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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第3話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E3 『License to Deliver』『ひみつのスパイ ナンバー・ワン』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ピーター・ガフニー

内容: トーマスは、暗闇を恐れるパーシーと一緒にスパイごっこで楽しみながら灯台のライトを届ける。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 キャンベル・ブライアー監督がインタビューで用いた"遊び心を交えて働く"という表現の意味を理解したもう一つのお話です。これは暗闇の中を走らなければならない怖がりなパーシーに、スパイごっこを通じて楽しんでもらおうというもの。変装をしながらいたずら貨車やニアに見つからないようにしたり、サンディーに作ってもらった極秘任務用の装置を使ってマッコール農場のウシや、ウシとたわむれるディーゼルに気づかれないようこっそり進む遊びを繰り返す、少しワクワクする内容ですね。

スパイが題材になってるのは確か初めてですよね。近年、S22『ぶひんのなぞをさぐれ』では似たような雰囲気でしたが、あれは探偵・刑事物のパロディでした。どちらも"ごっこ遊び"をチームワークで結びつけているので雰囲気は混同してしまいがちだと思います。シドニーの貨車に積まれた部品を何に使うのか手がかりを探る物語と、暗闇を恐れないように楽しむ方法を教える今回とでは内容は異なります。

物語全体は、夜道でも昼間と同じように楽しむことができることを伝えています。最も日本じゃない限り子供たちが夜道を平和に楽しむことは出来なさそうですけど。秘密の装置を含むので一つの娯楽としては楽しいです。"秘密のカラーメッセージ"が出る煙突は、これ以降で"けむりタッチ(Sky-five)"や、赤い停止マークが常時可能なところを見るに全く必要ない気もしますが、雰囲気が大事ってことなんですかね。

 

©︎Mattel

 でも、どうして灯台の電球を夜のうちに配達しなくてはならないのでしょう。それはプロット上、なんの意味もないことです。S11『トーマスととうだいのあかり』では、必ず暗くなる前には届けるようにと制限イコール「灯台は夜に使われるもの」の前提を内容にしていたのに。確かに灯台灯台として機能するのは夜ですが、夕暮れまでに岸辺を照らす物がなければ、船が事故を起こしてしまう危険性が考えられるからです。S7『ソルティーとあらし』が、それを映像と緊迫感で説明しています。

 

©︎Mattel

 遊び心が満載で可愛らしくて面白いのですが、本当に内緒で配達しなくてはならない状況が前提条件だったらもっと面白くなったんじゃないかなと思う瞬間もあります。誰かに隠し事があるとか、誰かに恨みがあるとかではなく、最初から最後までトーマスがただ遊びたいだけで、そこにパーシーが遊びに付き合ってるだけなので、なんかきっかけがあったらより楽しめるのではないかなと、ディーゼルの場面を見て思いました。まあ勝手に"見つかってはいけないスーパーヴィラン"と見立てて、本人には内緒で遊ぶのも子供らしいんですけどね。

 

©︎Mattel

 挿入歌「Secret Agents」は、個人的にはさほど記憶に残らないです。少なくとも「I'm Gonna Chug」よりは聞き心地が優しくて落ち着きがあり、まともだとは思います。ただ、歌詞が単調すぎて。

UK版はびっくりするほど音が外れていましたが、子役自体に文句はありません。通常、アンリ・チャールズの演じるパーシーはキャラクターにぴったりハマっていて大好きです。むしろUS版の子役声優がみんな歌うますぎると思う。

UK版トーマス役のアーロン・バラシのインタビューによれば、パンデミック真っ只中、第1シリーズの声の収録はリモートで行われたようです*1。加えてUS版の音声を聴きながら吹き替えを行なっているため、独自の演技ではなく、もしかしたらレッスンする余裕がなかったのかも?

 

©︎Mattel

 口で言うなら簡単。実際にランプが切れて怖気付くのはオリジナルのトーマスっぽい感じがしました。なんだかんだでパーシーが成長していたのはよかったです。実は勇気があるってこういうところなのかな。まあ他のエピソードで再び暗闇を恐れるようにはなるんですけども。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 タイトルコールや、パーシーのニックネームは『ジェームズ・ボンド』のパロディで間違いないでしょう。音楽もそれっぽいですよね。放送当時、2021年に『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』が上映されたので理に適っています。

このエピソードがメキシコ、アメリカで放送された後、主に米国のファンの間で「未就学児番組であの血生臭い映画のパロディをするなんて」と物議を醸しましたが、親御さんがクスッとくるようなネタと同時にスパイ映画で最も有名なものを選択しただけだと思います。たぶんターゲットの未就学児はそれが何かはわからず、スパイごっこを楽しむだろうと思います。もちろん、このパロディの中には暴力的な要素は含まれていないのでご安心を

余談ですが、私が幼稚園・小学校低学年の頃は、周りで007ごっこが流行っていました(笑)

 

©︎Mattel

 変装がジェームスによって速攻でバレたのはちょっぴり笑いを誘いました。

3話でジェームスをお目にかかれて嬉しいです。プロトタイプ版のアートワークでは子供のような姿でしたので、どういう役割で登場するのか疑問しかなかったので。

 

©︎Mattel

 このエピソードが2021年にメキシコで放送されるまで、アニーとクララベルが登場することさえ不明でした。ただ、この時はまだ人間キャラクターが誰一人出ていなかったのでなんのための客車キャラなのかと思いましたね。

ところでブレンダムの港の新しい橋ってなに。このシリーズでいう船着場のこと?

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆☆

道徳:☆

 

【最終的な感想】

 展開が読めず、遊び心も満載なので、正直なところ最初の4話の中で最も面白いエピソードだと思っています。ただ、完璧ではありません。シリーズ全体ではまだ単調で、物語の中にきっかけが必要に感じます。あと配達物。

 

総合評価: 7/10

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