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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第17回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S19 E22 『The Other Side of the Mountain』『やまのむこうがわ』

脚本: アンドリュー・ブレナー

内容: 山の向こう側を走るバーティーの話にトーマスは興味を持つ。

 

【高評価点】

・パーシーとバーティーの生意気な性格が活用されている。

・コンセプト。

 

【低評価点】

・トーマスの支線への熱意の無さ。

・S17『せんろをさがすトーマス』の二番煎じに見える。

・強制的に起こったような脱線事故

・看板の意味とは?

・最後の空想シーンは穴埋めのように感じる。

 

 

 

【このエピソードについて】

 はい、暫くレビューの投稿が滞っていた理由の一つです。 私はトーマスの支線で起こる日常的な出来事のエピソードが好きです。各々のキャラクター同士でいがみ合ったりわちゃわちゃするエピソードが大が付くほど好きです。 さて、これはどうでしょうか。

 

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©Mattel

 このエピソードは、まあ…少なくとも、私のお気に入りではありませんでした。第17シリーズ『せんろをさがすトーマス』の焼き直しのように見えるのが理由の一つです。同様のプロットだったり、過去作の焼き直しの物語に関しては、各キャラクターの過去の経験が無駄にならない物であれば私は気にしません。

焼き直しと言っても全く同じ展開ではありません。ただ、トーマスがバーティーの言動に踊らされる→パーシーに告げ口する→事故を起こして道路に飛び出すといった部分的な流れが非常によく似ています。別に続編と云うわけでもないのに。

加えて、トーマスが学ぶ道徳はほぼ同じで、『せんろをさがすトーマス』を一旦解体してちぐはぐに繋ぎ合わせたような物となっているように感じます。まるであの時の経験が無かったかのように描かれます

 

 冒頭の場面は、もっと悪いです。確かにトーマスは第3シリーズから自分の支線以外のあちこちで働く様子があり、関係性が薄れていました。しかし少なくとも第5シリーズまでは彼が自分の支線をどれほど誇りに思っているかを認識することが出来ました。最近では『SLOTLT』でも描かれましたよね。

私が気に入らないのは、トーマスが単に自分の支線が一番「好きな仕事」と説明されていることです。彼が自分の支線を愛し、誇りに思っていると書いたならば良かったかもしれません。ここではただそれに取り組むことが好きで、情熱を持っていない事を暗示しており、『トーマスのはじめて物語』の終盤でジェームスを救い、利他的なところを称えられて支線を受け継ぐ美しい結末をかなり軽視しています。同じ脚本家なのに。

 

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©Mattel

 一方、バーティー側の道徳に関しては、やや新しい物を見た気がしました。一つは競争が関連しない事、もう一つは彼の性格がお互いの教訓になっていた事です。

友達の好奇心につけ込んで物事を大げさに言ってからかうと、いつか取り返しのつかない事になるかもしれませんよと。私は一度経験したことがあります(苦笑)

 

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©Mattel

 放送当時、トーマスが何も無いところで脱線したと騒ぐ人を何人も見かけたのを覚えています。実際には間違った向きのポイントに乗り上げて脱線しています

 さて、私はこの脱線の演出についてはリアリズムかどうかに拘わらず物申したい事があります。ここでの一番の問題は、進行的にトーマス自身に山の向こう側を見せるシナリオの為にかなり強制的に考案された演出と云う事です。そしてその末にトップハム・ハット卿とブッチから貰った忠告は「単に注意を怠った」。これは過去に何度もトーマスが学んだことです。

また、一旦リアリズムの話を付け加えると、特に速度も出ていなければ、平地なのに貨車に押されて、挙句の果てには道路に出るまで丘を蛇行運転の旅をします。謎演出。

 

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©Mattel

 これにも拘わらず、私はトーマスの運搬にレッカー車のブッチが使われた事が好きです。 元々私がブッチをお気に入りである事もそうですが、とても斬新な発想に見えたからです。彼の穏やかな部分も描写されたのも嬉しかった。

滝が流れるジャングルといつも虹がかかっている景色が看板だったというところはプロットに面白さを与えています。しかし、その看板には何の意味も持ちません例えば何かのお店を示す文字が書かれていたら自然だったことでしょう。それはただそこにある謎の絵です。

 最後の場面では、トーマスが飛行機になって飛ぶ空想を展開させます。空を飛びたいという願いは中盤で僅かに仄めかされた部分ではありますが、これはただ…本当にこれだけなので、エピソードの時間枠の穴埋めをする目的の無意味なシークエンスとしか感じませんでした。また、これをモチーフにした玩具があるかと思いきや、それが発売されたのはその一年後の事です。

 

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©Mattel

 アニーとクララベルの性格が普遍的な役割で描かれ、ペースのぎこちなさに滑車が掛かっていて上記の短所を加えると実に退屈です。

 けれども、この中でバーティーと同じくらい輝いていたのは、パーシーです。このシリーズでのパーシーは過去作の生意気っぷりと現在の優しさが見事に組み合わさっていて面白いです。彼自身は線路で働くことに誇りを持っているので、ハロルドになりたがるトーマスを笑う役割だったことを嬉しく思います。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 ブッチの台車は第5シリーズに出てきた彼専用の物ではなく、鉄道で使われる大物車にタイヤを付けた物でした。まあ、現実的に言えば、使われなくなった鉄道の貨車が道路用の何かに使われるのはよくあることなので少し興味深いと感じます。 

 

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©Mattel

  空想の中でトーマスの姿に唖然とするトビーが面白かったです。

 

 

全体的な面白さ:BORING

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリズム:☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆

道徳:☆

 

【最終的な感想】

 このエピソードには多くの斬新なアクションがあり、子供たちは勿論、大人やファンも楽しむことが出来ると信じています。ただ、『ロッキーきゅうしゅつさくせん』と同じようにコンセプトが良いだけに物語が杜撰なので、正直なところ、私の中ではアンドリュー・ブレナー史上最悪にチグハグな物語でした。

 

総合評価: -3/10

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