※この記事にはネタバレが含まれています
S17 E19 『The Missing Christmas Decorations』 (きえたクリスマスのかざり)
脚本:アンドリュー・ブレナー
内容:クリスマスの飾りを盗むディーゼル10を追いかけてディーゼル整備工場についたパーシーは、2年間放置され続けているシドニーに会う
【高評価点】
・初登場時からあまり出番がなかったシドニーの経緯について触れられている。
・パーシーとシドニーだけでなく、準主役のパクストンやディーゼル10他、ほとんどエキストラな蒸気機関車たちやディーゼル機関車たちまでの性格がちゃんと活かされているし、心情・表情も必見。
・時速約80km/hで走れるディーゼル10の性能が生かされている。それを上回ることのできるゴードンがパーシーによって遮られているのがなんとも笑える。
【低評価点】
・話の都合上仕方ないが、小型機のパーシーやパクストンが本線を軽く制覇しているのがなんというか…。
【その他、面白かった点や小ネタ】
・パーシーとシドニー主役回。全体的に『ディーゼル10の逆襲』っぽい。
・クリスマスツリーに飾られるディーゼル機関車型の飾り。
・外灯にまでリボンが飾られる。
・さすがのパクストンも蒸気機関車ばかり優遇されていることには腹立たしい様子。
・存在に気付いてもらうためか、ディーゼル10たちに冗談や文句を言うシドニー。
・ディーゼルの小物感。
・ディーゼル10の企みに無理やり参加させられるパクストン。
・ティッドマス機関庫からクリスマスツリー、イルミネーション、ガーランドを盗むディーゼル10。
・パーシー「みんなに親切にしてプレゼントを贈りあうのがクリスマスでしょ」
・なぜか未登場のデン。ダートのみ単独登場。
・さりげなくハッピーフックにも飾られている。
・ひとつ前のシーンではいなかったヘンリーが突然次のシーンで現れる(CGミス)。
・シドニーを"Twinkle toes"と呼ぶディーゼル10。この呼び名は『魔法の線路』以来久しぶり。
・シドニーにイルミネーションライトを雑に飾り、彼を無視して騒ぐディーゼルたち。
・目上のディーゼル10の計画の手伝いを断る勇敢なパクストン。
・さらに小物化するディーゼル10。
・久々にティッドマス機関庫まで来るディーゼル10。
・演出上仕方ないが、ディーゼル10が転車台から降りる線路が前のシーンと次のシーンで異なっている(CGミス)。
・パーシーが汽笛を鳴らして走り去るシーンの側線には何もなかったのに、次のシーンで貨車とブレーキ車が出現(CGミス)。
・ガーランドを盗むディーゼル10を目撃するパーシーのシーンから、蒸気機関車たちが一斉にディーゼル整備工場に押しかけ、パーシーとトーマスが前に出てディーゼル10と対立するまでの流れはまさしく『ディーゼル10の逆襲』。
・島のやや東方面に集中する蒸気機関車たち。
・ジェームスのテールランプが消えているシーンがある(CGミス)。
・エドワードがいるはずの位置にトーマスがいる(CGミス)。
・車止めがあるはずの場所からパクストンが出現(CGミス)。
・ゴードンとヘンリーの位置が入れ替わっている(CGミス)。
・物語を微妙に左右させるノーマンとパクストン。
・一斉にディーゼル整備工場を出ていくパーシー以外の蒸気機関車たち。
・シドニーに気遣い、車輪の修理をしてもらえずほっとかれてるシドニーを気の毒に思い、彼に新しい車輪をプレゼントする優しいパーシー。
・パーシーへの恩返しとしてディーゼル整備工場の飾りも持ってくるシドニー。
・なぜかディーゼル10、ディーゼル、ダートまでついてくる。前者2台は笑顔だが、ダートは嫌そうな顔で機関庫を見渡している。
・ディーゼルの顔がでかくなっているシーンがある(CGミス)。
・序盤でヘンリエッタと共にティッドマス機関庫周辺にいたり、ディーゼル10の追跡に参加していた割に、ティッドマス機関庫のクリスマスパーティーに参加していない仲間外れのトビー。
・「(ディーゼル整備工場の飾りがなくても)僕と新しい車輪があるから大丈夫だよ。それにこれ(自分に巻き付けられたイルミネーション)もね!」と案外ポジティブなシドニー。
