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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第8回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E08 『Thomas and the Monkey Palace』『トーマスとサルのきゅうでん』

脚本: ベッキー・オーバートン

内容: トーマスはココナッツの配達中にサルの宮殿へ寄り道する。

テーマ: 伝えようとしていることに注意を払おう

 

【高評価点】

・インド人にとって無くてはならない必需品ココナッツも題材の一つ。

 

【低評価点】

・サブタイトル名の場違い感。

・無意味なファンタジー・シークエンス。

・人為的な演出の数々。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 つまらなかった。スリーストライクではないものの内容の大まかな流れはS8-11にかなり近いと感じました。けれどもトーマスの性格活用や構成に若干の工夫が施されていたため前回と前々回よりは面白いです。演出が人為的で現実味は薄いですが、環境によって人語を学ぶであろうサルを活用したのは良かったです。私はこの話から『サルを見下さないでね』というメッセージが込められているように感じとることが出来ます。

サブタイトルは『Thomas and the Monkey Palace』とありますが、焦点に充てられている物はサルと不足したココナッツですし、サルの宮殿はただ背景かつ一場面のみ、舞台はヤシの木が生えているサルの溜り場でした。ゆえにサブタイトルは場違いに感じます。また、宮殿への興味からサルへの興味にすぐ移り変わるため、『シン●レラ』みたいなファンタジー・シークエンスもほぼ無関係と言っても過言ではありません。

 テーマは物語と合致していますが、以前のシリーズで飽きるほど使われてきましたし、新鮮味は薄くてインド回でやる必要が感じられません。そして結末はあまりにも性急でした。

 

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©Mattel

  ココナッツの在庫が尽き、炎天下でお客さんがバテる描写はリアルで良かったです。勿論状況はよくないけど。インドのような熱帯地域では食用ココナッツ(ウォーター)は生活必需品と言っても過言ではないほど身近な存在で、水分補給として日常的に飲まれているのだそうです。屋台で1個約40円で売られているほど。

 これも文化の一環ですので、トーマスのナレーションとアニメーションだけでサラッと流れただけなのが残念。どうせならココナッツがどれほど重要かを焦点に当てたお話も見たかったです。例えばインド人にとってココナッツは機関車の水と同じくらい重要、そんな感じで鉄道と絡めたエピソードも不可能ではないはず

 

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©Mattel

 このパターンも3回目になりますがラジブは本当に面白い性格です。悪気は無くてもあまりに正直なのでトーマスに対して失礼な言動を吐いた後、気を遣って言い直したのが面白かったです。しかもトーマス不機嫌そうだし(笑)


 一方で、南インド担当のアシマどころか、ヌール・ジャハーンやシャンカールさえ一切出てこなかったのが残念です。とっても

 

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©Mattel

  彼らが出ない代わりに、既存キャラの色替えモブキャラクターが物語に関与したことが驚きでした。灰色ヘンリー。映画『地球まるごとアドベンチャー』では西アフリカ、タンザニア、ブラジルでも出てくるように世界各地にいるよねコイツ。

映画と同様に顔は写らないし、喋ることもありませんが、初めて影響を及ぼす役割がありました。なんと平然と山盛りのココナッツを轢いてそのまま走り去っていきます

…シュールすぎる。しかもあれだけ積まれてて脱線しないんだぜ?

 

 色替えのモブキャラクターは、恐らくモブ用の現地車両のCGモデルを作る時間と予算が足りなかった為に流用した産物なんだと思います。(イメージ的にはたぶんこれ)。

エドワードやヘンリー、ジェームスのモデルになった機関車*1は数多く量産された機関車ではありますが、彼らは特別ソドー島で働くようにトップハム・ハット卿好みに改造(デフォルメ)が施されておりデザインとしては唯一無二の存在のはず*2なので個人的に一番やってほしくなかった流用なのですが、世界観で考えると、”世界各地にも別のソドー島と別の『きかんしゃチョメチョメと仲間たち』がある”と、解釈するのが自然かも。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

  背景のみに出てきた「サルの宮殿」。恐らくモデルになっている場所は噴水と壁の形から察するにインド、ラージャスターン州ジャイプルにある、ガルタ寺院ではないかと思われます。通称「ガルタのサル寺」。観光地にもなっており現地の人が神聖な場所として訪れたり、多くの観光客が賑わう中で、今回の物語のようにサルが沢山出没することで有名です。他にもウシやイノシシなどの多くの動物が共存しているそうです。

※ガルタ寺院は太陽神を祭るヒンドゥー寺院です。

 

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©Mattel

 『Thomas Goes to Bollywood』でもちらっと姿を見せました、新キャラクターのチャルバラ。インドの鉄道の局長です。シリーズ初の女性局長と云う事で昨年10月14日の初報で大々的に取り上げられていました。メディアによってCharubalaだったりChurubalaだったり表記ゆれがあってどれが正しいのかわからないけどトーマスの発音からすると前者なのかな?

性格の方は…わからないです。

 

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

  今週は3話連続でトーマスが異文化を学ぶお話でしたが、どれも退屈でひどかったのが率直な意見。お浚いのテーマや国連のSDGsと掠っていないばかりか、動物の扱いに縋って特有の作風も失われています。制作陣は「子供の為」と発言していますが、これでは単に物語に力を入れていない事の言い訳に過ぎません。子供騙しもいいところ。

 さて、インド回も残すところあと1話なのですが、未だにアシマとヌール・ジャハーンに大きな役割が与えられていないことが心配です。(シャンカルは次回出番があります)。中国回ではみんながそれぞれバランスよく役割がありましたが、こちらはどうでしょう。余程扱いやすいのか殆どがラジブです。本当に4話だけで足りるのでしょうか?

 

総合評価: 4/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:ファーネス鉄道 K2クラス『ラージャー・シーガル』、ロンドンン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道 スタニエ・クラス5『ブラック・ファイブ』、ランカシャー・アンド・ヨークシャー鉄道 28クラス

*2:トーマス、ゴードン、パーシーも同様です。