どうも、『空の軌跡 the 2nd』を遊んでますます時間が消えていくぜるさんです。
それはさておき、皆さんは今月17日に米Thomas & Friends公式YouTubeチャンネルで公開された新番組『Thomas & Friends: Railway Stories』(以下、『TFRS』と略します)の最初のスペシャル『Really Helpful Engines』はご覧になりましたか? 30分とサクッと観れること、テンポの良さ、そしてデザインに慣れようと思って、ぜるさんはもう何十回も繰り返し視聴しています。
めでたいことに、1週間で300万回再生されるなど、かなり注目が集まっていますね。
一応、リンクを貼っておきますが、今回はまだ観られてない人も、観た人にも、観てわかった特徴や変更点、小ネタ、そして配信後に明かされた情報などをまとめましたので、よければ参考にしてください。
【目次】
〜判明したこと〜

ここでは、動画が配信された直後から出たニュースや、英語圏における番組情報、そしてキャスティングなどをまとめてご紹介します。
【ナレーション復活】
TV版では、第1シリーズから第21シリーズに至るまで、配役は変更しながらも、物語のキャラクターとは別に、絵本の読み聞かせのような"語りべ"が存在していました。英国版では第1〜2シリーズにリンゴ・スター、第3〜16シリーズではマイケル・アンジェリス、第17〜21シリーズにマーク・モランが担当。
第22シリーズから第24シリーズにかけてはこの役割をトーマス自身が担うようになり、『AEG』では表現が豊かになったためにナレーション自体が廃止されました。
そんなナレーションが本作『TFRS』で復活しました。過去作のように、作中ずっと語るわけではありませんが、世界観の説明や、状況説明に一躍買っています。
『Really Helpful Engines』からナレーションを務めるのは、コメディ映画『クレイジー・リッチ!』(2018)や、ヒーロー映画『G.I.ジョー: 漆黒のスネークアイズ』(2021)において主演を務めたイングランド人俳優のヘンリー・ゴールディング (Henry Ewan Golding)です。まさかの大物キャストですね。
UK版のリンゴ・スターや、日本語吹き替え版のジョン・カビラのように、渋くて落ち着いた声で語りべをしていたのが印象的です。ジョン・カビラといえば、日本語版ではどうなるのでしょうね。最後にナレーションをしたのは彼でしたが、続投するのか、それとも一新するのか。
【トーマスたちの英語版キャスティング】
〈トーマス〉

先ほど貼ったリンクでも紹介されていますが、今回からトーマスの英語版声優もまた変わりました。『Really Helpful Engines』からトーマス役を演じるのは、ハートフォードシャー州ハーペンデン出身のハリー・スパークス (Harry Sparkes)。本作が声優デビューとなる、13歳の子役です。
記事によれば、過去9ヶ月間のうち毎週行われた声の収録は他の生徒には秘密にしており、クラスメイトには「足の怪我の治療」に行っていたと語っています。
彼は「本当に素晴らしい気分です。小さな頃にトーマスで遊んだり、番組を見ていた自分が、今度はトーマスになれるなんて、信じられない気持ちです」、「次の世代の子どもたちが成長していく中で見ていく作品の中で、自分も関われることにワクワクしています」と、語っています。(記事より抜粋・直訳)。
〈ニア〉

さらに、『Really Helpful Engines』では登場しませんでしたが、アフリカのケニアから来たタンク機関車のニア役を、エリーメイ・サイアミ (Ellie-Mae Siame)が担当することがBBCで報じられました。エリーメイは、今年で14歳になるスタッフォード在住の若手俳優です。5歳の頃から演技の仕事を始めたエリーメイのデビュー作は映画『Four Kids and It』(2020年)でした。
BBCラジオ・ストークにて彼女は「『Thomas the Tank Engine』という作品がこれほど大きな作品だとは本当に驚きました。人気なのは知っていましたが、まさかこれほどとは……」*1
連絡が来ない、または再オーディションや台本の読み合わせによばれる程度だろうと考えていたため、「すぐにニアを演じるチャンスを与えてくれたなんて、本当に信じられない気持ちです」と語っていたそうです。(一部抜粋・直訳)。
〈ディーゼル〉

