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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第13話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E13 『Music is Everywhere』『おんがくはあちこちに』

監督: ジェイソン・グロー

脚本: アダム・ビーチェン

内容: 音楽が好きなニアは待ちに待ったコンサートを救うが足止めされてしまい、トーマスたちが彼女の為のコンサートを開く。

 

【このエピソードについて】

 やっとです。13話でようやくニアに大きくスポットライトが当てられました。主役の補助的な役割であるカーリーとサンディーとは少し異なり、主役級と言われる5台の中で、この時点で最も出番が少ないと言えるニアは、AEGではどのように変化し、物語を動かすのだろうか?

 

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©︎Mattel

 AEGのニアは、印象としてはさほど変わらないように思えて、実際には従来のシリーズと若干違いが見受けられます。音楽好きと冒険好きは根本的には変わってないですね。わんぱくなトーマス達をからかうことがなくなりました。賢くて問題解決するのが得意という部分は2022年2月放送の時点ではあんまり見られず、代わりに完璧な計画を立てて冒険的で最善なルートを選ぶといった要素が付与されています。これは第11話や第16話で見られますね。

現時点では従来のニアに比べても、5台の主役の中でも、キャラ立ちが最も弱いようにも感じますが、後述しますように音楽好きな面で上手くカバーされています。また、US版とUK版共にアフリカ訛りが無くなったのは私が最も残念に思う点です。カナでさえ日本訛りでは無いのですがね。「あー、あのアフリカのやつ」といったレッテルを貼られるのも御免ですが、私にとって訛りは多様性と出身地の設定を洞察させてくれるいい方法でした。

US版の声優はカナダ人女優(子役)のタリア・エヴァンズ。UK版はイギリス人女優(子役)のシャーデー・スミス。(Sadeシャーデーと読みます、サドじゃないよ)。どちらもアフリカ訛りではありませんが、ニアの落ち着いた雰囲気にピッタリハマってて好きです。

 

 正装のトップハム・ハット卿もこのエピソードから見られます。前にも言ったように、ちびっこ達への指示は先輩のゴードンが出しているため、AEGのトップハム・ハット卿はコミカルに動き回りながら、業績を褒めたり、慌てふためいたりする程度の出番です。

※第24話と第29話ではもっと適切な出番が与えられています!

 

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©︎Mattel

 さて、本題に入りましょう。物語の方はとても楽しかったです。第16シリーズ『トーマスとソドーとうのおと』のラストで"偉大な作曲家"が機関車達の出す音を音楽に当てはめていたのを覚えていますか。あれを深く掘り下げると、今回のような物語になるかもしれません。

プロットの前半では、音楽好きのニアに焦点を当てながら、周りの音に耳を傾けるように一度BGMを止めて、「生活の中のどんな音でも音楽になる」というメッセージを創造的な方法で示しています。虫の声も、列車が線路を走る音も、汽笛や踏切の音も、風がパイプの穴を吹き抜ける時の振動音も。第23シリーズ『トーマスとカーニバル』にも似たようなものが物語を進行するヒントになりましたね。

 

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©︎Mattel

 後半は「The Show must go on!」(やめるわけにはいかない)というショウビズのキャッチフレーズを用いながら問題をテンポよく解決していきます。一方ニアは運が悪ければコンサートが開かれない、強いては楽しみにしていた自分が見れないことを危惧して焦っているのでそれどころではありません。幸運にも、トーマスは前半でニアから教わったことを覚えていて、ラストで独創的な方法で活きるギミックになっています。

 

 ちなみにAEGに良く出てくる小ぶりの赤い跳ね橋はクイックドロー・ブリッジ(Quickdraw Bridge)*1という名前であることがこのエピソードで判ります。ヴィカーズタウン橋はまた別で出てきます。クイックドロー・ブリッジはソドー島の内陸の橋のようです。

 

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©︎Mattel

 挿入歌「Music is Everywhere」は聞いての通り、英語圏で人気のキッズソング「The Wheels on the Bus」の替え歌です。2021年6月にオリジナルシリーズのアルバムとして発売された人気童謡の替え歌集『Nursery Rhymes』でも同楽曲の替え歌が公開されたばかりなので耳慣れしていますが、替え歌集はこの為だったりして...? いや違うか。

小学生の時にペットボトルなどいろんな物を楽器として使って演奏会をしたのを思い出して懐かしい気持ちになりました。真似したくなるよねこういうの。

 

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©︎Mattel

 自分が想像していた結末とは異なりましたが、結末も含めて音楽好きのニアに焦点を当てた独創的で楽しくてよいエピソードだったと思います。落ち込んでいる友達のために最善を尽くすのも恐らくこの物語の道徳の一つでしょう、

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 AEGのパーシーは石炭入れの中にいつもラッキーベル(The Lucky Bell)を持ち歩いている設定になっています。第5話にも出てきましたね。第9話では『パーシーのラッキーベル』というエピソードで大きく触れられています。

このベルも音楽に使われるといい感じですね。

 

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©︎Mattel

 第6シリーズから第24シリーズにかけて背景にカメオ出演していたルシンダ号が初めて物語で触れられました。最も、カラーリングは違うし、名前も無いので完全に別物のようですが。二人称なんて「he(彼)」だし。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 というわけでAEGニアの初のメイン回は第1シリーズ前半の中でも特に記憶に残る良作でした。音楽を題材にしたエピソードとしても、意外な展開で解決する方法も好きでした。アニーとクララベルが変わらず音楽好きであることにも安心しました。

第16話にもニアがメインの話がありますが… 飛ばして次回のレビューは第17話になります。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:drawbridgeで跳ね橋を意味するので、翻訳されるとしたらクイック跳ね橋かな。