※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E42 『Ghost Train』『ゆうれいれっしゃ』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: エヴァ・コンスタントプーロス
内容: トーマスはハロウィンの日にパーシーが恐怖に立ち向かうのを手伝う。
【このエピソードについて】
『Ghost Train』といえば、長年のファン的にはオリジナルの第2シリーズ『ゆうれいきかんしゃ』が真っ先に出てくることでしょう。絶大な人気で、私も好きなエピソードの一つです。普段通り、絵本の明るい雰囲気を保ちながら、不気味でダークな雰囲気と映像効果を組み合わせたことでとても印象的な物語として記憶に残っている人も多いと思います。
インパクトのある映像は教訓を伝えるのに最適です。第5シリーズみたいに「死」を直接的に扱うのもよろしくは無いし、ただ恐ければいいってもんじゃないのですが、子供の時に見た、主に子ども向け作品の瞬間的な一驚は、大人になってもよく覚えていて、振り返って道徳を確認して「こういうことを伝えたかったのか」と気づくことができるんじゃないかと思うんです。ディズニー映画『ピノキオ』とか、アニメ『星のカービィ』とかがいい例です。
さて、AEGの同名のタイトルはどのような作品だったでしょうか?
CG期にもホラー回がいくつかあるのですが*1、ハロウィンを題材にした話は、実はS9『トーマスとこむぎのちから』から久しいんですよね。クリスチャンにとって異教徒の祭りであることはこの際置いといて。
前回は夏の終わりにゆううつな気分になるトーマスのためにパーシーが精一杯おもてなしをして元気付けるという内容だったのに対し、今回は幽霊列車が出るハロウィンに郵便配達を済まさなくてはならない臆病なパーシーのためにトーマスがついていってあげる物語になってるのがエモいですよね。
ああ、ボクシーと再会できて嬉しいです。
展開に関しては、あらすじの通りに不気味に仕立て上げられてるのですが、どちらかといえばドタバタ喜劇寄りに振られています。まず、視聴者側には幽霊列車の正体が(伝承通りでは無いとはいえ)初めからわかっているようにできています。それで展開も予想しやすいですし、この回もある意味キャラクターの反応を楽しんだり、"尊さ"を噛み締める感じの物のように捉えられます。
マテルのプレスリリースによれば、共感を学ぶ道徳の一つとしてこのエピソードが挙げられています*2が、個人的には、同じく暗闇の中をトーマスが付き添って遊び心で恐怖を忘れさせる『ひみつのスパイ ナンバー・ワン』の方が心に残りました。
ディーゼルがいたずら貨車たちとつるんで脅かそうとして、結果的に自分たちが驚く羽目になるのも、未就学児向け番組のあまりにも多く使い古されたお約束のような展開と言えます。
特に、シートを被って逃げていくネタや、フクロウの鳴き声などは従来のシリーズにもあります。寧ろ、これらはS8『ハロウィン』の焼き直しのように見えます。ディーゼル達の計画が失敗に終わることを除けば、展開はほとんど同じです。
ハロウィンの経験を経て結果的にはパーシーが成長し、『さよなら おばけたいじマシーン』に繋がります。パーシーの成長と怖がるちびっ子達を見守る回みたいなもので、怖い要素はあんまりないです。物語は悪くないのですが、当たり障りのないもので、空虚感がまとわりつきます。
音楽はかなり良いです。いつもの楽曲を不気味にアレンジしたBGMなどは、雰囲気作りと想像を膨らませる役割を十分に担っています。
【チェックポイント】
ディーゼルといたずら貨車との関係は、例えるなら、やんちゃ小僧と親戚の意地悪な叔父さんみたいで可愛らしいです。
全体的な面白さ:☆
遊び心:☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
再び印象に残らない回です。ホラーが題材なら模型期並の恐ろしさを追求すべきだとまでは言いませんが、何かもう少し刺激が欲しい感じで、不気味さは感じられませんでした。個人的にはもう一度見たい内容ってわけでもないです。
総合評価: 5/10