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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第47話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E47 『More Cowbell』『カウベルをかえして』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: サラ・アイゼンバーグ、ベッキー・ウォンバーグ

内容: 線路でカウベルを見つけたトーマスは大喜びするが、仲間達はそれを独占してしまう。

 

【このエピソードについて】

 マテルの教訓に関するプレスリリースでこのサブタイトルと内容を知った時、第7話『ドラゴンときしだん』と内容が被っているではないかとツッコミを入れました。それゆえ、どうせフィラー・エピソード(穴埋め)だろうと、全く期待せずに蓋を開けました。

 

©︎Mattel

 確かに他の機関車が共有物を独占し始めたり、「順番を守る」、「共有する」教訓は同じなのですが、「返すこと」もテーマとして重点に置かれていて、必ずしも同じ物語ではないことがすぐにわかりました。少なくとも、共有物を道端で拾ったカウベルにしたことで、トーマスの仕事を羨ましがった仲間が奪っていくよりは、十分、理にかなっています

やっぱおかしいよアレ。。。

 

©︎Mattel

 では『ドラゴンときしだん』のバージョン2.0か、と問われると、実はそうでもないといえます。

冒頭ではトーマスが落ちていたカウベルを、誰のものかも尋ねずに拾い上げて自分のものにしてしまうあたり、トーマスが倫理観を投げ捨てあらゆる帽子を盗むことで悪名高い、S14『ゆきだるまのぼうし』を思い出してしまいます… (笑)

でも、子供ってそんなもんですよね(暴論)。もちろん、肯定じゃないですよ。

私も、小学2年生の頃はいたずらっこで、お寺の下で見つけた木製の立派な杖を見つけて、それで遊んでいたことをふと思い出しました。後輩がそれを欲しがってみんなで遊んでいるうちに、先生に怒られて取り上げられてしまいました。当然ではあるんですが。杖は先生が預かったまま4年経ってもその場にあったので、それこそ返してあげたほうが… なんて思いながら小学校時代を歩んでいました。今思うと他に事情があったのかもしれない。

それはさておき、AEGの話に戻りましょう。

 

©︎Mattel

 挿入歌「He Should Have Give You Back」は、私のお気に入りの一曲の一つです。というのも、映像のシュールさも相まり面白くて笑い転げたからという不純な理由でですが。上の画像を初めて見た時、不覚にも、ピクサーの『モンスターズ・インク』を思い出しました。

この曲は「なぜパーシーはカウベルを返してくれないのか、僕の孤独な叫びを聞いてくれ」と悲痛な気持ちを歌う曲です。視聴者側からするとカウベルを盗んだという事実が冒頭から常につきまとうので複雑な気持ちにもなりますが、そこが面白いんです。なにしろバックコーラスにベルを落とした牛が参加しているのですから。AEGの脚本家たちみんな牛好き過ぎでしょ。

曲調はウェスタン・カントリーソングと、映画『ミスティアイランド レスキュー大作戦!!』のエンディングテーマ「Misty Island Rescue Song」と同じくらいアメリカを感じて笑ってしまうのですが、曲調が大人っぽくて印象に残ります。

 

©︎Mattel

 『ドラゴンときしだん』と大きく異なる点は、先述の通り、トーマス自身もカウベルを盗んでいる事です。とはいえ、牧場でカウベルを探すまで、彼らはカウベルがそもそも何なのかさえ知りませんでした。

トーマスが雌牛にカウベルを「返す」場面は、このエピソードで最も素敵な場面です。アニメーションとセリフの間の置き方が絶妙で、「返す」ことがいかに子供にとって心理的に難しいかを物語っています。パーシーやニアが好奇心を抑えられなかった描写もリアルでした。

ただ、盗んだことが放置されているのはどうなんでしょう。同時に盗んでしまったことを謝罪したらもっとメッセージが強いものになったのではないかと思います

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 カモメが見つけた小汚い紫色の風船は、第9話『パーシーのラッキーベル』でカーリーの機関庫に、ショートアニメ『ふうせんをつかまえろ』に出てきたトップハム・ハット卿に送った"特別な風船"です。

 

©︎Mattel

 カウベル事件が解決した後、あんなに共有するのを嫌がっていたパーシーがラッキーベルを共有しようとするところが成長を感じられて好きです。ディーゼルもオイル缶の"ラスティー"の共有を赦すのも、少し尊い連続性です。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 短いレビューでしたが、個人的には良作だと思っています。確かに『ドラゴンときしだん』の二番煎じ感は否めませんが、メッセージ性とアニメーション、そしてセリフが優れている渋くて良い物語として心に強く残っています。

 

総合評価: 7/10

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