※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S23 E05 『Gordon Gets the Giggles』『わらうゴードン』
脚本: ベッキー・オーバートン
内容: 野菜まみれになったレベッカを見たゴードンは笑いが堪えきれなくなる
テーマ: 自分が楽しめば周囲も幸せになる
【高評価点】
・道徳内容。
・ケリー・シェイル(US版)の演技。
【低評価点】
・ペース配分。
・笑いを堪える演技と空想を省けばこれといって中身が無い。
【このエピソードについて】
私は正直この話が好きで、ついつい何度も観返しています。威厳が廃るくらい、しょうもないことでツボにハマって、腹(ボイラー)の底から豪快かつコミカルに大笑いするゴードンは、見ていて飽きず、とても面白い物でした。S17『あとにしてチャーリー』で見せた一面が活きる日が来るとは…!
それから、他の機関車を見下すなどの行為を一切見せないところも良かったです。
US版ゴードンを担当したケリー・シェイルは名演技でした。笑いたくても抑えられない衝動をリアルかつ陽気に表現していて本当に大好きです。UK版のキース・ウィッカムは、一味違った別の解釈で表現していました。こちらも良かったです。
また、ゴードンが威厳の消失を恐れる空想シークエンスは『CAE』やS22『ずっといつまでも』に通じるところがあって、これもまた好きです。自分の変化に肯定的でないことを再び見られたのが嬉しいです。
流石に2Pカラーなバブルスさんには驚きましたが(笑)
ただ、面白いと同時に、もったいないとも感じています。その一つは物語のペーシングです。ゴードンが真剣さと威厳を保つ為笑いを必死で堪える様は違和感無く仕上がっており、アイディアとしても素晴らしいのですが、その様子と空想を除けば話の中の主要キャラクターの性格を探求する余地がごく僅かで、残念な事に流れから行くと笑いに関してはこれといって要点が無く空虚に感じてしまいます。本当にもったいない。
私がS22以降で低評価を付けている話は大抵これが原因の一つで、7分のランタイムに納めることがいかに難しいかを痛感しています。これにはオーバートンのみならず、ブレナーを始めとした殆どの脚本家も苦労しているのだろうと思います。
対象が食材ですので笑う気にはなれないのですが、流線型のボディからレタスが滑り落ちるシーンは正直ズルい(笑)
教訓のテーマは、笑いと仕事に関する事。真剣に自分の仕事を取組むことは大前提として、楽しみたいときは楽しめば、周囲も自然に幸せになれるから大丈夫だよ、ということです。
教訓は良いですが、物語でゴードンが笑いを堪えきれない事で仕事を取り上げられると思い込む描写は、少し馬鹿っぽくて好きではありませんでした。
一つ気になった事があります。それは劇中でゴードンが「Big G」を自称することです。Big Gが具体的にどういう意味を持つのか、経験の浅い私にはわかりません。
ビッグ・ゴードンの略かもしれないし、デカイ機関車を意味するのかも。
Big Gの例としては米国版ジャイアン*1の英名が挙げられますが、それ繋がりでガキ大将的存在を自覚して発言しているのかなとも思えて、うーん…となります。トーマス自らスティームチーム呼びする事と同じような違和感*2。
またしても客車牽いたままソドー整備工場か、と思わせておいて、最後に客車を空気化せずオチを作ってくれたのは本当に嬉しかったです。
【チェックポイント】
相変わらずのパクストンの聖者っぷりに涙。
まあ、ただそれだけの出番なんですけどね。
全体的な面白さ:☆
鉄道らしさ:☆
キャラ活用:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆☆
道徳教育面:☆☆
【最終的な感想】
私の懸念はキャラ崩壊ではありません。というかキャラ崩壊はしていないと思う。
笑いの背景にある"存在しない何か"は気にしてはいけないのかもしれませんが、今回のエピソードは賛否どちらも意見にも納得できるし、両論とも尊重します。特にユーモラスな要素が土台となっている為に面白いと捉えたり中身の無さに空虚だと捉えたり、この話で論争が生じるのは理に適っていると思います。少なくとも私は好意的に捉えており、いくつかの場面で笑顔をもたらしました。教訓は視聴者側に活きてる気がします。
今まで一度も笑った事の無いキャラクターだったら上手く行ったのかもしれませんが、出来ればゴードンのまま深みのある物語と共に進行してほしかったところ。あと、ツボにはまってこらえきれない笑いを取り扱ったお話は別のパターンであと二つ以上は書くことが出来そうに思います。
総合評価: 2/10
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*2:元々ゴードンはウィルバート・オードリー牧師の近所に住んでいたガキ大将に肖って付けた名前です。