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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第9回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E09 『Diesel Do Right』『まじめなディーゼル

脚本: デヴィー・ムーア

内容: ディーゼルは腹いせに仲間の仕事を適当に並べ替えてレベッカを騙す。

テーマ: 悪戯

 

【高評価点】

レベッカシドニーのキャラ活用。

・ノーマンのちょっとした掘り下げ。

・ナレーション無し。

 

【中立点】

ディーゼルの空想は物語には一切関係ないが、予測不能で面白かった。

レベッカはキャラ活用が為されているが、彼女を選択する充分な理由はない。

 

【低評価点】

・移動手段に使われるトーマスは不要のように感じる。

ディーゼルの部品はどうみてもボイラーである。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 ここまでで高く評価したソドー編のお話もそうですが、S19やS20のノリが好きな人は、今回が最も安心して楽しめると思います。実際に私は今期で1,2位を争うくらいには好きです。ずる賢いディーゼルと、その対極にあたる純粋そのものなレベッカ、悪く言えば使い勝手の良い2台のキャラのお話。

ディーゼルレベッカの関わりを再び見られた事を嬉しく思います。ひとえに純粋といっても色んなキャラが居ますが、レベッカは偏見なくどんな仲間に対しても明るく接して元気付けたりすることが得意です。ディーゼルの画策にまんまと騙されて、彼によっていい加減に並べ替えられた仕事を一つ一つ丁寧に熟していき、不本意にも他のディーゼル機関車達が混乱と遅れを招く事態に発展してしまいます。

私はここで大好きなレベッカが抜擢された事に満足していますが、誰にでも親切にするにしても、彼女を選択する十分な理由が無かった事が少し残念でした。ディーゼルが判断した理由は人当たりの良い雰囲気だけでしたので、ミリーの助言を聞くまでディーゼルの事をよく知らなかった事の方が強調されているように感じてしまいました。レベッカがどのようにディーゼルの良いところを見ているか、もしくはディーゼルにとってレベッカはどう利用しやすいか思い描く場面があればもっと面白いと思います。

ただ、最後にディーゼル整備工場へ駆けつける場面で、ディーゼルに間違ってるじゃないかと咎めるのではなく、説明されたものが間違いだったよと教えるように言ってたのが印象的で、純粋無垢なレベッカらしいなと思いました。

 

 私の独断になりますが、脚本家のデヴィー・ムーアは、ディーゼルを始めマックスとモンティなどいわゆる"悪がき"や、デイジーのようなアクの強いキャラクターの内面やお話を描くのが上手いというか楽しんで描いておられるように感じます。中でも特に、ディーゼルとデイジーのお話が中心的で、今期も彼の主役回を2話執筆されており、彼の特徴的な性格はそのままに新しいアイディアを出されていることを嬉しく思います。

まあ、ディーゼルが主人公兼悪役として嘘を吐いてトラブルを招く展開は過去に渡って何度もやってきたことなので、展開の新鮮味は薄く感じました

しかし、これは後程語りますが、このお話の魅力はディーゼルレベッカがどうこうするよりも、ディーゼルに対する他のディーゼル機関車仲間の考え方、捉え方、対話が示されている事と、ノーマン、パクストン、シドニー、デン、ダートそれぞれにも焦点があてられている事だと思いますし、観ていて本当に楽しかったです

 

 それから、近年コメディキャラ扱いになってきているトップハム・ハット卿の真剣に機関車を叱る場面も良かったです。これについては同シリーズの『Free the Roads』にも同じことが言えますが、迫力が段違いです(笑)

※トップハム・ハット卿の態度に関して、厳しい目を向ける親御さんをときどき目にしますが、一部の話を除けば、教育者として適切な役割を持っています。機関車をいじめているのではありません。

 

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©Mattel

 脇役キャラクター大集合なところも、この物語の魅力の一つです。役割は単純で特にキャラ活用があるわけではないものの、例えばテレンス、ピーター・サム、ミリーなど、あまり画面に映る機会が無いキャラクターが準主役であるレベッカや他のディーゼル機関車に話しかける様子が見られるので、とても楽しかったです。

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©Mattel

 先ほども言ったように、ディーゼルディーゼル10以外の、ディーゼル整備工場勢にも出番があります。特に注目したいのがシドニーノーマンです。

  S20『うたうシドニー』でトーマスから教わった、歌って仕事を忘れないようにすることが引き続き行われていたのが嬉しかったです。そして慌てふためいて誰に何を届けるのか忘れてしまうところもシドニーらしくて良かったです。