・最後の流れ星の演出は素敵。
まさかまさかのディーゼル10登場。これまで何度か長編に出てきたけど、TVシリーズではこれが初登場!考えることは『ディーゼル10の逆襲』の時とあまり変わりません。
初登場の『ディーゼル10の逆襲』では登場したシーンが3つしかなく、台詞は笑い声のみで名前も呼ばれることなく存在にも触れられていなかったシドニーが、2シーズン越えてようやく登場!しかも今回は突然の主役回。彼の行方を心配していた僕にとっては嬉しい回。
【感想】
(いまさらですが、S18が始まる前にはやっておきたいので)
冬エピ3話目!この回はとんだサプライズでした。なんとまさかのディーゼル10がTV初登場!最初はネタ切れが近いのかと思ったけど、ディーゼル10もなかなか濃いキャラ、長編だけではもったいないと判断したのでしょう。これからTVでも彼が働く姿が見られると思うと楽しみです。ただ、長編限定の特別感はなくなりますが。
ソドー島はもうすぐクリスマス。駅や機関庫では飾りつけされ、みんなとても楽しそうだ。そんな中ディーゼル整備工場(以下DW)には飾りがあまり届いていない。ディーゼル機関車たちは不満たらたら。あのパクストンでさえ、蒸気機関車たちが優遇されてばかりなのにも不満のようだ。そこへぶら下がって宙に浮かぶシドニーが「僕はどうだい?クリスマスの飾りみたいでしょ」と冗談を。来ましたねシドニー、長編第6作と同じ場所で車輪がないままぶら下がってます。どうやら車輪が届かず放っておかれている様子。シドニーの冗談を聞いてみんな大笑い。しかしディーゼル10に受け流されてしまう。ディーゼル10は何かを計画しているようで、パクストンの忠告を無視して彼と一緒にある場所へ。
その夕方、蒸気機関車たちはある異変に気付く。ティッドマス機関庫からクリスマスツリーが消えているのだ。ツリーがあった場所には植木鉢と、ツリーの葉っぱや飾りが転がっている。朝はあったのに…と戸惑うトーマスたちに、勘の鋭いエミリーが「盗まれたのかも」と察知。
彼女の言うとおり、ディーゼル10は、仕方なくついてきたパクストンと共にティッドマス機関庫からクリスマスツリーを盗んできたのだ。「俺らもこんな風になりたい」じゃなくて「憎い蒸気機関車たちから奪っちゃえ」思考だからたちが悪い。でもそれはディーゼル機関車にも愛がほしいという嘆きから生まれてやったもの。そう考えるとディーゼル10って可愛いですね。蒸気機関車をバラバラにしようとしたり、整備工場を占領して騒ぐよりはよっぽどマシ。一応改心はしてるんだなぁ。ピンチーを使ってツリーを壁りよりかかるように設置。
イルミネーションやツリーの上に飾る大きな星も必要だとディーゼル10が楽しそうに言うと、シドニーが「ツリーの上にぶら下がってるよ!」と声をかけ、ディーゼル10は彼を星に見立てるシーン…。ここでディーゼル10はシドニーに対し、"Twinkle toes"と呼んでます。そう、『魔法の線路』でディーゼル10がMr.コンダクターに対して呼ぶ愛称、いわゆる"キンキラ野郎"です。日本語版では残念ながら"キラキラ星さん"と訳されましたが、原語版を見てる方々にはファンサービスと言えるものではないでしょうか。(でも日本を除けば海外では『魔法の線路』は酷評でしたけどね… 僕も少し苦手です)。
次の日の夕方、蒸気機関車たちはまた異変に気付いた。今度は機関庫に飾られてあったイルミネーションがなくなっているのだ。どうなってるんだとみんなが騒ぐ中、「クリスマスは親切にしてプレゼントを贈りあうはずなのにどうしてこんなことするんだろう」と考え込むパーシー。その翌日、彼はある行動に出ます。
その頃、DWではイルミネーションを飾って大盛り上がり。しかし、そのイルミネーションはツリーに飾るではなくシドニーの車体に適当に被せただけ。さっきまで冗談で笑いを振りまいていたのに、自分が本当に飾りになると面白くなさそうに真顔になるシドニー。恐らく先ほどまでの冗談は、「早く降ろしてほしい」、「まだぶら下がってる僕に気づいて」というサインだったのかも。しかし仲間は誰一人彼を気遣ってくれない。
