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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第23シリーズレビュー第18回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S23 E16 『Lorenzo's Solo』

脚本: ベッキー・オーバートン

内容: 有名なオペラ歌手をどうしても運びたいロレンツォはベッペを騙す。

テーマ: 友達は大切

 

【高評価点】

・ロレンツォとベッペの性格をフル活用したエピソードであり、ベッラ夫人との改心も描かれている。

・世界編もトーマス無しで進行できることを証明した。

 

【低評価点】

・ポイント切り替えはとても不自然に行われた。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 少し急な終わり方をしましたが、ロレンツォとベッペの性格を魅せるには充分で、世界編の中でもかなり楽しかったです。

 このエピソードでは、私が前期から観たがっていた願いが遂に叶いました。それは、トーマス無しでも世界編をうまく行えることを証明したことです。なんと今回のトーマスは開始51秒で物語からフェードアウトして最後まで登場しません。もちろんトーマスは作品の主人公ですが『Thomas & Friends』(トーマスとなかまたち)と呼ばれるように彼以外のキャラクターにも焦点が充てられることをこれまでにも示されていますし、個性的な世界編のキャラクターだけに焦点を当てて進行する日常的な物語を見たいとずっと思っていたので大変嬉しいです。

世界編にトーマスは不要と云っているわけではないので誤解なきよう。

 そしてジーナがロレンツォとベッペに対してどのように反応するかを見ることが出来たのも良かった。

 

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©Mattel

 オーバートン脚本です。例によって表現が膨張しているかもしれませんが、ベッラ夫人とロレンツォが嫌な性格であるからと言って私はこの回の評価を下げるつもりはありません。まだ登場したばかりで彼についてはよく知られていません。なので違和感は今の所無いです。

このエピソードではロレンツォがよく歌います。彼が歌うキャラであり、ベッラ夫人とデュエットを組みたがっている為です。後述のようにベッラ夫人は独唱を好んでいますが、最終的に恋しくなると、ロレンツォに合わせて一緒に歌い始めます。感情表現を歌声で行うというものはまさにオペラという感じで非常に楽しかったです。私は彼らの歌声が好きです。

このほか、『Batucada』でも触れた緩衝→連結→汽笛のくだりで、汽笛の代わりにロレンツォとベッペが歌声を上げるという一風変わった工夫も面白いです。その時のベッペの顔が可愛い。

 

 イタリアの有名なオペラ歌手と云えば、よくソドー島に訪れるアリシアボッティというキャラクターがいます。彼女は第16シリーズを境に姿を見せなくなりました*1。彼女がこの機会に姿を見せたらそれはそれで素晴らしいでしょうけれど今回はベッラ夫人という新キャラクターで良かったと思っています。(理由は後述)。

 

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©Mattel

 この回では『Mines of Mystery』から出たロレンツォベッペの2台を中心に焦点が充てられており、彼らの性格を把握することが出来ます。

 まずロレンツォは好奇心と探究心が強いだけでなく、オペラとその歌手を大きに愛している事が判ります。ベッペもオペラが大好きでロレンツォと一緒によく歌いますが、一緒じゃなければ歌わないなんてことは無く、ジーナとも愉しそうに歌えることが確認できます。

 ベッペは行儀よく軽率な態度はとらずロレンツォを無批判に愛しロレンツォにとってベッペも大切な存在と認識しているようですが、自分が有利になる事しか考えていない利己的な性格の様です。

これ、オイシイやつじゃね? たぶんラストの発言で笑えるのも、ベッペだからこそなんだろうなぁ。

 ベッラ夫人をお連れするためにベッペを騙して突き放すところはちょっと酷いなと思いますが、もしかすると自分の目的を前にすると思い込みが激しくなるのかもしれません。目立ちたがり屋な事もあって。そしてその利己的な態度と、彼が敬愛するベッラ夫人の言いなりになった事が原因で迷子になってしまいます。

 

 あとロレンツォの汽笛めっちゃかっこよくないですか…。惚れる音。

 