ディーゼル役は、子役のレオ・メカム (Leo Mechem)が演じることが判明しました。こちらも『Really Helpful Engines』には未登場ですが、公開後に、イングランドのエセックスにある演劇学校Singer Stage School公式インスタグラムにて発表されました。生徒さんのようで、詳しい経歴や出身地等はわかっていません。
〈その他のキャスト〉

上の画像は『Really Helpful Engines』のキャスト一覧ですが、それ以外のキャストの情報も含めて記載しておきます。中には過去作から続投したキャストもいます。
●ヘンリー: クリス・ウッドワース (Chris Woodworth)
●ゴードン、機関士*2: ジャンゴ・ビーヴァン (Django Bevan)
●ジェームス: ナイジェル・ピルキントン (Nigel Pilkington)*3
●パーシー: オスカー・エリオット (Oscar Elliott)
●ロージー: イリアナ・ヴァルガス・ブロック (Iliana Vargas Brock)*4
●いたずら貨車たち: ライアン・デュヴァル (Ryan Duval)*7
●アニー: ホーリー・テイラー (Hollie Taylor)*8
●クララベル、女性: ジェニー・フィッツパトリック (Jenny Fitzpatrick)*9
●ブルーノ: エリオット・ガルシア (Elliott Garcia)*10
●バーティー*11、マッコールさん、整備士ほか: ローリー・バーネット (Rory Barnett)
●ディーパック: ナーナク・フローラ (Nanak Phlora)
●ハロルド: ポール・パンティング (Paul Panting)*12
●クランキー: カリーム・クロンフリ (Karim Kronfli)*13
●トップハム・ハット卿: ジーン・フォード (Gene Foad)
●子どもたち: ローワン・オールトレイン (Rowan Alltraine)
グレタ・レイルトン (Greta Railton)
バーティー、クランキー、機関士役は、公開後に投稿されたFoxy Tongue Viocesという事務所の公式Instagramにて判明しました。これらは『Really Helpful Engines』には未登場ですので、短編の公開を待つことになります。トーマス、パーシー、ロージー、ニア、ディーゼルが子役なのに対して、バーティーは大人の声優なんですね。
ディーパック役のナーナク・フローラはロンドン生まれですが、しっかりインド系の声優さんです。名前もヒンディー語由来ですね。
ヒロ役のトーゴ・イガワは注釈にも書きましたが、『伝説の英雄』の原語版から第24シリーズの最後の出番にかけてヒロ役を演じた日本人俳優です。再起用おめでとうございます。どういった出番になるのか気になりますね。
ジェームス役のナイジェル・ピルキントンも、第19〜24シリーズまでにUK版のパーシー役とトレバー役を演じた声優です。まさかのジェームス役で再起用!
ハロルド役のポール・パンティングは、英国の鉄道アニメ『チャギントン』にてアーヴィン、ピート爺さん、モーガンなど様々なキャラクターを演じた声優さんです。
【脚本家】

これは『Really Helpful Engines』の冒頭で判明したことですが、今回は脚本家のほか、ヘッドライターとSVヘッドライターの両方がクレジットされていました。
本作のヘッドライターを務めるのはロンドン出身のジェームズ・ハミルトン。Netflix限定のアクションファンタジーシリーズ『ジェントリー・チャウ VS. 魔界のモンスター』(2024年)や、SFコメディ『スペースドギーズ』(2021-2022年)などの作品で共同開発ならびにヘッドライターを務めた、数々の功績を持つ脚本家です。彼のウェブサイトによれば、既に過去形となっており、現在では仕事を完遂したものと考えられます。
SVヘッドライターはエミー賞受賞のジル・コッツァターナー。PBS、Apple、Netflix、ディズニー、ニコロデオン、Smithsonianなど数多くのクライアントと仕事をし、主に教育カリキュラムに基づいた子ども向け番組の脚本を手掛けています。
【アニメーション制作】