「ツリーにも素敵な飾りが必要じゃないか」というノーマンの発言に、ディーゼル10は機関庫からクリスマスガーランドを盗ってくることを決意。またパクストンの方を見るが、友達の物を盗む方法に嫌気がさしたのか、パクストンはディーゼル10の御遣いを拒否。そしてハット卿に言われた荷物を取りに行くためDWを抜け出す。自分より下等で若い子分にまたしても裏切られた(?)ディーゼル10、もはや小物である。それにしてもパクストンは勇気があるなぁ。(その正義感をシドニーの方にも向けてほしいのだけどw)。
パクストンが自分の手から消えてしまったので、次の日は自分一人で誰もいない機関庫のガーランドを盗みに行く。しかし、その側線にはパーシーが待ち伏せをしていた。ディーゼル10はパーシーに気付くと、ガーランドをピンチーで掴んだまま大急ぎでその場から逃走。パーシーはその後を追う。その様子を見て次々と仲間が集まっていく。
そ し て こ の 光 景 で あ る。
ディーゼル10を追いかけるスティームチーム()たち。このシーンはDOTD終盤を彷彿とさせられる、というかそのオマージュですね。しかもみんなどういうわけか島の東側に偏っており、ウェルズワースにエドワード、トーマス、ケルスソープにエミリー、そして次のシーン(上の画像)で一気にヘンリー、ゴードン、ジェームス、トビーまでもが出てきます。お前ら仕事はどうしたんだよと。しかもこの8台のうち、時速80キロのディーゼル10よりも速く走れるゴードンが、チビでのろまなパーシーに遮られているというのもまた笑えます。
そしてDWへ追い詰めます。パーシーが130km近い本線をほぼ完走しているのもすごいけど、1対8ってこれ完全にいじめじゃないか()。ツリーや飾りを返せと叫ぶ蒸気機関車に対し、「お前らはたくさん飾りを持ってるのに不公平だ」「みんなディーゼル機関車より蒸気機関車が好きなんだろう」とディーゼル10。そこへパクストンが彼を待っていたのかどこからともなく現れ、ハット卿からツリーや飾りをもらったと嬉しそうに公表。一件落着したスティームチーム()は盗まれた飾りを取り換えし、一斉にDWを出ていきます。以前ハット卿に似たような仕打ちを食らっているゆえ仕方ないとはいえ、最初にパクストンの話を真面目に聞いていればこんな大事にはならなかったのにね。ディーゼル10は反省。
一方パーシーはDWに残り、ぶら下がったまましょんぼりしているシドニーを気遣う。ノーマン曰く、シドニーはもう2年もあのままだとか。ということはつまり、DW改装後からずっとこの状態…ってこですかね、かわいそうに。きっと、何度も注文したけれど届かず、やがてその状態が普通と定着して…とか、いろいろあったんでしょうね。憶測ですが。彼をかわいそうに想ったパーシーは、ハット卿に報告。
その晩、取り戻した飾りを再び機関庫につけて、蒸気機関車たちが休んでいると、聞きなれない警笛の音が。それはシドニーだった。イルミネーションは垂れ下げたままだが、なんと念願だった車輪をつけて走行しているではないか。パーシーにお礼をしにきたようだ。自分たちに悪事を働いたディーゼル機関車にプレゼントをあげるというパーシーの行いを気に食わなそうな目で見る仲間だけど、「親切にしてプレゼントを贈りあうのがクリスマスだから」とパーシー。なんていい奴なんだろう。その意見に肯定するシドニーは「僕たちからもプレゼントがある」と、自分たちの飾りをノーマンやパクストンが運んでくる。
一緒にクリスマス(イヴ?)を楽しもうという寸法だろうか。それとも自分らの飾りをあげにきただけなのか。何気にディーゼル10やディーゼルまでいるのは何故だろうw ダートなんかめっちゃ嫌そうな顔をしてるしw でも、この7台の蒸気機関車と6台のディーゼル機関車たちは、仲良くパーティを楽しんだのであった。加勢したトビーを除いて。
【日本語版について】
S17レビューを全て公開した後に更新予定。
総合評価:8.5/10
ラストの締めは少し謎だったけど、良い話でした。今のところS17でディーゼル10が出てくるのはこの回だけですが、ぜひ今後のシリーズでも出てきてほしいところです。せっかくの進出なんだから。
次回は『まっかなおはなのトーマス』です。