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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第14回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E14 『Apology Impossible』『あやまってよジェームス』

脚本: ベッキー・オーバートン

内容: ジェームスの意地悪にうんざりのフィリップは単線の橋で彼と向かい合ったときに道を譲ることを拒む。

テーマ: 謝罪

 

【高評価点】

・フィリップの精神面の成長、キャラ活用。

 

【低評価点】

・教訓内容。

・ジェームスの人格描写は過剰で、ややくどい物がある。

・フィリップにも問題があるにもかかわらず反省しない事。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 スカッとジャ●ンならぬ、スカッとソドー。個人的に面白かったところは殆どありませんが、かなり堅実に道徳的です。自分が悪いと思えず素直にきちんと謝罪が出来ない人は子供も大人にも居ますよね。私なんかもそうで、罪悪感を持っていても防衛的な性格かつ負けず嫌いで謝罪工程をすっ飛ばす癖があるため、改めて気づかされたものがありました。謝罪は大きさに関わらず、勝ち負けでもありません

 そして、フィリップとジェームスの関係が進行したエピソードでもあります。元々そんなに仲が悪かったようには見えませんが。臆病な性格は相変わらずで、最終的に立ち向かわず謝らせる事だけに固執して引き返してしまったけど大きい仲間に強く当たれるほど精神的に成長したフィリップを見られて満足ですし、ジェームスの行動は全て自業自得で、最後にフィリップ以外の仲間の表情に気付かせ、罪悪感を覚えさせたうえでハット卿からのお仕置きがあったのが良かったです。

 

 しかし少し疑問があります。結末は『TGR』とほぼ変わりありませんが、今回では後続列車が居たため、協力して押しのける事が可能だったはずです。謝らせるだけ謝らせてイジメから退行する事が「子供のため」の良い教育になるでしょうか。態度の悪い者を片っ端から謝らせることが解決に繋がるでしょうか?

私の経験上、それは無駄です。但し、マウントを取ったり仕返しをするのではなく、足場をしっかり固めて駄目な事は駄目と改心させることが必要です。その模範的な解答が『(ディーゼル*1 )クリスマス・キャロル』です。

そうでなければ、この回のジェームスと同じように誠意の感じられない平謝りをし、また同じことを繰り返します

 逆に言えば、ジェームスが反面教師として良く描かれていますね。

 

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©Mattel

 キャラ活用に関して、これは悪い事ではありませんが、フィリップとジェームス以外に役割のあったキャラクター達は必ずしも彼らである必要性はあまり感じられませんでした。舞台のフェンランドはエドワードの支線上ですから、時間を気にしなければトーマスである必要性は無いでしょう。やや心配性のパクストンと肯定的でお気楽なレベッカの活用は完璧ではないものの良いです。

蒸気とディーゼルの交互に並ぶ構図は好きです。

 

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©Mattel

 一方で、ジェームスの扱い方はあまりにも過剰に感じました。彼は本当に『サカナなんてこわくない』『みずにつかったダック』『はやいぞ!あかいきかんしゃ!』『An Engine of Many Colours』その他諸々での事故と教訓を経験したあのジェームスでしょうか? 私にはそうは見えません。態度だったりペンキだったりエピソードのアプローチ方法は異なるものの、ここ数年ずっと同じことの繰り返しで、昔学んだ事や、せっかくの成長を無駄にしています

ヴィニーのように元々そういうキャラなら問題ありませんが、『TAB』から続く愚かな急ブレーキ癖は更に悪化しており、フィリップに一体何の恨みがあるのか、性格も今までにないくらい特に理由も無く粗暴で悪態かつ理不尽に怒ります。ジェームスは確かに傲慢で自惚れ屋です。しかし、ただそれだけが取り柄の常識知らずなキャラクターではありません

 

 私はこの回が放送された後、Twitterで「彼の役割はゴードンである必要がある」という意見を多く見ました。しかし、ゴードンとフィリップの関係は一応S21『フィリップは68ばん』において一段落していますし、見下しと謝罪をテーマにした場合、S18『たよりになるエドワード』と被るのでそれは完全に蛇足でしょう。

ゴードンにさせるくらいなら、プライドの高いスペンサーか、意地悪なディーゼル10が必要とも考えられますが、最も、誰が適任であったかではなく、描写に問題があったと私は思います。

一方で誰よりも綺麗好きな設定はきちんと活かされていました。…いつも通り。

 

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©Mattel

  フィリップは本当に真っ直ぐな性格の持ち主で、多くのポイントを持っています。謝罪を聴くとすぐに許したり、調子に乗ってしまうところは非常に彼らしいですが、後者は全く良いところではないので、まだまだ成長の見込みがあることを示唆していると思います。また、全てフィリップの中で展開し、フィリップもまた自分の為だけに動いているところが個人的に少し厄介に思う、エピソードの弱い点の一つでした…。固執した挙句引き返して後続列車を遅らせた原因の一つでもありながら、ハット卿からのお小言は無し。S19『やっぱりやんちゃなフィリップ』とほぼ変わりありません彼にも問題があります

 

 …関係ないですが、『フィリップは68ばん』で使われたフィリップのテーマ(?)が再び使用されたことはノスタルジーなジェームスのテーマよりも嬉しかったです。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 空想は余計だったかもしれませんが、コミカルな事故描写と、さかさまに沈んでいくパクストンは私に笑いを与えました。 ピコピコサウンドの音楽も可愛いです。

 

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©Mattel

  今回でフェンランドの全貌が明らかになりましたね。結構広い。

 

 

全体的な面白さ:BORING

鉄道らしさ:☆

キャラ活用:☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:AWFUL

 

【最終的な感想】

 いずれ対話で起こるトラブルがあるであろう人々(私を含む)のための素晴らしい教訓なのですが、もう少しハット卿との対話が必要であったと思います。そことジェームスの活用さえ改善されれば、私は多少このエピソードが好きだったかもしれません。

 フィリップの変わらない行動力と成長は長いスパンで見守るとして、ひたすらに謝罪だけを押し付ける教育方針が残念でした。また、場合によってはイジメから逃げる選択も必要ですが、退くが勝ちを念頭に教え込んでも、返って自分の首を絞める事になるだけです。仲間のいるチャンスを無駄にしないでください

 

総合評価: -7/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:ベッキー・オーバートン執筆回