これもエンドクレジットで判明した情報ですが、今回アニメーションを手掛けているのは、アイルランドのダブリンに拠点を置くアニメーション会社のブラウン・バッグ・フィルムズ (Brown Bag Films)。カナダのメディア企業9 Story Media Group傘下のカナダ資本の会社で、パリ、ロサンゼルス、トロント、そして過去にマンチェスターにもアニメーション制作施設がありました。
過去にはニコロデオンのTVシリーズ『オリビア』(2008-2010年)、ディズニージュニアの『ひらめき! ユリーカ』(2022-2023年)、Netflixの短編映画『スニーチはスニーチ』(2025年)などの35個以上のアニメーション作品を手掛けました。
今回はマテル・スタジオとヒット・エンターテインメントとの共同開発のようです。
始めのうち、本作はAIなのではないかと疑いの目を持つファンが多く見受けられましたが、ウェブサイトによればAIを使用していないとのこと(寧ろ批判的)ですので、お間違えのないようにお願いします。
【短編作品について】
ニア、ディーゼル、バーティー、クランキー、機関士などの登場が待たれる短編作品についてですが、様々な記事で明かされている通り、詳しい日程についてはわかっていませんが、2027年初頭に公開予定とのことです。英国の未就学児向け番組『Milkshake!』では今年10月に『Really Helpful Engines』を放送したのち、2027年初頭に短編の第1シリーズを放送するとあります。
ヘンリー役のクリス・ウッドワースのInstagramによれば放送尺は約10分とのことです。また、ハリー・スパークスのBBCインタビューにて、第1シリーズの収録を終え、現在は第2シリーズの収録の真っ最中であることが明かされています。
現時点では第2シリーズまでが確定しているということです。『AEG』を超えるくらい長くやってくれたらいいなぁ。
〜観てわかったこと〜
ここから先は物語の内容については触れませんが、一応ネタバレ注意としておきます。番組の特徴、変更点、小ネタや、今後についてをまとめました。また、この記事はレビューではありません。レビューは別の記事で投稿する予定です。
【過去作との連続性】
ファンの誰もが気になっていることだと思います。第22シリーズ〜第24シリーズ、いわゆるBWBA期はリブートと題したのにも関わらず、結果的には第21シリーズ以前と連続性があり、第24シリーズまでがオリジナルのTVシリーズと言える立場でした。一方で『AEG』は公式で第25シリーズ〜第28シリーズと称されながらも、意図的に連続性は無くなっており、独自の世界観を持つソドー島として描かれたほか、過去作に出たはずのトビー、ダーシー、ウィンストンといったキャラクターは初めましてと自己紹介する形で出番がありました。
では、『TFRS』ではどうなのか。
まずはっきり言えるのが、過去作との連続性は無いと思います。

そもそも劇中に出るかどうかもわからないチャーリー*14が性転換してそうなキャラクターデザインであること、バーティーやハロルドといった線路以外のキャラクターデザインが一新していることを考えても、別の世界線のソドー島なのだなと容易く脳内変換できます。個人的にはね。
劇中でもこの雰囲気は感じられ、例えばトーマスが改まってソドー島の仲間のことを紹介したり、あるキャラクターの役割が少し変わっていたり、トーマスの学ぶことがかなり初歩的だったり、『AEG』の最初の長編作品よろしく彼らは当たり前のように新顔のディーパックと友達でした。これは過去作の来島時期の不明瞭なロージーやビクターと同じことかもしれませんけどね。
『AEG』同様に完全にリブートし、懐かしさを感じながらも、現代の視聴者に改めて説明していくことになる作品だと思います。
【レギュラーキャラクター】
少なくともオープニングで確実にメインキャラクターと思われるものたちの特徴や変更点についてわかったことをまとめました。
〈トーマス〉