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©Mattel

 今回で初登場した有名なオペラ歌手、ベッラ・カント夫人またはベラ・カント夫人"dame"(デイム)はマダムや淑女という意味で、knightまたはbaronet爵位を持つ男性の婦人及びその娘に対する尊称であり、男性の尊称である"Sir"に相当します。敬称の方か人名の方かは判断できませんが、デイム・ベッラ・カントと呼ばれています。例としてサー・トップハム・ハットみたいな感じです。

また、"canto"はイタリア語で「歌」を意味します。オペラ歌手と云う職業から慮るに、名前の由来は声楽用語の"ベルカント(Bel Canto)"と思われます。イタリア語で「美しい歌唱」という意味。

その名の通り、彼女の歌声は美しいです(個人的に)。英米版の声優を務めるのはエスターと同じフラミニア氏。若々しいエスターとは大きく異なり、ハスキーボイスが特徴的です。

 オペラ歌手としての才能のためロレンツォを含む多くの人から尊敬されているベッラ。しかしその実態はソリスト(独唱者)としての地位に誇りを持つあまり、独善的で自分より下と判断した人(たとえばオーケストラや小さなベッペ)を軽視したりきつく当たるなど高慢な性格で、物事を複数人で行う事を頑なに拒んでいます。嫌な人ですが、最終的にオーケストラと離れた事を後悔したり、ロレンツォとのデュエットを容認したり、ベッペに謝罪をするなど、まだ優しい面を持っています

一話限りの個性ですが設定としては結構面白い人物だと私は思いました。特にロレンツォと一緒に悔んだり学ぶところが好きです。

 これがアリシアボッティではなくベッラと云う新キャラクターでよかったと思う理由です。小さい機関車を見る目のあるボッティではロレンツォの悪い面を引きだせなかっただろうと思います。また、ボッティがソプラノのコロラトゥーラであることに対し、ベッラ夫人はアルトの歌声を持つという違いがあり、キャラ被りをさせていない事実が私は好きです。今回の教訓を得たベッラ夫人とボッティとのデュエットが観たい。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

  今回の空想でロレンツォとベッラ夫人が歌った曲は「フニクリ・フニクラ」という1880年のイタリアの大衆歌謡です。『Mines of Mystery』でもロレンツォとベッペによってハミング及び替え歌で歌われました。

この歌は、当時利用客の少なかった、イタリア・カンパニア州に存在したヴェズヴィアナ銅索線というケーブルカー鉄道の宣伝曲として、運営会社から依頼を受けた作曲家ルイージ・デンツァが作曲、ジャーナリストのジュゼッペ・トゥルコが作詞したもので、世界最古のコマーシャルソングと云われています。

そう、鉄道に関連した曲なんです。日本でも非常に知名度が高いです。

 

空想内で歌っているナポリ語の歌詞と和訳は以下の通り。

Sto core canta sempe nu taluorno

Sposamme, oje né! Sposamme, oje né

Jamme, jamme ‘ncoppa, jamme jà,

Jamme, jamme ‘ncoppa, jamme jà,

funiculì, funiculà, funiculì, funiculà,

‘ncoppa, jamme jà, funiculì, funiculà!

(私の心は繰り返し歌う 結婚しよう 結婚しよう

行こう 行こう 頂上へ×2

フニクリ・フニクラ・フニクリ・フニクラ

行こうよ フニクリ・フニクラへ)

 

締りがいいからかもしれませんが、2番歌詞のチョイスがベッラ夫人とデュエットをしたいロレンツォの気持ちを表しているようで興味深いです。

 

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 S22以降のベッキー・オーバートン執筆回は私の中でペース配分がぎこちない印象がありましたが、このお話はかなり適切で良かったと思います。個人的にオーバートン執筆回で一番好きなエピソードです。

 そして私は今、ロレンツォとベッペの2台が本当に大好きです。でも、彼らの良さはこの話だけにとどまらず。その話は『Too Loud, Thomas!』で触れます。

 

総合評価: 9/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:CGデータの紛失でしょうか?