※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S23 E20 『Panicky Percy』『しんぱいしすぎのパーシー』
脚本: カミーユ・ユーキャン&ローズ・ジョンソン
内容: 駅で待ち合わせをしたトーマスが居ない事に気付いたパーシーは雪崩に遭遇したのではないかと狼狽える。
テーマ: うろたえは事態を悪化させる
【高評価点】
・ゴードンがトーマスの危機と聞いて客車を二の次にする事。
【低評価点】
・前半部の主人公は、パーシーより寧ろニアが適任だと思う。
・空想シークエンスは場面によっては蛇足に見える。
【このエピソードについて】
トーマス&パーシー回ですね。といっても、パーシーの一方的な思い込みによるお話です。ニアから雪崩で命を落としかけた体験を聞いたパーシーが雪を恐れるようになり、約束した場所にトーマスが居ないのを見て彼の身に何かあったのではないかとパニックになるという内容。
たとえ脱線して動けなくなろうとも親友であるトーマスを助けてほしいと願うなどのパーシーの利他的な面*1を観られたし、道徳的なところで云えば、不安を持つ子供たちと接点があり、物語自体は良いです。でも、いくつか改善が必要に思える点がありました。
大方のトーマスファンが、『TOTB』より後に創られた作品であるにもかかわらず、あろうことか雪との付き合いも長いパーシーがまた恐がりに戻ってひどく違和感を覚えたという意見を散見しました。
雪への恐怖と云うよりかは、過敏な危険の察知と云った感じで、恐怖で逃げる事も無かったので『TOTB』の後日談としてはさほど問題ないと思います。もっと言えば、幽霊などの存在しない何かとは異なり、雪は時に危険を伴いますので、危機感はあって自然です。ただ、雪と触れ合って長いくせにやたら敏感なのが気に障る事には同意します。
では何を改善すべきかというと、中盤からの慌て者のパーシーとウブなレベッカはそのままに、序盤で雪崩に警戒する様は、雪の経験が浅いニアも主人公の一人となる方がより自然で面白くなったと思います。これでは『BWBA』でのニアの実体験と、それに纏わる回想が意味を為しません。雪山での経験がニアのキャラクターの一部となったら良かったのになぁ。
神経質な状態に陥ってる中、ディーゼルと衝突すると錯覚したのは、例えばS1『パーシーにげだす』のトラウマから来るものなのでしょうか…?
このエピソードで最も気に入ったところは、トーマスの危機と聞いたゴードンが本気で心配し、乗客を二番目に考えて助けに駆けつけようとすることです。彼の表情と行動は私に"面目丸つぶれ同盟"を思い出させてくれました*2。思いやりは彼の真の性格にして最も良い一面です。
きっと、(S22以降では)珍しく出番のあったヘンリーが駆け付けたのも、ゴードンが信用できる仲間として知らせたのかなと勝手に妄想しています(笑) まあ、レベッカからの伝達かもしれませんが。
今回のゴードンをキャラ崩壊と見なす人も見かけました。私はそれに一切賛同しませんが、ゴードンが客車にしか関心のない不機嫌なキャラクターとして定着してから長いので、言わんとしている事は理解できます。
空想シークエンスは3回流れます。常に考えてる事と捉えれば諄くはありませんが、トーマスが見つかった後もまだ続くのは蛇足でした。パーシーには状況が分かってなくても、視聴者側にとってはもう展開が判ってしまっていますので。
【チェックポイント】
ゴードンのみならずレベッカ達がトーマスただ一台の為に利他的な行動と指示を取るのは同シリーズの『Steam Team to the Rescue』があったからこそかもしれません。それの続編として考えるとより自然です。港で木箱から姿を現す演出とかも含めて。
また、色んなキャラクターが出てきたことも、私がまだこのエピソードを好きで居られる所以かもしれません。対話も自然に感じられたし、相互作用も良かったです。例えば、ダックが素早く状況を察知して真剣な表情かつ無言でハロルドを呼びに行く場面。上手く説明できないけど、そこの流れが好きでした。
先ほども言ったようにヘンリーの出番もあります。笑うだけだけど。
全体的な面白さ:☆☆☆
鉄道らしさ:☆☆
キャラ活用:☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆
道徳教育面:☆☆
【最終的な感想】
今期のMeet the Steam Teamシリーズで勇敢であることが紹介されたのにパーシーがまだ何かを恐れて時々パニックになることに違和感がある方は『Let's Be Brave』の歌詞を再び観るといいと思います。
結果的には、ニアの開発を行う機会を逃したことを除けば、物語はまだいい方にあると私は思います。
総合評価: 6/10