番組全体および『Really Helpful Engines』の主人公です。Motirizedのセットのパッケージ裏面には社交的という単語が追加されている以外は生意気で図太い(bold)性格であることが記載されていますが、本作の中編では生意気なところはあまり描かれておらず、まだ世間をよく知らないティーンエイジャーのように描かれていました。
オープニング、ならびに作中では「I'm a helpful engine」や「helper」といった感じで自己紹介している辺り、とても素直で、自分に可能なら積極的に手を貸そうとする描写が見受けられました。まだ初回なのでわかりませんが、アニーとクララベルが出てない辺り、自分の支線を持つ前のトーマスなのかなと思える描写がいくつかあります。パーシー、ヘンリー、ゴードンと違って自分の専用の仕事を持っていないのか、基本的に本作では積極的に手伝いをする機関車というのが第一印象です。
劇中ではトップハム・ハット卿に「Do you now? And is there a specific job you'd like to do? (何かやってみたい仕事はあるかね?)」と尋ねられています。短編になれば変わってくるかもしれませんが、「useful」という単語を用いながら「helper」と紹介されていることからこの説はあり得るのではないかと、現状では考えられます。
ちなみに、作中では第4の壁を破って視聴者に話しかける様子が頻繁にあります。過去には『魔法の線路』、第8〜12シリーズまでのオープニング、第22〜24シリーズの前説と道徳紹介コーナーなどでも見られた光景です。
〈パーシー〉

トーマスの親友ということと、郵便配達が専業であること以外は、まだあまりわかっていません。彼の性格については短編になればわかるかもしれませんね。作中では、自分の仕事を気軽にトーマスに手伝ってもらおうとしたり、丘で暴走するトーマスを友達として心配し、ブルーノやディーパックと共に勇敢に助けに行くといった描写が見られ、今のところ『AEG』のように頻繁にビビり散らかすところは見られません。短編もこれが続くことを祈っています。
また、郵便配達の際に扉が閉まってるか確認しないまま出発するという、『AEG』のニアの大雑把な要素が取り入れられ、慎重さはヘンリーに奪われてるように見えました。
そういえば、 リベットがあるのは本当に緩衝器の付け根と機関室のみになり、かなりスッキリしましたね。残念ながら砂箱の向きは修正されませんでした。

それから、玩具やプロモと違って、やはりえくぼが付く描写はありませんでした。結局なんなんだこのプロモの顔は。
〈ロージー〉

ロージーもまだほとんど性格がどんな感じなのかはわかりませんが、第21シリーズで描写された競走・ゲーム好きな部分は残されていて、客車と貨車両方とも引っ張るほか、操車場での入換え作業がやはり主な仕事のようです。このほか、故障車を真面目にティドマス機関庫に運ぶといった入換えに特化・またはレスキュー機関車として活躍する描写もありました。『AEG』のカナとBWBA期のエミリーの合いの子のような存在なのかなと予想しています。
そうそう、過去作に無かった要素の1つとして、なぜか海外訛りの英語で喋るようになりました。出身地のアメリカ英語ですらなく、スラブ系、またはフランスなどのアクセントに近いと感じたのですが、海外の英語の発音に詳しい方がおられましたら教えてほしいです。
なぜロージーに訛りがあるのかはわかりませんが、以前、ロージーのキャラクター研究で触れたように、彼女の実機は戦後にオーストリア、中国、エジプト、フランス、イングランド、ギリシャ、イラン、イラク、イスラエル、イタリア、オランダ、パレスチナなど多数の海外に渡っていたり、彼女みたいにメインロッドが真ん中の動輪についているタイプのコピーされた機関車がユーゴスラビアに存在するのですが、もしかしたら『TFRS』のロージーは一旦そこを経由して来島したコピー機なのかもしれませんね。

