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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第6話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E6 『Kana Goes Slow』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: クレイグ・カーライル

内容: トーマスは故障した高速列車のカナを運ぶ道中でゆっくり走る楽しさを教える。

 

【このエピソードについて】

 6話目のエピソードでは、AEGの要となる5台のうち新しいキャラクターのカナにスポットライトが当たります。長編『めざせ! 夢のチャンピオンカップ』ではトーマスと同等の主役に輝いた彼女。この短編ではどういった様子を見せるのか?

 

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©︎Mattel

 この回ではどちらかと言うとトーマスが主観で描かれています。カナは新しいキャラクターのはずだけど視聴者はカナの目線になりきって楽しむことができる構成です。カナが速く走れるのは火を見るより明らかだし、トーマスがどのように遊び心を持ってAEGのソドー島を巡っているのかがこの時点ではわからないからこそ、この構成は見事でした。

 物語の内容的には長編の後の時系列なのかなーと思います。そうでないと今回カナが学ぶことと、彼女の性格との辻褄が合わない気もします。長編では始めからトーマス達とカナは友達で、第13話と未放送のエピソードの後の出来事を思わせる言及がある中、特にカナは景色を見ないで走り、ある機関車から我慢と冷静さを教わるまでゆっくり走るのが苦手なキャラクターで描かれていました。レースを前にしているからという解釈もできなくないですけどね。

 

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©︎Mattel

 物語はとても単純ですが良い道徳を持っています。誰にも迷惑にならないところでゆっくり進むのもたまには悪くない。高速車両で照らし合わせるのは面白いけど、どこかで見た覚えがあるので独創性の観点では普通かも。

普段は自動車や鉄道あるいは自転車で通ってる道も、休日は徒歩でゆっくり静かに歩いていると新しい発見を見つけられたり、困った時の解決方法の糸口が見つけられる、そんなメッセージがあると思います。普段猛スピードで滅多に景色を見たことがなかったカナが、脱線した後にすぐそばの線路を見つけるみたいに。

そして最後のヴィカーズタウンの夕焼けは綺麗でした。

 

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©︎Mattel

 前回のお話と同様に比較的穏やかな進行で、テンポも良いです。

また、途中の現実的な場面やユーモアが好きです。カナが先行して走るダイヤの想定でジェームスディーゼル達の通行の妨げになってしまう描写は機関車達がただランダムに走ったり遊んでるだけではないことが実感できて良かったし、カナに意地悪なことを言ういたずら貨車たちが最後に滑稽役に回るのもスッキリするし、ジェームスの登場に一定の意味があったのも好きです。そしてパーシーニアの短い解説とオチも完璧でした。

 

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©︎Mattel

 鉄道車両がぴょんぴょん跳ねたり自由に曲がったり出来て、ザニー・ユーモア的なカートゥーンだからどうとでもなるのですが、中盤で客車(中間車)を牽きながら牧草地に大脱線する場面があり、従来のシリーズから観ているとどうしても乗客の安否が気になってしまいます(笑)

だけど、乗客が乗っている言及は無いし、カナの客車からお客が降りる描写はなく、アニーとクララベルに比べて彼女専用の客車自体が小さいので、もしかしたら研修等なのかもしれません。あるいは客車に配達物を積んでいるのかも?

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 ナップフォード駅*1やティドマス機関庫*2が現代風にアレンジされているのに対して、ヴィカーズタウン駅のデザインが割とCGシリーズまんまで驚きでした。高架下の路面軌道まであります*3

 また、画像の通りですが、デザインこそゴードンをベースにアレンジを加えているものの、ヘンリーがこのシリーズにカメオ出演していることにも驚いています。

BWBAシリーズでも、時々喋っていて忘れられていなかったけど殆ど扱われなかった事に加えて、曰くAEGシリーズでは年配機関車との交流が控えめにされているため、相対的にエドワードと共に番組から消えるだろうと勝手に確信していました。彼もサヴァル氏や監督はたまたデザインチーム*4の希望で出せたんですかね? それとも番号が1~6まで続いた方がいいと判断したのでしょうか。

基本的には賑やかしの為にいて、どういう性格で扱われる予定なのかは定かではありません。

 

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©︎Mattel

 なんだか『ザ・シンプソンズ』に出てきそうな顔だなぁ。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 機関車が人間や動物と同じことをする動作をいかに許せるかによるかもしれませんが、途中の場面はAEG風にするかTTTE風にするか少し変えれば元の番組と大差がなく楽しめる構成だったと思います。その意味ではこの話はAEGらしい作風であり、それまでのDNAを受け継いでいるとも言えるでしょう。

具体的にこれとは出てこないですがどこか見覚えがあるものの、ありきたりな作風と道徳が多いAEG第1シリーズの中でも、どの年齢層でも楽しめる良い回だと思います。

 クレイグ・カーライルの作風も落ち着いて見られて好きです。第1シリーズの途中(放送でいう第2シリーズ辺り?)から制作を離れたリックの代わりで彼がヘッドライターを務めているとのことで、どうなるかはさておき今後のシリーズがより楽しみです。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:充電装置がある。

*2:電動式の信号機とソーラーパネルがある。

*3:流石にAEGではトーマスたちがここを走る描写が存在します。

*4:https://twitter.com/RickSuvalle/status/1456465840824410115?s=20