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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第22回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E21 『Rosie is Red』『ロージーはあかい』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: ロージーと特別な関係とからかわれたトーマスは彼女に会う事が気まずくなる。

テーマ: 誤解

 

【高評価点】

・テーマ内容。

・ペース配分。

・トーマスとロージーの友情関係の進展。

・機関車から視たバレンタインデーの価値観を純粋な意見で的を射るパーシーを使って表現した事。

 

【低評価点】

・コメディ表現になっているが、トーマスの行動で作業員が危険に直面している事。

 

 

 

【このエピソードについて】

 この話がイタリアで先行放送された時、言語が殆ど分からない私は空想シークエンスでトーマスとロージーがキスをしたり、2台顔を合わせて頬を赤らめる場面を見て、「ゲッ…」と拒絶しました。この作品では「蒸気を出す=溜息」「水が無くなる=喉が渇く」など機関車の動きに合わせて人間のような感情を顔と人格で表現していますが、某レーシングカーのアニメ映画と違って車両等だけが築くものは無いので、愛の表現がある一線を越えた場合、私はそれが二次創作でも擁護できません。

また、原作者のウィルバート・オードリー牧師は、自分のキャラクターを子供と共通点を持つ子供のような存在としており、ロマンス表現は幼児や児童に気まずくさせるとしてあえて自粛していました。 注意: 仮にオードリー牧師がこの話を観たとしても、私達は、彼がどう感じるかを決して知る術はありません。よって代弁など以ての外です。

 

しかし、そんな不安感も、翻訳してくれた人のメモや、豪州で放送された原語版を改めて観れば、すぐに吹き飛ばされました。

何も問題は無かったからです。

レスを持ち込む自分があほらしくなりました。とっても。

 

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©Mattel

 物語の本当の目的は、男女間の友情についてのお話です。人間には愛情を伝える特別な日でも、機関車たちにとって何の変哲もない一日であるバレンタインデーに併せ、無機物の機関車を使って以下の事を伝える実行をしました。お互いを愛し合うことは勿論、互いに尊重し合って例え異性同士でも友達で居る事も可能だと。

 トーマスはロージーを擁護した事で、ビルとベンとディーゼルに友達以上の関係とからかわれてしまい、全くの不本意であることを示唆する為に出来事を隠ぺいしようとします。ターゲット層の子供たちにとっては新鮮で興味深い物となるでしょうけれど、作中で生じるこれらの「からかい」や「誤解」は、男女共学校に通った人ならば誰もが経験した事だと思うので、かなり理解しやすいと思います。

その保身行動がロージーの心を傷つけ、各々の理由でお互い避けるようになってしまいますが、状況に気付いた仲間達によってトーマスに過ちを気づかせ、最終的にコミュニケーションを取り合って解決します。

 

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©Mattel

 テーマは誤解。その本題は「他人からどう思われているか気にしない事」と、「相手に誤解されたくないのなら、問題から避けるより話し合う必要がある」ということです。トーマスにそれを教えたのが女性の大先輩であるヘンリエッタというのは個人的にポイント高いです。老夫婦の様なトビーとはいつも話し合っている事でしょうし。

個人的に今回のMVPは彼女です(笑)

 

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©Mattel

 恋愛表現についてはトーマスがちゃんと否定しています。空想の直後に「ゲェ」と強く拒絶しています(笑) また、終盤ではきちんとロージーに「好きだけど、みんなと同じくらいだ」と自分の本意を伝えられています。

ちなみにロージーはからかわれた事について殆ど気にしていませんでした。あったとしてもそれはその時だけで、寧ろ保身で行ったトーマスによって気分を害した事を解決するまでずっと嫌がっています。

 

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©Mattel

 冒頭ではエドワードによるバレンタインデーの概要と、その価値観をパーシーの台詞で聴くことが出来ます。その純粋かつ的確な台詞のサバサバした感じが実にパーシーらしいなと。特にイベントに乗じた営利に踊らされてる愚かな人間にとっては尚の事響く台詞であることでしょう。



 

【チェックポイント】

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©Mattel

 ほんの一瞬の演出なので断定は出来ませんが、愛する者同士の一環として、たぶん同性愛者へのメッセージも、この場面に込められているのかもしれません。もしそうならば、かなり素敵な点です。 

 

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©Mattel

 第10シリーズの初登場時ピンクだった頃のロージーは、トーマスが好きでいつも彼のまねごとをしていました。その”好き”とは尊敬と憧れによるものでした。ボディが赤くなり精神的に成熟した今でも、尊重の意での"好き"は昔と変わらないようです。最終的にトーマスの本音がようやく聞けたことで、彼女もほっと安心した事でしょう。 

成熟したうえで昔と大きく変わったのはトーマスへの承認欲求が無くなっただと思います。今では自分の意志で考え・行動しています。その成長っぷりには本当に涙が出ます…。うれし泣き。

 

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©Mattel

 我々日本人にとってバレンタインデーは、女性が好きな異性や親しい同性にチョコを贈る(主に営利のために始まった)文化的意識に馴染みがあると思いますが、欧米や西洋では男女問わず恋人や親しい人に様々な贈り物を届けます。

 

 ちなみに原語版サブタイトルの元ネタは『Roses are Red』という英語の詩です。 

"The Roses are red, The Violets are blue, suger is sweet, And so are you."

ラストにも、この詩を元ネタとする台詞が出てきます。

"Rosie is Red, Thomas is Blue, and my darling Lady Hatt, I... I love you."

愛の表現にそれぞれの色、性別の機関車を呼ぶのがなんともハット卿らしいですね。貨車や客車にぎっしりつまれた花々とランプ、そして四重奏者を贅沢に使うのは準男爵らしいとも言えますし、お母様が直前まで息子のバレンタインの告白を応援して車に同乗しているのが好きです。きっとお母様のアイディアも含まれているのでしょう。

この回に出てきたハット卿婦人への”とあるプレゼント”も今後のシリーズに出てきたら嬉しいなあ。

 

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

キャラ活用:PERFECT

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:AWSOME

 

【最終的な感想】

 作家が伝えたい目的と、テーマによるメッセージ性は大変素晴らしいです。前者はからかう側、後者はからかわれた側、どちらにとっても良い教訓内容になっています。

メインターゲットである子供たちが、いつしか学校に通い始めて同じ境遇になった時、トーマスの事や、ロージーの顔、そしてヘンリエッタの言葉を思い出してみてください。きっと役に立つはずです。

 

総合評価: 10/10

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