ロージーも同様に、玩具やプロモで見る強気なドヤ顔は未だ見受けられず、全体的に丁寧で優しい雰囲気でした。
〈ゴードン〉

実際に視聴した方ならわかると思いますが、実は『Really Helpful Engines』のもう一台の主人公とも言えます。物語の内容ははっきり違えど、ある意味現代版の『トーマスとゴードン』とも言えそうなスタイルなんですよね。
ゴードンは『AEG』の落ち着いた雰囲気を残しつつも、自惚れやでつい口を滑らせたり、プライドの高い性格で描かれています。自分の間違いを認めた時に他の若い仲間たちがショックを受けたのがそれを強調していますよね。自分が認めた機関車には優しくおおらかでいるのは原作っぽいとも言えます*15。
今回は原作や従来シリーズのように、トーマスとほぼ対等な立場にあります。さすがに子役声優ではないのですが、かといっって『AEG』みたいにはっきりと大人と区分されているわけではありません。
従来シリーズ同様、急行列車を牽くのが主な仕事ですが、『Really Helpful Engines』では特別な仕事と称して貨物列車や、マッコールさんの農場から酪農配達、そしてヴィカーズタウン操車場の入換作業を嬉々として行おうとしているなど、従来シリーズに比べてかなり成熟しています。いやむしろこの成長を従来シリーズでも見たかったなぁ…。ところで大型テンダー機関車が入換作業をしなくてはいけないほどこのソドー島は機関車不足なんでしょうかね。まるで初期のようだ…。
そうそう、玩具の色味よりは明らかに明るいですが、トーマスに比べると色が暗く、区別がつきやすくなっていましたね。
〈ヘンリー〉

あのヘンリーが第24シリーズぶりに喋るどころか、第21シリーズぶりにレギュラーキャラクターに戻りました。おめでとう。いやあ本当にめでたい。

そんなヘンリーは、『TFRS』では郵便配達のまとめ役(責任者)であるとトーマスの口から紹介されています。フライング・キッパー以外の常時の役割がある…! ここで同時に懐かしさを覚えた人もいるのではないでしょうか。そうです、第3シリーズ『おくれたゆうびんしゃ』において、ヘンリーは一度本土からパーシーの元へ郵便配達の接続をやっているんですよね。やっぱり島をパーシー1台で郵便配達するのは無理があるので、懐かしい上にかなり理にかなった選択だと思います。
本作では物語に直接関係ない上に出番が少ししかないにも関わらず、強烈なインパクトを残していきました。第19シリーズみたいに極端な心配性に戻ったと思いきや、郵便配達の責任があるからこその極端な心配性になっているんです。何もしないでただ怖がっていたあの頃のヘンリーとは訳が違います。そして私ごとですが、彼の気持ちにめちゃくちゃ共感しました。誰かの郵便物が事故でちゃんと届かなかったら…? という心配を郵便のバイトをしてた時に何度も考えたことがありました(笑)
私の思い描く理想のヘンリー象(原作らしさ)とはかけ離れていますが、なんだかんだで面白いキャラクターになっていそうなので短編が楽しみです。

ゴードンがトーマスと色味が異なるようにヘンリーもパーシーと違うのかと思いきや、パーシーの方がパステルカラーになり、相対的にヘンリーの方が暗く見えるという感じでした。あの玩具の色味はなんだったの?
〈ジェームス〉

実は『Really Helpful Engines』のレギュラーキャラクターの中で唯一台詞が用意されませんでした。ですので、まだどんな性格なのかはわかりませんが、ジェームズ・ハミルトンがBlueSkyで言うには自惚れや(Vain)な性格だそうです。
車輪の中心のパーツやサイドロッドのピンが赤で塗装されてる辺り、いよいよ自分の知ってるジェームスとはかなりかけ離れてきたように感じます。煙室の手すりが黒くなってたり、緩衝器と緩衝器の間が詰められているのがちょっと残念。
〈ブルーノ〉

ブルーノは自閉症のキャラクターというところは変わらないようです。先にも書きましたが、UK版の声優エリオット・ガルシアくんも続投でとても安心しています。
会話する時に相手と目線を合わせられなかったり、ブレーキ車としての役割を真っ当にやろうとしたり、ダジャレを好むなど、『AEG』の彼の性格と変わったところはなさそうです。聴覚過敏と地理や運行に関するこだわりでストレスを感じるかどうかはまだ不明です。短編で明かされるかもしれませんね。

また、慈善団体である自閉症啓発ネットワーク(ASAN)が本作でも続けて携わっていることがエンドクレジットで確認できました。今回も慎重に自閉症のキャラクターとしての開発が行われそうで、個人的にはかなり嬉しいところです。扱いに期待しています。
生みの親であるダニエル・シェアストロムは本作の制作にはいませんが、『AEG』のクリエイティブプロデューサー兼ブルーノのもう一人の生みの親とも言えるモニカ・デニスが本作のコンサルティングプロデューサーとして仕事を続けられていました。ありがたい限りです。
〈トップハム・ハット卿〉

