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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シーズンレビュー 3

※この記事にはネタバレが含まれています。また記事の感想は個人的な意見です。

 

 

 

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S19 E03 「Lost Property」

脚本:ヘレン・ファレル

内容:鉄道調査官を乗せて走っていたトーマスはある忘れ物に気付く。

 

【高評価点】

・鉄道調査官のチェックや緊急停車装置の再利用など鉄道らしさは良し。中盤まではトーマスの支線ならではの日常風景が繰り広げられていて良い。

・各所の調査にあたってそれぞれ適応した機関車が担当している。(トーマスの支線はトーマスが、ダックの支線ではダックが、帰りの長距離はゴードン)。

 

【低評価点】

・何故かアニーとクララベルを後ろに、後退でナップフォード駅に到着するトーマス。どうやって戻ってきたんだ?

 

【その他小ネタなど】

・トーマス主役回。

・アニーとクララベルに忘れ物箱があることが判明。

・忘れ物の入れ歯のおもちゃやパドルボールで遊ぶハット卿。

・ボールがハット卿の左目に当たり、あざができた状態で物語が進行。

・常に腰が低いハット卿。

・鉄道調査官が3人から2人に減る。また、髭を生やした調査官に個性が与えられる。

・悪がきを猿呼ばわりするアニー。

・ハット卿に悪戯したり、緊急停止装置をいじるメガネの少年。

・アニーの緊急停止装置があったり消えたりしている(CGミス)。

・さっきまであかなかった窓が農場で急に開く(途中で直した?)。

・トーマスがケルスソープ駅に到着する際、車輪が微動だにしない(CGミス)。

・ネジが閉まっていないのか出発の際バウンドするアニーと急行客車。

・パドルボールで遊ぶ駅員。

・パドルボールで両目にあざができるハット卿。

 

 

 

【このエピソードについて】

  今期2つめのトーマス主役回。DVD『Whale of a Tale』の発売前、あらすじが判明する前まではどんなお話なのか想像がつきませんでした。lost propertyは直訳すると遺失物、つまり忘れ物なのですが、言葉の理解力に欠けていた僕は単語を一つずつ直訳して"失われた財産"と勝手に勘違いし、『SLOTLT』にまつわるお話なのかと思っていました。もちろん答えは遺失物です。はい。

 

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上記のとおり今回はありそうでなかった忘れ物が題材で、簡単に言えばアニーに乗っていた時間に厳しい調査官の忘れ物を見つけて急いで届けるといった内容。S18「トーマスときんきゅうじたい」のように比較的シンプルなのに鉄道創作ならではの内容で初期原作のように面白かった。満足。ハット卿のコミカルな喜劇も見もの。

トーマスの名誉である車体番号の『1』がフォーカスされたり、最初は最善を尽くそうとするも上手くいかないが最終的に独断の行動で挽回するというくだりは『TAB』や『SLOTLT』に共通していますね。(典型例ではあるが)。 

 

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S17以来の登場となる鉄道調査官。前回3人のうち常に真ん中にいた調査官はおらず二人で来島。しかも濃い性格と設定を用意されての登場。ちょび髭の調査官は気難しく時間に厳しい性格で、いつも大切な懐中時計を肌身離さず持っているようです。S17で頷いてばかりいた丸顔の調査官は細かい点もすかさずチェックを入れる生真面目な性格になりました。

かつてないほど登場時間が長く主要人物として登場した調査官たち。個性も与えられたことでより人間味が増してて良かったです。しっかりチェックを入れていて調査官らしい仕事をこなしていました。しかしS17では隅々まで調べていた様子なのに今回はトーマスとダックの支線と本線を客車に乗って一通り見て回っただけで帰還ってそれ完璧な調査になってないんじゃねえのと思うんだけど数日に亘って別の担当の調査官が来てるのだろうと勝手に解釈してます。

 

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一回で終わりそうなネタをまた違った形で活用してくれたのは勿論のこと、S01「おんぼろエドワード」のように子供の悪戯で緊急停車装置を作動させるというアイディアは面白かった。子供の悪ふざけに関しては近頃見なくて寂しかったし(?)、少なくともいつものように大人しくしているよりは自然に描かれていたので良い。罰を与えられる描写は言及ですらなかったけど…。

ハット卿は教育が下手なようです。今回は特に人柄がよく出てる。

 

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トーマスと車掌が懐中時計を返した際のちょび髭調査官の嬉しそうな表情を見てたいへん和やかな気持ちになりました。本人曰く鉄道会社に勤めて20年経過のお祝いにもらって以来大切にしている時計とのことで喜ぶ理由も充分にわかります。それだけでトーマスやアニーとクララベル、ソドー鉄道を褒め称えるあたりちょっと大袈裟な反応、ずいぶん調子の良いように思えるけど、自身の判断で他人の遺失物を返すというのは本当に大事なこと。反応から察するに本土では一度失ったら戻ってこないのだろうか。それとも単純な性格なのだろうか。ともかく、ほっこりする良いお話でした。

普段気難しい人が心底歓喜するのって好きです。

 

 

【チェックポイント】

 

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これは他のエピソードでもいえることだけど、台詞がない機関車たちの表情にも注目。トーマスが調査官に選ばれた時、親友のパーシーは嬉しそうな表情を、目立ちたがり屋のジェームスは残念そうな顔をしています。表情の拘りはアークCGの醍醐味の一つ。

 

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今回もトーマスの支線の日常風景も見どころの一つ。穏やか過ぎて退屈? いえいえ、彼の支線ならではの要素を盛り込んでいるからこそ良いのです。 

 

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CGの質はさておいて、シンプルなお話には普段なかなか見ることのできないカメラワークや演出を披露してくれるアーク・プロダクションが素敵。画像は連結器ですが、線路から見上げたアングルでトーマスの内側シリンダーを確認できます。 

 

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他人の忘れ物で遊ぶと、このように罰が当たります。『きかんしゃトーマス』では珍しい演出効果。 

 

 

【日本語版について】

またあとで

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリティ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 今回の教訓は忘れ物は見て見ぬふりをしたりお金などたとえどんなに値打ちがあってもハット卿のように遊んだりせず、持ち主を知っていたらトーマスのようにちゃんと返してあげること。トーマスの行いはある意味、(他の職業でも勿論ですが)、鉄道事業のあるべき姿でもあると思います。道徳観はバッチリ。

僕はこのエピソードが好きだし満足したのだけれど、完璧ではないと思ってます。総合評価の数字が一つ足りないとすればその理由は若干内容が薄いこと。ハット卿のギャグシーンで押しきっちゃってる感は否めない。あと前半は少しくどい。だけどトーマスとハット卿の対比は良くできていて物語自体は本当にいいお話だし心が温まった。同じく今期でヘレン・ファレル氏が執筆した「Toad and the Whale」も心温まるいいお話だったので、今後とも、キャラをよく理解している彼女脚本のエピソードに期待です。

 

総合評価:9/10