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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第21回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E26 『Kangaroo Christmas』『カンガルー・クリスマス』

脚本: ティム・ベイン

内容: トーマスはカンガルーに攫われたぬいぐるみを取り戻そうとする。

テーマ: いつもと違う事は悪い事ではない、クリスマスは愛する家族や友達と一緒に

 

【高評価点】

・オーストラリアのクリスマスと、それに紐づける形でカンガルーが題材。

・アイラの活用。

 

【賛否両論点】

・テーマ内容と紐づけは良いが、物語の大半はカンガルーの捜索に焦点を当てているためテーマがやや虚弱に感じる。

・カンガルーのコメディックな動き。

 

【低評価点】

・サボテンとシロアリ塚のくだりは少々ばかげている。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 ティム・ベインの書くオーストラリア回は、他のインド回や中国回とは違って、伝えたい文化や国事情を、きちんと物語の中に紐づけ織り込んでいるので好感が持てます。それは賞賛に値する事だと思います。例えば今回の題材の一つであるカンガルー性別の見分け方子供を「ジョーイ」と呼ぶ事、そしてクリックノイズで呼び寄せる説明がなされており、ただ説明として終わるばかりか、全て進行に使う鍵に繋がっています

ただもう一つ説明が必要だったと思うのは、カンガルーの袋の中は粘液で臭くてベトベトなので、ぬいぐるみの洗浄が必要と云う事でしょうか。

 

 教訓のテーマ自体は前作S21『デイジーのかんぺきなクリスマス』と全く同じです。しかし、デイジーが感じた事学んだ事とはまた別の視点から描かれています。

物語の大半はカンガルーとマデリーンのぬいぐるみに焦点を当てているのでテーマが若干霞んで見えてしまいます。けれども、クリスマスは人に親切にすることや、最終的に愛する人と時間を過ごすに至る、温かみのある話に仕上げられていますので、ポイントから完全に逸れているわけではありません。特に後者はカンガルーの親子も共通です。寧ろ、クリスマスであることはメッセージ性を強めることに繋がっています

 

 さて、何故クリスマスの話にカンガルーなのか疑問を浮かべる人も多いと思います。それは一般的にトナカイが冬の季語となるように、オーストラリアのサンタが扱うパートナーであることに由来しているのではないでしょうか。豪州のサンタはトナカイとソリを使わず、オスの白いカンガルーに引っ張ってもらう事が前提となっています。

そして物語については恐らくですが、1960年代にリリースされたオーストラリア風クリスマス・ソング『Six White Boomers』が元ネタだと思います。この歌の内容は「迷子のジョーイがお母さんカンガルーを捜しに行く」というもので、今回のエピソードと共通していますね。

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©Mattel

 冒頭で語られているように、南半球の地域であるオーストラリアは、北半球の季節とは真逆なのでクリスマスが行われる12月25日はちょうど真夏日になります。クリスマスに雪が降らない地域(南米や南アフリカなど)の人にとっては共感を得やすい物語なのではないでしょうか。

駅に飾られているクリスマスツリーの装飾も、地元の文化に合わせて爽やかな寒色系で纏められていて良かったです。

 今までトーマスは季節の認識は無かったのかという疑問が浮かびますが、恐らくシェインの巧みな言い回しを信じていたのかもしれませんね。 

 

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©Mattel

  カンガルーの捜索する為に費やした時間は『Thomas in the Wild』に非常によく似ています。しかし、今回は何事も無く見つけるのではなく、適切に利用可能なキャラクターをうまく使って進行しています。それが前回紹介したアイラです。彼女は小型プロペラ機ですので、軌道上でしか動けないトーマスの代わりに上空から見つけ出すことが出来ます。

導入して間もないとはいえ、あと何シリーズまで準レギュラーとして確立しているかは定かではありません*1が、数少ないオーストラリアのキャラクターの中でも良くやってると思います。

機関車と同等レベルの速度に落としてまでよく誘導できたなと思うけど。それはさておき、患者搬送以外の用途でも彼女が役に立った所が観られて私は嬉しいです。

 

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 来年のクリスマスに本物のカンガルーが欲しいと願うマデリン。

両親のこの反応は、子供の視聴者、大人の視聴者でそれぞれ観方が変わってくることだろうと思います(笑) 多くを語らない演出が面白い。

 

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©Mattel

 相変わらず機関庫などのセットはソドー島の建造物を流用している物ですが、シェインにとって非常に小さい上、機関車の収容スペースが2庫なのは何か理由があるのでしょうかね。

トーマスが手伝いに来る前はシェインの相棒が居たのでは、そう想像するとちょっと面白いかもしれません。 

 

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©Mattel

 これ絶対誰かが手入れしてるでしょ(笑) 似てるならともかく、完璧にカンガルーの形をしたサボテンやシロアリ塚がこんな立て続けに見つかるだろうか。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 他に言う事がありません。結構シンプルな感じでしたが、完璧ではないものの道徳的で合理的と思う部分が多かったので、私がボロクソ言ってる世界編の中でもかなり優れていると実感しました。

日本に住む私にとっても、真夏のクリスマスも斬新で面白そう。

 

総合評価: 9/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:第23シリーズでも中国、インド、オーストラリアの3か国が世界編の基礎となる予定だそうです。