お腹の厚みは無くなったものの、依然として太っちょではあるようです。正面から見ると、どことなく『AEG』のトップハム・ハット卿に似ていませんか?
本作を見てすごく嬉しかったことの1つが、トップハム・ハット卿の役割でした。彼はまだ時々コメディ要素が描写されていますが、基本的には原作、従来シリーズ同様、仕事の指示を出す局長かつ、ノース・ウェスタン鉄道の機関車たちにとっての父親的存在に戻っていました。『AEG』の(一部エピソード*16を除く)なんのためにいるのかわからない人物ではなくてです!!
機関車たちを平等に見て、機関車たちが間違ったことをしていたら叱り、正しい方向に導いてあげています。従来シリーズに比べると幾分か穏やかなようにも見えますが、威厳はまだあります。良いキャラクターに戻って本当に嬉しい限りです。服装もなんだか華やかですよね。
【新要素】
〈ディーパック〉

クレーン車のディーパックは、先の通り、当たり前のようにトーマスたちと友達で、オープニングにもいることから、レギュラーキャラクターの1台であると考えられます。インド人名で、顔の特徴もそんな感じですが、口調はインドではなく、ロンドン訛りっぽいんですよね。声優のナーナク・フローラくんもインド系イングランド人ですので、これは意図的なのだろうと思います。現在のロンドンはインドの移民が増え、カレー文化が浸透しています。「ロンドンに行ったらまずインドカリーを食え」と現地の人から教わるほどです。なので、インド系イングランド人みたいなキャラクターがソドー島に1台2台いたって良いでしょう。
そんなディーパックはとても良いやつでした。第一印象は礼儀正しくて気さくな性格です。友達が抱え込んでいるのを放っておけず、すかさず助けに来るほど良いやつです。良いやつすぎて今のところ浮いた特徴が無いのは『AEG』のカーリーと共通していますね。
というのも、『AEG』のカーリーみたいに「手」のような存在を欲しているのかなと見れば見るほど思うんです。50トンほどあるはずのトーマスを頑張って持ち上げて隣の線路に移し替えたり、線路を跨いでブルーノを機関庫まで押していってあげたりと、何かと便利な役割が目立ちます。自信に満ち溢れているところを掘り下げて、短編でどうにか面白くなることを願っています。
〈女性作業員〉

以前のCGI期では女性機関士または機関助士までしか登場しませんでしたが、ようやく女性の労働者が登場しました。劇中ではナップフォード駅、港、ウェルズワース駅、そしてティドマス機関庫で確認できます。「この番組は性差別的だ。女性労働者を増やすべきだ」と言われてからここまで本当に長かったですね。環境によってはリアルではないかもしれませんが、背景に当たり前のように描写することによって、子どもは潜在的に偏見・差別意識を抑えることができるので、重要なことです。
とはいえ、レギュラーキャラクターの男女比が再び7:1になってるのはそれはそれで問題だと思う訳ですが、原点を意識すると仕方のないことなんですかね。

最も、女性の作業員というものは、映画『Go!Go! 地球まるごとアドベンチャー』が初出でした。こちらはソドー島ではなく、アフリカ大陸のどこかの操車場に限定されていました。

それから、この存在を無視してはいけません。『AEG』ではソドー島に女性の整備士が登場していました。整備士のみでしたが、これは大きな一歩だったと言えるでしょう。この作品、作業員自体をほとんど見かけないので…。
〈謎の建設現場〉

作中で重い荷物を建設現場へ運ぶ仕事がありました。本来はゴードンの特別な仕事でしたが、トーマスとディーパックが代わりにお手伝いしています。何が建設されるのかは短編でわかるのでしょうか。それとも永遠に明かされないのでしょうか。
わかりませんが、個人的にはソドー動物園の拡張工事説を考えています。
【過去作の要素】
〈トップハム・ハット卿以外の人間キャラクターも話す〉

