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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第5回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E03 『Heart of Gold』『トビーのなかみはゆうかん』

脚本: マイケル・ホワイト

内容: 怪しい二人組が計画を練る中、トビーはお城の観光客に心無い発言をされる。

テーマ: 外見だけで判断してはいけない

 

【高評価点】

・トビーの勇敢さなどのキャラ活用。トビーとはどんなキャラクターかを具体的に描いた事や、活躍させた事が良かった。

・感情移入しやすい教訓。

・SLOTLT並みの白熱な追跡劇。

 

【低評価点】

無し

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 トビーは本当に長い間、彼の性格に適切な一人称の主役回を殆ど持っていなかったと私は思っています。第5シリーズ辺りからずっと神経質か臆病な性格で描写され、ヘンリエッタが主要キャラクターとなって以降、話によっては更に悪化していました。

(※そんな中、S19『デンとダートはいいコンビ』や、S20『トビーとフィリップ』は貴重でした。私はまだ後者のレビューを投稿していませんが、それは素晴らしいエピソードの一つです)。

今回のエピソードでは、長らく観ていなかったトビーの大胆な部分を観ることが出来て本当に嬉しいです。最初は乗客から心無い言葉を浴びせられて悲観的になってしまいますが、緊急時に自分の判断で勇気を示しました

もっとも、トビーなら心無い発言を浴びせられたとき怒りそうなもんだけど、以下の理由で許してしまいました。

 

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©Mattel

  テーマ内容はテレンスやウィフなど、過去作から何度も使われてきた教訓です。前回のグスターボのお話も記憶に新しいですね。同じような教訓ですが、このような間違いを犯したのが機関車だけではなく乗客と云うところがミソ。展開も大きく異なります。

人を見かけで判断することは、ごく普通の事。その人の本質を見抜くのは第一印象からでは難しいからです。だからと言って心無い発言をしてもいいというわけではありませんが、言われた本人が誰かの役に立つ行動を起こせば、その印象は大きく変わり、生き抜く力を得ることが出来ます。

我々視聴者側からすれば、トビーが心から傷ついていることを容易に確認できるし、本人がその容姿でいることを望んでいない場合にどう思うか、発言する前に相手の気持ちを考える余地があることを、子供たちはこのエピソードで発見できると思います。

ジャム・フィルドのアニメーションによる感情表現が光り輝いていますね。人格が整っているテレンスやウィフは、小馬鹿にされても気にしませんでしたから、判りやすいことでしょう。

  また、グリンの使い方も良かったです。普段からコーヒー・ポットと呼ばれている為あまりこういう印象は薄いと思いますが、ダックやゲイターなどと違って、彼はそのあだ名を誇りにしていません。でも、それはそれと分別していることがこのエピソードで判明し、物語上で教育者の役割を担っています。

伯爵やミリーもトビーに暖かくてほっこりします。彼らは本当に良い仲間です。

 

 余談ですが、マイケル・ホワイト本人の弁によれば、元々は『トビーのうた』の歌詞から肖って『Oldies but Goldies』というサブタイトルにする方針だったそうですが、こちらも上側のお達しで却下されました。長くてタイトルで展開が判ってしまうからでしょうかね?

 

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©Mattel

 『KOTR』冒頭で語られたゴッドレッド王の金の王冠伝承と同じように、鉄道が発達したこのご時世にも王冠を盗もうとする泥棒が現れます。タイトルコールの前に彼らの存在を示唆する描写があり、それがサブプロット兼引き立てになっています。本人らは全くの不本意ですけど。

終盤の『SLOTLT』並の追跡シーンは必見です。トビーのように地味で遅くても、こんなにかっこいい映像が出来ようとは…! 手漕ぎトロッコやポイント切り替えなど鉄道らしさは勿論*1、落ち着いた性格ゆえに近年目立った活躍の無いトビーが輝く瞬間を与えた事こそ大きな価値があると私は思います。

伝承と同じように再び王冠が盗まれなくて本当に良かったですね。彼はまさにウルフステッドの勇敢な騎士です! \キャーキャー/

 

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©Mattel

 トビーを主観に置いた物語の合間に、泥棒たちが王冠の在り処を聞きだしたり、移動手段を発見する場面が挿入されるところが好きです。 

 

 そういえば、BWBAシリーズでは初の、物語にトーマスが一切登場しない回ですね。今期はS22と異なり、彼が全く登場しない回が多いです。トーマスが世界へ飛び出してる間のソドー島が描かれているようで好きですが、その反面、彼がナビゲーターなのが不思議なんですよね(苦笑)

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

  冒頭の場面。何気にウルフステッド城全体の地図がこういう形で判明したのは大きいと思います。城内のアーチ状の部分(トーマス、パーシー、ジェームスの3台が重い貨車牽いて立て直してた場所)、全然映りませんね。

 

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©Mattel

  恐竜パークの恐竜模型はボタン式で動いていることが判明しました。ここの場面、暗いですが、よく見るとヒゲの泥棒が自分の肘でスイッチを無意識に押しています。

なんだかんだで恐竜パークもよく出てきますね。S18の頃は今後のシリーズに使われるかコレ? とか、伯爵の趣味以外の何物でもないだろ、なんて思ってたのに、今回は特に重要な役割を果たしていました。防犯にもなるなんて素晴らしいです。

 

ところで、この泥棒たち、トロッコを漕ぎ始める時に名前(テディとベンorケビンと思われます)を呼び合っているようなんですが、クレジットではそれぞれ「A Thief」という表記で名前はありませんでしたので定かではありません。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:PERFECT

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:AMAZING

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 最初に観たときは「ふーん、シンプルだなー」と思っていましたが、観返しているうちにだんだんと良さがわかってきて、文句なしの満点です。

エンディングのRoll Callでまだ歌詞に居るにも拘らず、一応レギュラーから外れたトビーが、前期のエドワード*2に引き続き、このご時世に活躍の場を設けてくれたことに感謝します。特にトビーは推しの一人なのでとても嬉しいです。いつも素晴らしいエピソードをありがとうございます。

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:バールのようなものに乗り上げて片輪走行するのはさておき

*2:マイケル・ホワイト執筆回『Hunt the Truck』