DVD『Whale of a Tale & the Other Sodor Adventures』のメインディッシュとして表表紙にプロモが大きく飾られていました。あの記事にも記載した通りトードが大好きなのでものすごく楽しみでしたが同時にそろそろオリバーに準主役級のスポットライトを当ててほしいと言及しました。前期で2度も主役になっているので正直「またおまえか」と思った方も多いかと思われます。しかしいざ蓋を開けてみれば…

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砂浜に打ち上げられた小さなクジラを放っておけない心優しいトードがなんとか救出しようと、自分らに出来ることはないか計画を練るといったドラマチックで心温まるエピソードです。ブレーキ車、または機関車とクジラは一見何の関係もないが彼の名案によって協力できてるという一工夫が素晴らしい。

控え目に言って最高。前期ではほとんどわき役だった相棒オリバーも準主役級の立場。いつもの夫婦漫才を見ることができます。ぜるさんとしては大満足。

 

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今回初登場したクジラは色的にシロナガスクジラの子供でしょうか。砂浜に打ち上げられ元気がないどころか炎天下で今にも死にそうなぐらい弱っている。これまで数々の動物に関するエピソードがありましたが、生物が死に至るぐらい弱るのと、鉄道車両が生物の命を本来の意味で救うのはこれが初ですかね。*1歌などクジラならではのネタもあり、なおかつ動物保護のお手本にもなる大変良いコンセプトです。 

 

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今回はキャラクターの扱い方が本当に上手です。(例によってトーマスを除く)。

主人公のトードも勿論のこと、今回最もうまかったと思ったのはベルですね。現実味がないキャラクター第2位とも言えるあのベル。消防車両の2台は消火活動ではなくクジラの生を保つために呼び出されます。貨車に降ろされるまでの水かけはフリンが担当し、駅から港まではベルが並走しながら水をかけて進む。 火事ではないのに自分の個性をフル活用しこんなにも大活躍している姿は今までにあっただろうか。

オリバーの扱いも上手でした。元々調子に乗りやすい節とか、S06以降から見られる、大人しいけど自分または自分より偉い者の言う意見が正しいと思い込んでる自己肯定的な部分だとか、「僕らが何とかしなくても彼らに全てまかせておけばいい」(「他者の仕事にちょっかいを出すな」のようなニュアンス)とかそう言った少し表現しづらい、彼の最も人間味のある性格が自然な感じで活きていました。こうして見ると彼が一番人間らしいのかもしれませんね。

近年無駄に"グレート・ウエスタン談・自慢"がうるさいダックも今回は意味をなしていましたね。S18で頻繁に見られた無理やり感はなかったです。他にもレスキューチームやクランキー、ソルティーも良いアクセントでした。

 

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クジラを運ぶ際のオリバーの編成はリアルで素敵でした。重いものを運ぶ時はどの国でもブレーキ車を挟みますから。それに加えてトードが後ろ向きであることの利点も活きている。この主役がトードで本当に良かった、物語のキーがクジラで本当に良かったと心から思いました。

 

 

【チェックポイント】

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S18「いしきりばのトーマス」でも流れた『I do like to be beside seaside』を呑気に朗らかと歌うトード。その歌声はダック曰く騒音。そこがトードの可愛いところ。

彼の歌好き設定はこの回が初ですが、楽観的な性格の彼にはぴったり。 

 

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S17, S18で何故か頑なに出てこなかったエミリーの客車がようやく再登場。やっぱりエミリーの客車と言えばこれだろう。

 

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警察官も再登場。ブッチが救出しようとするシーンでは写真を撮る野次馬を抑える姿も確認できます。後に『SLOTLT』でも登場していますね。

 

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 全体的に会話から日常感があふれ出ていて本当に好きです。支線上でのGWRトリオによる日常的会話は久しぶりですね。

 

【日本語版について】

いつか

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリティ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆+0.5

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

相変わらず主役になれないほぼ無個性オリバーですが今回は出番も多く、彼を暖かく見守る相棒的存在感が前期に比べ圧倒的に強くて嬉しかったです。

まだまだ語りたいこと評価したいことは山ほどあります。トーマスとロッキーのような少々不満な点もあったけど口うるさい僕のように細かく観なければほとんど気になりませんし、運用を除けばトーマスだって良いアクセント。そして何より不要なショットが無いというのが大きな点だろう。鉄道事業の利点も活用されていましたし、道徳的で、数ある動物系の中で最も素晴らしい心温まるエピソードでした。脚本のヘレン・ファレルさんに万歳。

 

総合評価:10/10

*1:近いもので原作42巻「Thomas and the Swan」のけがをした白鳥があります。