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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第3回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E02 『Chucklesome Trucks』『レベッカといたずらかしゃ』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: 貨車に振り回された経験を持つ機関車たちはレベッカの身を案ずるが…

テーマ: トラブルの予想、原因を捜す

 

【高評価点】

・過去作の失敗との接点。

・テーマ内容。

レベッカの掘り下げ。

 

【低評価点】

・水の描写の質。他、回想シーンのセット。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

  なにか過去作の回想やギミックの再登場などのファンを喜ばせる物があると、その話がファンの間で過剰に評価される事を私はよく知っています。でも、今回私がこのエピソードを満点評価したのはそこではありません。レベッカが実に面白く興味深いキャラクターだという事実が更に判ったからです。

 この作品において貨車の扱いが上手い機関車は、克服を除けば、仕事を楽しむ熟練者*1や、落ち着きがあって完璧な人格*2を持つ者が殆どでしたが、今回のは全く新しい物でした。経験者の話を聞いても、苦手意識を持ったり物怖じすることがなく寧ろ楽しんでいて、速度や力と云ったスペックで貨車の悪戯をまるごとカバーしてしまうという実力(?)の持ち主。周りの機関車はおろか、いたずら貨車すら驚いて苦笑いする光景が面白かったです。

今回は押すだけでしたが*3、冒険を楽しむ精神で貨車たちを無意識に手懐けてしまうとは流石レベッカ。ゴードンとパワークラスは大差ありませんが、彼と決定的に違うのはその精神力でしょうね(笑) ゴードンは貨車に対する苦手意識が先行して諦めてしまうのがお約束ですから。

なお、定番のレベッカが誰かにぶつかるそそっかしさも描写されているので、最初から最後までレベッカの設定どおりの完璧な掘り下げでした。

 

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©Mattel

 レベッカが主人公ですが、今回教訓を学ぶのは彼女ではなく、彼女の身を案ずる周囲と云う滑稽さも面白みの一つです。テーマ内容は"誤った予想"。誰かが何か問題を抱えているからと言って、それが起こるわけではない。経験者3台は語るが、本当にトラブルの予測をするべきなのはレベッカより、気が散ってるお前らだよと。

 

 上記のような教訓やキャラクターの使い方は最高だと感じています。しかし、展開の流れとはいえ、ヴィカーズタウンへ運ぶ貨物列車が特別な仕事と呼ばれる事と、選り好みをするのがジェームスだけでなくトーマスとパーシーもという描写が、不思議でなりません。

 

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©Mattel

 ティッドマス機関庫での団欒は、みんな同じようにレベッカの身を案じていますが、スティームチーム全員にそれぞれの個性が出ていてかなり良かったです。からかわれたお返しにジェームスの事故をからかうトーマス、気まり悪くなって関係の無いパーシーの過去を掘り返すジェームス、テンダー機関車に貨車の牽引を勧めないゴードン、落ち着いて助言を与えるエミリー。

 その中でも特に、ニアがソドー島の貨車について触れた事が私にとって印象的でした。『地球まるごとアドベンチャー』で観られたように、アフリカの貨車も、ブラジルのコーヒー豆貨車たちも元気だったけれどトーマス一行に悪戯をする描写は一度も無く、寧ろ列車の手助けをしていましたよね。ソドー島の貨車がとくべつ悪戯好きなのも、イギリスの鉄道史の影響を受けているのかもしれません。*4

………私の深読みですが。

 

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©Mattel

 団欒の中で『トーマスのはじめて物語(トーマスのさいなん)』『きたないきかんしゃ』『うみにおちたパーシー』の回想が、既にCG化されている前者を除いてCGアニメーションで再現されます。このように、いたずら貨車たちが伴う事故が3つ紹介されましたが、後の場面で、これらが全て機関車側の過失と油断によるものであると再認識させられます

彼らはレベッカに気を取られるあまり過去と似たような、或いは全く同じ事故を起こします。いたずら貨車が居なくても、いや、いたずら貨車の牽引じゃないからこそはっきりと判ります。

3台はみんな貨車の所為にしていたけれど、『トーマスのさいなん』は彼の未熟さと油断によるものだし、『きたないきかんしゃ』は上の空だったジェームスの油断によるもので、『うみにおちたパーシー』は悪戯好きなパーシーの未熟な作戦によるものでした。回想のチョイスが本当に見事です

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 側面に『TAR』の文字が書かれたタール運搬車が、S1『きたないきかんしゃ』の回想と中盤の事故の為に第11シリーズ以来久しぶりに登場しました。しかも正面にも文字があります*5。これは正真正銘ファンサービスと言っても良いでしょう。

こんな形で出たけど、CG移行時に貨車の英文字が全部ロゴに変更された理由*6を考慮すれば、これを境に二度と出てこなさそう。 

 

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©Mattel

 ヴィカーズタウン操車場の全貌が明らかになりました。背景にヴィカーズタウン駅と巨大な教会や、ヴィカーズタウン橋が描写されており、ロージーが入換え作業をしているのですぐにわかると思います。残念ながらレイアウトはナップフォード駅構内と一切変わりません。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 第23シリーズが放送される前に、公式YouTubeにて新しいスティームチームを一台ずつ紹介する動画が公開されました。レベッカの動画では、彼女が丘の途中で貨車に応援される場面があり、その理由について話すには今回のエピソードは最適な回。

レベッカに悪戯が効かないと判ったいたずら貨車たちが今後どのようにレベッカに接するのか見ものですね。面白かったです。

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:エドワード、ヒロ

*2:レニアス

*3:平地なのに押す現象に違和感があります

*4:いたずら好きな貨車が体当たりをするという演出は、貫通ブレーキの備わっていないイギリスの貨車に基づいた擬人化。70年代まで、貨物列車は機関車と車掌車の力だけで制御しなくてはならなかった。

*5:このタイプは第1シリーズ以外に出ていません。

*6:英語圏以外の国の子供にも貨車の用途を判りやすくするため