※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S23 E15 『First Day on Sodor!』『はじめましてダーシー』
脚本: ベッキー・オーバートン
内容: 新しい重機のダルシーは仲間から歓迎されず落ち込むが、ニアが励ます。
テーマ: 新しい場に定着するのは時間を要する
【高評価点】
・アドバイスの役割をニアが担っている事。
【低評価点】
・ダルシーが用地に降りた直後の空白は少しじれったい。
【このエピソードについて】
新しい仕事場に馴染むまでには少し時間がかかりますよね。そう、周りの誰も新参者の有用性を知らないのですから。
新しい重機の仲間ダルシーの物語は今期2つあり、導入の今回ではダルシーの特技がどのようなものかを示すもの。"新しいキャラクターが自分の特技を活かすまで馴染めない事を心配する"、定番の物語です。中盤からの展開はS6『ハーヴィーのはつしごと』とほぼ一緒で、ダルシーは新しいですが私にとって新鮮味はありませんでした。
けれども、彼女の指導者が当たり障りのないトーマスではなくニアだったのは新鮮でした。ニアもソドー島に来たばかりだし、彼女が来島時と機関庫に入るまでの間の出来事がどうだったのかはわかりませんが、移住者であり歓迎された身であるため、より意味があると思います。
物語のペース配分はかなり良いです。が、中盤のくだりに少し違和感を覚えました。
何故ジェニーさんがトンネル掘削の為にダルシーを呼び寄せたのに、唐突にオリバーとアルフィーによる掘削が始まるのでしょうか。かわいいけど。
それから、ジャックたちが後述のロード・フィニッシャーの空想を思い描く場面の前にダルシーが自分の用途を(彼らの目の前でではないが)ニアに伝えている事で少し退屈に感じさせられました。
カットの順序も考え物ですが具体的にどうしたらよかったのかはわかりません。
特技語りに夢中になってドリルを不用意に動かしてしまったところは一種の失敗として良かったです。一歩間違えれば笑えないことになりますが、これはダルシーだからこその失敗です。
というわけで、またまた重機に新しい仲間が加わりました。トンネル掘削機のダルシーまたはダーシー。発音はどっちでもいいので判断しかねますが、きっと吹替え版では後者のダーシーなんだろうなと思います。
従来のパッカード商会の誰よりも未来的なデザインです。それもそのはず、彼女のモデルとなったのは1989年に設立した中国のXCMG社製のトンネル・ボーリングマシンです。ロードヘッダーEBZ-200とXTR260を組み合わせたようなデザインで、これらは2008年頃から現在も生産されています。もしこの物語が70年代を意識しているのならば、とんでもないオーパーツです(笑)
英米版の声優はハリエット・カーショウ。なんとジェニーさんと同じです。
不器用だけど、たとえ信用されていなくても気にせず最善を尽くす活気にあふれた性格です。この話でのダルシーは先ほども言ったように能力に重点を置いており、彼女の本当の魅力は『Deep Trouble』で描写されます。
バイザーを降ろし「Aim and twirl!」の掛け声をあげ、自由自在に動かせるドリルと下の回転する装置で硬い岩山をいとも簡単に掘り進める彼女の姿は勇ましくてクールですね。仕事は限られているかもしれないけれど、彼女の導入によって『きかんしゃトーマス』は新しい時代を築くことでしょう。
上記のように彼女は不器用です。巨体であり、岩を一瞬にして切り崩すドリルを何度か不用意に振り回す場面が多くてヒヤヒヤします。(笑) でも次に登場するエピソードでは安全第一を守っているので、それも一緒に学ぶと、より良かったかもしれません。
いや、寧ろ触れない方がいいのか?
【チェックポイント】
クランキーに吊り上げられている時に大きく揺れるのが好きです。それを避けるカーリーも。恐らくドリルのある方と無い方で重さがアンバランスなのだろうと思います。だとしたら、良い擬人化です。明らかにオペレーターの所為ではないですし。
この謎の機械は、ジャックたちが想像した"すごい"重機、ロード・フィニッシャー。まるで人みたいに歩いて道路を作っちゃう"すごい"重機。今回の空想シーンは、見てわかる通り、『ターミネーター』シリーズのパロディです。自らを「Road-nator」と名乗る上、ご丁寧に「I'll be back」とか言い出しちゃう。(苦笑)
やっぱりトーマスで大衆文化のパロディや台詞を聴くのはとても奇妙に感じます。なんでしょう、彼について思ったことを言い表すのが難しいです。…もちろん悪い意味で。
全体的な面白さ:☆
鉄道らしさ:☆☆
キャラ活用:☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆
道徳教育面:☆☆
【最終的な感想】
個人的に少し退屈だった事もあってか、この記事を書くまでダルシーに対して苦手意識がありました。でも魅力に気づき、今では色んな可能性に期待しています。
以上です。
総合評価: 6/10