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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第2回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E04 『Crowning Around』『ラジブのだいじなおうかん』

脚本: カミーユ・ユーキャン&ローズ・ジョンソン

内容: 王冠を失くしたラジブは役に立たなくなると思い込む

テーマ: 何かを失くしても自分を信じる

 

【高評価点】

・ラジブのキャラと個性のフル活用。

・インド勢の日常的な対話。

・ラジブとシャンカール、お互いの価値観の進展。

 

【低評価点】

無し

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 これは、私が正にS22視聴後から求めていた物です。いや、私が求めていた物が全て7分の中に詰め込まれていました!! 『TGR』を観た時から、国際機関車それぞれの物語や背景を見てみたかった私にとって、かなり興味を魅かれました。 教訓は過去にソドー島でも同じことが行われており、そういった新鮮味はありませんが、ひどく傲慢で自尊心の塊なラジブには必要な物で王冠を持つラジブだからこそのお話です。

S22で散々ラジブが自慢していた王冠を重点に置いたお話で、不慮の事故と繋がり、王冠がいたずら好きのサルに奪われ、失くしてしまいます。前期の『トーマスとサルのきゅうでん』で触れた想像が遂に実現となるわけです。ここだけでもアツイ。

王冠を捜す場面はコメディのような感じですが、王冠の価値が判らない作業員やゾウさんによってぞんざいに扱われたりするのが面白かった。これも滑稽役のラジブだからこそです。空想も理に適っている上にかわいい

 

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©Mattel

 もう一つ魅力的な事は、インドの機関車同士の掛け合いや日常的な対話がある事です。今までのインド回は全てトーマスを中心に回っており、絡むとしても一言ずつか一方的で、一部の場面でしか確認することが出来ず日常感が薄い印象がありました。インドのみならず世界編のほとんどが同じ問題を抱えていたので、これが特別な事ではなく、今後当たり前の状態になれば幸いです。

 事故に伴い自信を失くして仕事を放り出したラジブの代わりに仕事をしながら王冠の行方を捜すトーマスとアシマ、文句ひとつ言わず代わりの仕事を淡々と行うシャンカール。その中でアシマとシャンカールが一言二言会話を交わすだけでも満足でした。

 終盤の救出劇も良かったです。ラジブとシャンカールとの関係性はジェームスとトビーorエドワードによく似ていますが、それらとはまた違った魅力があると感じています。自分の王冠が輝きを放ち特別な仕事を任されているときはシャンカールを地味だと小馬鹿にしますが、危険を察知した時にはとっさの判断で友達を助ける意思が先行。

シャンカールが「(あの)ラジブが僕を助けたんだ」と驚いて仲間に確かめるところが好きです。加えて背景に埋もれがちなヌール・ジャハーンが奇しくも引き立て役として出番が与えられたことも嬉しかった。アツイ。

 

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©Mattel

 アシマに関しても、特別素晴らしい出番ではありませんが、S22のように説明役にならずトーマスと同じかそれ以上の出番があり嬉しかったです。息を吐くように人の助けになることを進んで行う姿勢、それからトーマスも生意気な面も活かされていました

 トーマスのみならず、インド勢全員の良さを引き出してくれた脚本家のカミーユ・ユーキャンとローズ・ジョンソンに感謝です。両者とも女性の作家兼、俳優兼、コメディアンで、後者のローズ氏はインドの国籍を持っています

現地出身の脚本家がそれぞれの国の話を書いてほしいとS22のレビューで述べた通りの出来事になりましたが、この2人組は今期のインド編2話のほか、中国、オーストラリア、ソドー編も書いていたので、国籍の意図はどうやら関係ないみたいです。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 インドの操車場が初登場。ソドー島のクレイピッツの機関庫周りとアールズバーグ資材置き場そのままの流用で景観に新しい物は全くありませんが、これにより蒸気機関車3台とディーゼル機関車2台がちょうどよくすっぽりと収まります。 

アシマとラジブで職場が大きく異なる設定は一体何だったのだろうと突っ込みたくもなりますが…

 

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©Mattel

  今回もおサルさんのアニメーションが可愛いです。ぜひ注目してみてください。

 

 

 余談ですが、ラジブのモデルになったインドの国宝機関車「フェアリー・クイーン」もラジブ程の高さでなくとも煙突上部に王冠が飾られており、取り外す事が可能です。一時期紛失した事もあったとかなかったとか。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:PERFECT

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 ラジブ可愛い説。いや普通に可愛いわい。

 トーマスが異文化を学んだり交流するのも良いですが、それだけに捉われず、現地の機関車の掛け合いを焦点に置いたお話は、『きかんしゃトーマス』における世界編の、あるべき姿だと思います。トーマスが観光気分で単独かつ独断で動く話よりも遥かに面白いです。第24シリーズには『Shankar's Makeover』*1というシャンカール回が控えています。今回のようにインドの日常的な面が描かれる事を心から願っています。

そして教訓のテーマは何度か使われた物だとしても、子供に必要で素晴らしい題材だと思います。たとえチャームポイントが無くても自信を持てば役に立つ事が出来る

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:アシマ役のティナ・デサイ公式Twitterから判明。