すでにトレイラーの時点でマッコールさんがトーマスに話しかけているので、「当たり前じゃねーか」なんて思うかもしれませんが、『AEG』の直後ですので、機関車たちが跳ねなくなった事よりも重要だと思います。そもそも『AEG』は、トップハム・ハット卿と、サンタクロースという特別な存在以外は機関車たちと話さないという脚本上のルールがありました。時々モブキャラクターが喋ったりすることはあるものの、機関車たちにはなしかけませんし、レジナルドというネーミングキャラも基本的に話さず、トップハム・ハット卿が代わりに通訳をしていました。
今回の『TFRS』の中編ではというと、マッコールさんのみならず、第24シリーズ以前と同様に、(見てくれは作業員ですが)整備士に台詞があり、この場面ではゴードンに話しかけています。
上述の声優情報にも記載した通り、機関士にもキャスティングされていますので、将来的に再び話すようになることも確定しています。やっぱりこうでなくっちゃね。
〈ナップフォード港〉

ナップフォードの港が、第5シリーズ『みどりのくじら』ぶりに再登場です。アセットがブレンダムに似ていますが、ここにクランキーの姿はありませんし、ナレーションによってここがどこか言及されています。
一応、第20シリーズ『サンタクロースへのてがみ』の回想シーンと、第23シリーズのパーシーのキャラクター紹介にてその一角が映像で映し出されはしましたが、いずれも1カットのみで本筋には出てきませんでした。そもそも全体像が映ること自体が初めてなのではないかと思われます。



注目ポイントは大きく分けて2つです。奥にはナップフォード港のものと思しきプラットホームが見えます。駅舎はウェルズワースの流用ですが、第2シリーズ『トーマスとあたらしいともだち』に出てきた"新しい港"の駅にも見えませんか?
もっと言えば、原作のナップフォード港の駅に見えなくもありません。特に片側にしか駅舎が無いのはどう考えても原作を元ネタにしていますよね。駅からドック沿いに線路が一直線に伸びていますし、そこからTV版の大規模な港へ拡張されたと見られる風景にはなんとも趣があります。原作とTV版初期の良い塩梅のミックスと言えそうです。



もう1つは「Sodor Shipping Co.」と書かれた会社の倉庫。ブレンダムではお馴染みの緑色ですが、初期のナップフォード港に配置された倉庫は、黄色っぽい、灰色っぽい、なんとも言えない配色でした。1992年にバンダイから発売されたTECS*17の「港の貨物区」セットではオレンジ色の配色で出ました。
『TFRS』のナップフォード港の倉庫は、これらの配色を踏襲しているかのように思えてなりません。もしブレンダムの港が出た時は、緑色で分けられてるんじゃないかと予想しています。もしこれが合っていたら、区別としてかなり良いなと思う次第です。今回の制作スタッフもwikia確認してそうですよね。
〈水車小屋〉



オープニングの中にお馴染みの水車小屋が映り込みます。形状は明らかに『魔法の線路』(2000年)のものを意識してモデリングされています。それ以外のシリーズにおける水車小屋は、CGI期含めてもっとシンプルな造りなんです。
但し、従来シリーズでは形がどうであれ一貫して池、または湖のような場所だったのですが、本作では運河のようになっていて、それを沿うように道路が敷かれています。個人的にオーウェン・ベルのイラストを連想しました。オーウェン・ベルの描く水車小屋周りは、どれも画を賑やかにすべく、その下に線路が敷かれていることが多く、制作陣が参照しているのではと考えています。
〈ソドー吊り橋〉


ソドー吊り橋といえば『みんなあつまれ! しゅっぱつしんこう』(2005年)から初登場して以来、CGI期、『AEG』で欠かさず登場し続けたロケーションの1つです。それまで緑色の橋だったのですが、『TFRS』では赤色の橋になっています。勘の良い人なら気付いたと思いますが、これは『みんなあつまれ! しゅっぱつしんこう』の冒頭で嵐で崩落する前の状態にとても近い配色です。
まだ赤いということは、『みんなあつまれ』を経験してないトーマスたちってことになりますね。建築されている場所は絶対にクロスビーとウェルズワースの間じゃなさそう。
クロンクの高架橋や3ウェイの立体交差などは前回の記事で言及しましたので、今回は割愛させていただきます。この調子でティドマス駅とか出ないかしら。
【音楽・SE】

