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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第1回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E01 『Free the Roads』『バルジーだいさくせん!』

脚本: マイケル・ホワイト

内容: バルジーは鉄道からお客を取る機会を窺う最中、偶然にもチャンスを招く。

テーマ: 一人で仕事を担う事

 

【高評価点】

・バルジーとバーティーのキャラ活用、掘り下げ。

・テーマ内容。

 

【低評価点】

無し

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 新シリーズが始まって早々バルジーが主人公になるなんて誰が予想した事でしょうか*1。6月にこれがメキシコで放送された時、私は本当にびっくりしました。テーマ内容も興味深く、リアリティ、そして充実感のある物語だったと強く実感します。

 S21に引き続きバルジーは未だに鉄道嫌いで、初登場回のように邪魔をしようとします。陸橋に引っかかった後も全然態度を直そうという気が無く嘘を吐き続けたあのバルジーの事ですから、妥当であると私は思います。鶏小屋になったって鉄道の存続に納得するわけでもないし。彼が属するソドー道路会社(Sodor Roadways)は、設定*2*3を見る限りだと会社自体に鉄道に強い対抗心があるように見受けられますので、それが生意気なバーティーやバルジーの人格などにも影響が及んでいると考えられるし、バルジー自身も再び道路に戻った事で、まだチャンスがあると考えているのでしょう。

英米版サブタイトルの『Free the Roads』(道路を解放しろ)とは、バルジーがフロントボディで掲げているスローガンです。彼の代名詞ともいえる台詞でもあります。

 冒頭では意図的にパーシーの行く手を妨害するなどと云った行為を見せますが、今回の物語はある偶然から、チャンスをつかみます。今回ではスタンスが正反対ながらも同僚であるバーティーとの絡みや積極的に協力し合っている様子を窺うことが出来ます。

 

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©Mattel

 バルジーの空想は、かなり面白かったです。バルジー視点での自分は、相棒のバーティーと共に乗客を救うヒーローで、機関車は悪役だと都合よく解釈していることが表現されています。これには目からウロコでした。思わず膝を叩きましたよ、ええ。

ちなみにバットマンとロビンのパロディです。度々流れる、ちょっぴりマヌケで古風なヒロイックBGMも面白い。

 

演出面の話になりますが、蒸気機関車は煙突、ディーゼル機関車は各々の排煙機から空想のモヤモヤが吹き出るのに、バルジーは何処からともなくそれが出てきたのでちょっぴり残念に思います。でも、大したことではありません。

 

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©Mattel

 テーマ内容は簡単に言えばチームワークに繋がる物です。しかしそれは『ロッキーきゅうしゅつさくせん』や『あたらしいクレーンのカーリー』のような単調な物ではなく、自分の仕事をどんなに誇りに思っていたとしても、それを出来るのが自分一人だけではない、自分一人で熟せられるなら素晴らしい事だけど、時には援助も必要だよ、という教訓が主軸になっています。要約すれば「欲張ると失敗する」という事ですね。みんな掴んで、みんな失う

上記の援助とは、バーティーの事ではなく、鉄道の事も入っていると思います。一度はバルジーの思い通りになりました。でも、客車の数とバスたちの座席の数を見れば事は明白。鉄道の代わりになれるはずが無いという。

 

 それにしてもソドー島に国外の人間キャラが増えましたね。アフリカの作業員に、太極拳やってた人、ボリウッドのダンサー。移住者? それとも観光? にぎやかですね。

 

 物語のテンポは非常に良く、滑稽なオチも愉快で完璧でした。

 

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©Mattel

 マイケル・ホワイト本人によれば、この場面では本来蒸気ローラーのジョージを登場させる予定だったようですが、現在のところジョージを扱う方針で無い事などから、上側のお達しで描写時にマックスとモンティに置き換えられました。

私個人の意見では、マックスとモンティに置き換えられて正解だったように感じます。いきなり再登場したての昔のキャラ同士で会話をさせるよりも、CGシリーズでお馴染みの(?)サブキャラと組み合わせることで、より世界観が広がり、バルジーと云う存在が定着・馴染みやすくなると思います。

同じ道路仲間(?)でも、この双子のダンプカーにとってはバルジーも、トーマス同様からかう対象なんだなと。バルジー、トロそうだもんね(笑)

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

  今期からスティームチームのCGモデルがよりリアルになりました*4。それは追々紹介するとして、彼らの他にバーティーにも大幅な改修が施されました。ドア/バックミラーやワイパーなど自動車に必要不可欠な部品の他、窓の形やリベットなどモデルになった車両(AEC・リーガル)に近い形状になりました。つなぎ目が目立ちすぎてボンレスハムみたいになってるけど。

このほか、『CRD 54』と書かれたナンバープレートも追加されています。これは原作9巻の挿絵からの出典。ファンサービスみたいなものと思われます。ちなみにCRDは画家のクラレンス・レジナルド・ダルビー(C. Reginald Dalby)、54は原作9巻『Edward he Blue Engine』が発行された1954年を意味するイースターエッグです。

 

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©Mattel

 CGモデルの改修が行われたのはバーティーだけではありません。なんとバルジーもです。のっぺりとしたS21のCGから一変、こちらも車に必要不可欠な部品と、モデル機(AEC・ブリッジマスター)に基づいた形状に進化しました。なんとなくバーティーよりも見映えがいいと感じます。

このほか、「BLG1」というナンバープレートも付属。これも原作の挿絵からの出典です。気になった人は、お手元の『汽車のえほん』24巻か合本を確認してみましょう。

 

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 マイケル・ホワイト、あなたは最高です。

意外性というのもありますが、とても幸先良いスタートを切りました。初っ端から完璧に面白かったし、バルジーはまだまだ活用の見込みがあると思います。実は、私はもう既にアメリカで放送された分、すなわち今期の大半は視聴済みで、諸々包んで申し上げると、今期は自分の中ではかなり良さげなシリーズです。

 ちなみに、第23シリーズでは国連が参加しておらずSDGsも関与してないようです。恐らくS22だけの企画だったのかなと。但しジェンダーバランスの調整と世界旅行は継続的な物みたいです。まあ、それは必然ですよね。

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:SiFによれば第21シリーズに彼の主役回を設ける予定だったようですが。

*2:鉄道がウルフステッドへ拡張する計画の破棄に賛成を表明するなど

*3:バルジー側面に「アンチ鉄道に加入せよ」のスローガンを貼る時点でお察し

*4:リアリティをどこかはき違えてるキャラクターもいますが。