※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S22 E03 『Confusion Without Delay』『おくれてないけどこんらん』
脚本: デヴィー・ムーア
内容: 新入りのレベッカは他の機関車に負けないよう何事も早く働こうとする。
テーマ: 誰でも失敗から学ぶ
【高評価点】
・「時刻表を守る事の大切さ」「仕事は競争や大会ではない」
・個性が強く将来性のあるレベッカの性格。
・ゴードンとスコッツマンの兄弟煽りの進展。
【低評価点】
無し
【このエピソードについて】
失敗から学ぶのはいつものような流れですが、今までのシリーズで見た事のないユニークかつ鉄道作品として申し分ない、教育的で良いエピソードでした。私の知る中(イタリア放送分を含む)で最良と思った物の一つです。
新入りのレベッカがトーマスの発言を鵜呑みにし他の(凄い)仲間に負けないよう可能な限り全力で働こうとした事で、遅れるどころかとにかく行動が早すぎて不本意にお客を横取りしたり線路をふさぐなど邪魔になってしまいます。ハット卿さえも「混乱と遅れが生じた」といういつもの決め台詞を発せない状況になって面白かったです。何故なら遅れは出てないんですもの。鉄道の時刻表に従うのって大事ですね。
前回の続きになりますが割とあっさりしています。前回のニアのように扱い方への違和感や押しつけがましい描写もなく本当に自然でした。また『TGR』の小ネタも多く盛り込まれていて楽しかったです。特に機関庫でのニアによるなかまたち紹介シーンは過去作の色んなネタがあって賑やかでしたね。
問題ではありませんが、この7分の尺の中でレベッカのゆったりとした紹介の後に上記の物語もギュッと詰め込まれているので、まるで彼女の行動の如くペースさえも速く、初見時は少し私もハット卿のように混乱しました(苦笑)
今回のファンタジー・シークエンスはレベッカの思う他の仲間たちへの印象や憧れ、価値観等を表すものとして非常に良い表現でした。彼女がどんなに追いかけても遠くて及ばない存在、だけどもレベッカはその強大な印象を前に留まらず、自分が出来る限りの事をやろうという強い心構えを持っているところにすごく共感します。
今回のエピソードから初登場し、ヘンリーの代わりにレギュラー入りしたレベッカ。知ってる鉄道ファンも多いと思いますがモデルになった機関車は悪名高いウェスト・カントリー及びバトル・オブ・ブリテンで、実際の機関車と同じように急行旅客列車をゴードンと交互に牽引します。
私がユニークと感じたのはその流線形の見た目のみならず、他の誰にもない性格の個性の強さ。黄色いボディーはモリーを連想させられますがお姉さん的存在の彼女と異なり、レベッカは若い機関車として描かれます。精神的に若いキャラクターはパクストンを始めこれまでたくさん出ていますが、自分の能力を過小評価する癖のせいか限度がわからず不本意にぶつかったり、古くからいる機関車の言動にも物怖じしません。態度は決してフリーダやジェニーさんのような男勝りではなく、暖和で清楚な感じです。
例えば今回のディーゼルとの対面では、からかわれても怖気づくことなく言動をそっくりそのまま返す面白い流れがありました。また、その時のレイチェル・ミラー(UK/US版レベッカの声優)の悪戯げな演技にも注目してください*1。
このほか、各々の仲間の事を聞いて印象づけたり、調和に奮闘して間違いを犯すなど子供との共通点の多い性格なので視聴者からの共感を得やすいのではないでしょうか。
そしてフライング・スコッツマンとゴードンの、有名でプライド高い同士の兄弟煽りが再び見れた事も嬉しく思います。『TGR』以降の2台の絡み方は原作の雰囲気と大きく異なるものの私はこの共感を多く得られる瞬間が好きです。地位の高い身内には逆らえないのだ…
(※本来の設定ではスコッツマンの方が弟ですが)。
何より特筆すべき点はレベッカのおかげでこの2台との会話に進展があった事でしょう。彼女の干渉によってゴードンは自分の味方が出来たと思い救われたのです。前回取り乱したのがまるで嘘のように彼はレベッカを心から受け入れ物語は無事ハッピーエンド。よっぽどスコッツマンのねちっこい自慢に悩まされていたのでしょう。
今はレベッカとゴードンの新しい物語や会話が観たくてたまりません。
【チェックポイント】
ヘンリーの異動先のヴィカーズタウン機関庫では前作でボディカラーを変更したロージーと一緒でした。この2台で展開する話も用意されているのでしょうか。
私はヴィカーズタウンを拠点に働くようになったヘンリーの物語を期待しますが、その前にちゃんと合理的な理由を聞かせてください…。いつまで経っても納得いきません。
全体的な面白さ:☆☆☆
鉄道らしさ:☆☆☆
キャラ活用:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆☆
道徳教育面:☆☆☆
【最終的な感想】
前回のお話に9点を付けましたが未だにモヤモヤが残っているのが正直なところです。その理由はニアの導入に関する押しつけがましい扱いなのだろうと思います。今回のレベッカの導入は自然に受け入れられました。それは共感しやすいところにあるのかもしれません。そのキャラクター性に大きな魅力を感じます。物語もただ一つヘンリーの異動理由が明確でないことを除いて、大変素晴らしかったです。
私はこれから長い年月をかけてレベッカの成長を見守るのが楽しみです。
総合評価: 10/10
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*1:日本語吹替え版では異なる可愛さがあります。