※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E38 『Nia's Perfect Plan』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: ピーター・ガフニー
内容: ニアは完璧な計画に固執し、物事が上手くいかなくても手伝いを断ってしまう。
【このエピソードについて】
AEGの最初の104話は全てトーマスが主人公として物語をリードする(意訳)と聞いていたのですが、38話目にして初めてトーマス以外のキャラクターが主人公になる機会が訪れました。それが今回のニア回です。ニアで限定すれば、今までにも『おんがくはあちこちに』、『ニアのおおきなふうせん』、『トーマスはスーパートレイン?』、『ビーチはどっち?』などがニアがメインの回でしたが、どれもトーマスがリードしています。別に全ての話にトーマスが出るのが悪いってわけじゃないけれど、他のキャラや相互作用にスポットが当たりにくいので、これはありがたい選択です。
ともかく、今回は初めてのニア単体主役回です。再三度申している通り、個人的にはオリジナルシリーズのニアが大好きなのですが、短編での彼女は性格に欠点が少なくて物語で扱いにくそうだったのを覚えていますか。AEGではさらに深掘りされていて、助けを求め(られ)ないところを、自分の計画に頑固=計画がうまくいかなくても計画を棄てられないという解釈で性格の欠点が追加されています。例えば、配達場所が近くにあるのにそれでも自分の計画の順番通りに届けようとします。賢くて頭の固い人にありがちなことです。
彼女の性格は十分に物語で活きています。でも、残念ながら最初からフラグを立てるので、結末が簡単に予測可能です。単調すぎる『ニアのおおきなふうせん』よりはある程度工夫されていますが。
良かった点は、中盤でどういう展開になるのか想像がつかないことです。上述のエピソードでは、強風の中をパレード用の風船を運ぶ状況で何が起こりうるかすぐに想像できます。まあ…、急ブレーキで家畜車の扉が開く、交差点で大人の機関車たちが渋滞を起こす、この両方の展開とも1シリーズのうちに何度もやりすぎてる感は否めないですが。前者は『かぞえて モーモー』だし、渋滞は前回のエピソードでも見た光景です。信号機能してなさすぎる。
もう一つ良かった点はいろんなキャラクターが登場することです。賑やかで彩があり、トーマスとカナだけでなく、バルストロードやハロルドも余すところなく活躍しました。中盤でジェームスが出てきたのも良かったです。いつも事故に巻き込まれてるけど。「事故は起こるものさ」と、苦笑い気味に優しい対応ができているのが従来と異なるところですが、えらい不機嫌になって見ている側もストレスになるよりはマシかな…。
ハロルドが教訓を与える役だったのも個人的にエモいなと。「時には計画がうまくいかないこともある。だから新しい計画を立てるんだ」の言葉に、S6『うんのわるいハロルド』が脳裏によぎりました。
でも、従来の物理法則のあるシリーズで、郵便物を運んで墜落したハロルドが、家畜車かニアを運ぼうものなら完全に持ち上げられなさそうですね。AEGのちびっこ機関車って風船みたいに軽いんでしょうか(笑)
正直、渋滞が解消されなかったのはちょっとすっきりしないですね。
ほんの一瞬の場面なのでめくじら立てる必要はないと思うのですが、ヘンリーやらケンジやらヨンバオやらが重複しちゃってるし、謎の紫色のモブ機関車までいるし。そこまでして長い渋滞を表現しなくても… と笑いが出そうです。一度渋滞を抜けたはずのジェームスもいるし。
【チェックポイント】
エドワードとヘンリーといえば渋滞巻き込まれ役みたいになってますね。
カメオ出演だけどヨンバオとケンジで日と中の車両が並ぶ貴重な場面。ゴードンの隣には、ゴードンの車体を流用した紫色のモブ機関車がいます。誰だオメー。
全体的な面白さ:☆☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
演出に困った時の御用達かのようにネタの使い回しの頻度さえ多くなければ、面白い話だと思います。物語の中にいろんな要素がある割に思っていたより書くことがなくて自分でも驚いています。ともかく、ニア主役回としては申し分ないです。
総合評価: 6/10