Z-KEN's Waste Dump

喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第16話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E16 『Nia's Balloon Blunder』『ニアのおおきなふうせん』

監督: ジェイソン・グロー

脚本: パトリック・リーガー

内容: ニアが届けるはずだった風船が飛んでしまい、トーマスとカナは彼女の計画を調整する手伝いをする。

 

【このエピソードについて】

 長年のファンにとって、風船の話と聞いた時に、S15『おおきなふうせん』が脳裏をよぎった人は少なくないと思います。そのエピソードではトーマスとパーシーが島一番の馬鹿で描かれていて、親友であることを押し付けるかのようなセリフや、明らかに鉄道で運ぶには大きすぎる風船(タンク機関車の数倍の高さ)を運ぶのに、バブルスさんを酸欠にさせる勢いで巨大風船を3つも無駄にしてしまう退屈なものでした。後の『勇者とソドー島の怪物』や、S21『トップハム・ハットきょうのおかあさん』で冗談にした言及や、どれほど無意味かと皮肉の効いた場面に使われるほど馬鹿げており、『グラグラのきてき』に匹敵する悪いものとして記憶している人も多いのではないでしょうか。

 

©︎Mattel

 『ニアのおおきなふうせん』に出てくる風船とは、ニューヨークのメイシーズ・サンクスギビング・デイ・パレードのオマージュのようです。1920年代から毎年行われる感謝祭で『バーニー&フレンズ』や『スポンジ・ボブ』などの有名キャラクターを模した巨大な風船を浮かばせながらマンハッタンの通りを進む大規模なパレードですね。2014年にはトーマスの風船も参列しました。よく電灯に引っかかったりして風船が割れる事故とかがあるんですよね。

 元ネタの解説はともかくとして、今回のエピソードは、S12『Duncan and the Hot Air Balloon』(日本未翻訳)と、S15『おおきなふうせん』の焼き直しのような感じになっています。前者は熱気球に嫉妬したダンカンのお話で、後者は巨大風船をトーマスとパーシーの2台で興奮して運ぶ中身のない話と、もちろん内容はまるっきり違うのですが、それぞれの微妙な点をほんの少し修正しています。

 

©︎Mattel

 ぶっちゃけ、風の強い日なら畳めて運ばせろよと野暮なツッコミを入れたくはなるのですけどね。でも子供ってどんな時も風船を手で持ちたくなるものですよね。

この回ではその場で考えて行動を取るトーマスと計画を立てて行動するニアのキャラクターが活きていて、トーマスの考える「即興(Improvise)」をテーマに、風の強い日にどうやってパレード用の風船を運ぶのが最適解かをカナらと協力して運ぶ内容です。さほど素晴らしくもないですが、試行錯誤を繰り広げる分には、キャラクターが思考停止している『おおきなふうせん』の何倍もいいと思うんです。何しろ風船を無駄にすることもないのですから。

暗い森での、カナの「ビューン」がカッコ良かったですね。前回『にじをおいかけて』の冒頭のカナの場面をこの回に移植した方がよかったのではと思います。

 

©︎Mattel

 フローティー(吹替版ではフワフワちゃん)がトンネルに詰まる場面では、やはり『おおきなふうせん』を思い出さずにはいられませんでしたが、ここで即興で解決できちゃうのがAEGなんですわな。

 

©︎Mattel

 前回初登場したルックアウトマウンテンが早くも次の物語に出てくるわけですが、フローティーがその高さを保っているのなら、山を登るよりもカナがカーリーとサンディーを連れてくる方が最適解なのでは。

 

©︎Mattel

 ここからは余談になります。脚本家のパトリック・リーガーは同時期に『チャギントン』第6シリーズの脚本も手がけているのですが、この他のエピソードでも出てくるので混同でもしたのか分かりかねますが、『チャギントン』のキャラクター、ココのキャッチフレーズ「トレインタスティック! (Train-tastic!)」という造語が使われています。仮に「Cinders and Ashes!」や「Bubbling Boilers!」などトーマスシリーズの造語が使われなくなったとしても、子供向けの造語を使いたいにしても、同じ鉄道車両のシリーズだとしても、キャッチフレーズは真剣に考えた方がいいと思います。いくらなんでも流行りに乗りすぎというか。

 幸いにも、日本語吹替版では「カンペきかんしゃ」というダジャレにすり替わっていました。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 現状、AEGにはブルーノ以外のブレーキ車は出てきていませんが、パレードの風船の形から、ブルーノの姿形がとくべつ北米風なのではなく、AEGのソドー島全体でカブース型の可能性があります。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 進行自体は淡白で特別素晴らしいというわけではないですが、例を挙げた2つの風船絡みのエピソードよりはずっと面白かったと思います。前回と打って変わって焼き直しには成功していると言えます。あと、フワフワちゃんのアニメーションが立体的で良かったですね。

 

総合評価: 5/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。