 久しぶりに役割を与えられたノーマンはトップハム・ハット卿に厚い信頼を寄せられているという事が新たにわかりました。彼には双子のデニスとは正反対に、故障さえしなければ働き者という設定があるので、とても理に適っていますね。恐らくトーマスとの衝突事故を除けば、これまで主役回が与えられたことが無いのは、故障が無けりゃ事故を起こしたり遅れることが無かったのでしょうね。

 パクストンと初登場から2年音沙汰無かったシドニーは今でこそ準レギュラーとして多くの出番を与えられていますが、一方ノーマンは、S17で2話ほど喋り『TGR』で歌う機会があったのみで、その後は回想を除けばずっと台詞無しのカメオ出演でした。唯一、誰にでも親切な性格が反映されたのが『こおりついたてんしゃだい』で、『きえたクリスマスのかざり』では台詞こそ多いものの意見を出す程度で出番は本当に少ないです。この為、ノーマンは英米公式ウェブサイトか書籍のキャラクター図鑑を確認しない限り、どういう性格なのか、どこで何をしているのか、どういう考え持つ機関車なのかを一般的に知る機会が無いので、今回の出番は貴重でした。

願わくば、今後はノーマンが喋ったり適切な役割を与えられるのが当たり前になってほしいです。同期のパクストンやシドニー、デンとダートと同じように。 

 

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©Mattel

 ディーゼルの空想は物語に全く関係ありません。他の機関車より重要と示すならば、Roll Callの方が理に適っていたかもしれませんが、初見では予測不可能なサービスシーンだったので面白くてつい許してしまいました(笑) 

 具体的に何が行われたかというと、空想シーンでS22以降のオープニングになっている『Big World! Big Adventures! Theme』のディーゼル機関車版が流れます。ディーゼル10を除くディーゼル整備工場組(DOTD勢)の6台と、そこにいたフィリップらの名前を順に掛け声をし、ディーゼル世界と見せかけたソドー島を縦横無尽に駆け回るという映像構成になっています。

ここで面白いのが、ディーゼル機関車達それぞれの性格が反映されていることで、陽気なデンとダートとフィリップはにこにこしていますが、彼の動向にいつも乗り気じゃないノーマン、パクストン、シドニーの3台は呆気にとられたり疑問視した表情を浮かべています。これがディーゼルの空想内と云う事もあるので、ディーゼルにとって彼らがどういう表情を取るのかきちんと理解しているという風にも見て取れます。

 また、クランキーに吊り上げられた後、OPのトーマスなら船に乗って世界中を駆け回るのですが、ディーゼルの場合は船には載せられず、一応オマージュとして出てくるアメリカのラシュモア山を除けば、ファークァー採石場→支線→朽ち果てた森→スクラップ置き場を疾走し、ディーゼル整備工場へ戻ってくるという滑稽さも興味深いです。これはディーゼルが世界を見て回った事が無いからなのか、それとも世界なんか飛び出さず自分の働くソドー島で重要な存在になりたいという心の表れなのか

 特に深い意味は無いと思うけれど、ラシュモア山でトップハム・ハット卿、主役のディーゼル、リーダーのデンが並ぶ中にノーマンが居る事も興味深いです。工場勢で一番頭が切れるという事なのかな、などと、色々な想像を搔き立てられて楽しかったです。ディーゼルが絶妙に音痴なのもツボ。

 

 …そういえばディーゼル10ってどこ行ったんでしょうね。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 夜のディーゼル整備工場の機関庫でのディーゼル機関車たちの団欒・談笑が観られたのが個人的に凄く嬉しいです。ディーゼルの非を落ち着いて説明するパクストン、ディーゼルを手伝おうとするも自分の仕事を忘れているシドニー、それを指摘するデンと、彼らの考えを要約するダート。まるでいつものティッドマス機関庫のように馴染みやすくて良かったです。

一シリーズに一回は本当にこういうのが欲しいです。ディーゼル機関車たち全員が主役のソレ。 

 

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©Mattel

  S22『Counting on Nia』でヘッドランプを装備したスカーロイが、今回ではアップで映りました。よく見ると、煙突の金色のラインも、S5以来に再描写されています。


 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 特別素晴らしかったわけではないものの、パクストンとテレンス、ノーマンとスカーロイ&ピーター・サム、レベッカとミリーなど数多くの珍しい対話が含まれていて心から楽しめました。

 あとはやっぱりOPのオマージュが本当に面白かったです。可能ならば、1シリーズに2回以上は『Diesel & Friends: Big World! Big Adventures!』が観たい(笑) 今度はノーマンやダート単体をフォーカスして。

 

総合評価: 7/10

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