※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S24 E12 『Thomas and the Inventor's Workshop』『はつめいかのルースさん』
脚本: カミーユ・ユーキャン & ローズ・ジョンソン
内容: トーマスはルースの住処を探して古い風車に辿り着く。
テーマ: 役に立たないと思っても…?
【高評価点】
・旅客サービスを提供する車両と、何でも利用する発明家との価値観の違いと対比。
•トーマスはS8-16からの成長を感じられる。
【低評価点】
・古いゲートは何の為のものだろうか。
【このエピソードについて】
今回は「Marvelous Machinery」から、ソドー島に残る事になった、ルースに関する後日談になります。
第24シリーズが正式に放送される前に、3月に『James the Super Engine』と一緒にプレビューとして公開されました。今回はその時に感じた物を中心に書きました。
発明家のメインキャラクターが登場すると知った時、私はとても楽しみでした。発明というものはいつの時代も、どんな未就学児向け番組でも、好奇心をくすぐられます。この回はそれが良い意味で活きていたと思います。
ホバーカーやロードプレーンの印象を未だにぬぐいきれないかもしれませんが、今回のルースは、鉄道に貢献する形で、自分の住処探しをした上で、支線の小さな問題を解決しました。私はこれを観た時、ルースの必要さを実感しました。もっと活躍や失敗を観てみたいです。
物語の序盤はルースの住処を探しにトーマスが旅客列車の視点でソドー島の名所を案内します。ここではS8-16のような3パターンに思えるかもしれませんが、自分勝手に決めつけるのではなく、静かで落ち着いて仕事の出来る場所と徐々に出されるルースの条件に沿って行動に移しているところがポイント。デイジーや、久々のスキフが画面上で喋るのも良いですが、それ以前にトーマスに明らかな成長を感じられるのがこのエピソードで好きなところです。
しかし、住処を探すだけでは終わりません。テーマは古く壊れて使い物にならなくなった物を、仮に修復して別のものに使われたとしても役に立たないわけではないというものです。再利用とも似ていますが、ちょっと違う視点ですね。
後半はルースが見つけた朽ち果てた風車が本当に住処ないしワークショップとして役に立つのかが物語の本題。ルースの実力は必見です。
些細なことかもしれませんが、トーマスの支線にある古いゲートは、プロットの為だけにどこからともなく現れたように感じました。今までそのような説明は無いですし、競争の弊害が踏切と駅だけである事を考えても違和感があります。ディティールも無いので、何のためにあるのかもよくわかりません。風車が現役だった頃に使われていたゲートでしょうかね。それにしては両側に一枚ってどういうこと?
また、エピソードに対する物ではありませんが、もう一つお小言を挙げると、トーマスの支線、すなわち島の西側にキャラクターと施設が集中しすぎという事です。
既にトーマスの支線は短い路線にもかかわらずその場を担うキャラクターが多すぎます。後にはクレオも登場しますので、殆ど触れられていない電化区間、或いは東の方の支線、クララベルが例を挙げたノランビー線の周辺が発展すればいいのになと思いました。
色んな車両が通る場所なら、トーマス以外のキャラクターとも絡みやすくなり、幅が広がるでしょうし。
物語の後半はワークショップとしてどのように機能するかまでが描かれます。トーマスの速度による摩擦を用いて、発電がどのように風車に伝達するのかをトーマスと視聴者にもわかりやすく示しているのが好きです。
最後の実験は…言うまでもなく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパロディですね。流石にトーマスが時空を越える事はありませんけどね(笑)
この方法で実際に風車を動かす事は可能なのでしょうか。私はその分野には微塵も詳しくないので的確な評価を下す事は出来ません。まあ、化学を紹介する映画やアニメも正確でない事も多いですし、BTTFも特にそうなので気にしない楽しむのが吉でしょうかね。うーん…。
【チェックポイント】
トーマスがルースにティッドマスのタウンスクエアを紹介する場面で、後ろにアルバートの家族が歩いています。トーマス少年の愛犬となったファジーも一緒ですね。
このようなエピソードの連続性は大好きです。
アールズバーグ港がこうやって出るのもなんだか久しぶりな気がします。水面は前期に引き続きアマチュアっぽいですけど。
全体的な面白さ:☆☆☆
鉄道らしさ:☆
キャラ活用:☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆
道徳教育面:☆☆☆
【最終的な感想】
BTTFのパロディで行われた科学的根拠についてはわかりかねますが、ソドー島ならではの風車を発電駆動とワークショップに改造する方法は、ルースがトンデモ発明家ではない事を示す良い例でした。
インパクトが大きくても小さくても発明というものはいつもワクワク感を与えてくれます。物語で流れる"ルースのテーマ"と思しきBGMも相まって、雰囲気も物語も良かったと思います。
特別素晴らしいことはありませんでしたが、構成のおかげで濃厚な時間を過ごせました。
総合評価: 8/10