本作から音楽を手掛けているのはアイルランドの作曲家ダレン・ヘンリー (Darren Hendley)。テーマソングや挿入歌の作曲も手掛けています。
新しいテーマソングには、ファンならお馴染み第1〜7シリーズの楽曲を手がけたジュニア・キャンベル (Junior Campbell)とマイク・オドネル (Mike O'Donnell)の名前がクレジットされています。
そう、今回のオープニングテーマはトレイラーにも流れていましたが、がっつりキャンベルとオドネルの作曲したメインテーマのフレーズを使った、全く新しい曲になっているんです。
Apple MusicやSpotifyでサウンドトラックが配信されているので是非聴いてみてほしいです。メインフレーズだけでなくイントロからアウトロに至るまであの懐かしい音色、そしてメインフレーズを口ずさむ機関車たちの歌声がまた可愛い…!!
そういうわけで、文字通りニュースタルジーを象徴するテーマソングになりました。「Engine Roll Call」も好きだけどやっぱりこれですよね。
但し、『トーマスのはじめて物語』と違って、全編通してキャンベルとオドネルの懐かしいフレーズのBGMが流れるのではなく、すべて新しい音楽で、キャラクターごとに新しいテーマが用意されているようです。でも、どれもどこか80年代を思わせる、謎の懐かしさを覚えます。特に港のテーマが印象的です。
それから、ここからは音楽ではなくSEの話になりますが、ジュニア・キャンベルとマイク・オドネルと言えば、当初からシンセサイザーを扱う作曲家。初期のTV版のトーマスたちの汽笛の大半は、このシンセサイザーで表現された音でした。ですので、リアルな蒸気機関車の音とはどれもかけ離れているものの、耳馴染みの良い音でしたよね。
『AEG』からはパーシー、ゴードン、ニア、ウィフ、ヨンバオ、ディーゼル、ケンジの汽笛または警笛・空笛の音色が一新されましたが、本作『TFRS』では、登場する機関車たち全員が汽笛の音色が一新されています。トーマス、パーシー、ロージーの場合は『魔法の線路』よろしくオリジナルの音色にエコーをかけたような音で、ディーパックはソルティーの汎用警笛SEの流用でした。
どれもリアルというよりかは、よりおもちゃの機関車みたいな音になった印象です。
【お馴染みの間投詞の復活】

これは日本語では関係ない話ですが、原作からTV版第24シリーズにかけてトーマスが驚いた時によく使う「Cinders and ashes!」、ゴードンが第14〜24シリーズにかけて困った時に使う「Oh, the indignity!」、そして原作以降誰もが驚いた時に使う「Bust my buffers!」といった間投詞(感嘆詞)が、再び使われるようになりました。
簡単に言えば「Oh my gosh」や「Holy s*it」を機関車が使いそうな言い回しにした間投詞で、日本語版では「Cinders and ashes!」→「うわあ!」または「大変だ、どうしよう!」、「Oh the indignity!」→「ああ、まったくなんてこった!」といった感じに意訳されています。
『AEG』ではこれらの間投詞は使われなくなり、トーマスの場合はジーザスを略したかのような「Gee」、ゴードンの場合は「Great gears!」*18、「Bust my bumpers!」*19などのキャッチフレーズに変更されていただけに、結構嬉しい復活でした。個人的には「Great gears!」も好きなんですけどね。
【原作ネタ】
〈書籍ネタ〉

本作のオープニングシーンの直後とエンディングでは、トーマスの絵本を開く場面から始まり、絵本を閉じて終わるという粋な演出が入っています。その際にいくつか原作ネタが仕込まれていることに気づきましたか?
まずは、物語の幕開けに開かれるこの絵本、ファンならすぐにわかると思いますが、どう考えても原作2巻『機関車トーマス』の表紙のパロディですよね。その下にはトップハム・ハット卿が使ってる金時計もあります。
さて、この画角にまだ原作、というよりもウィルバート・オードリーの書籍ネタがあります。どれだと思いますか?

正解は左端に映り込んでいるシートです。これは1958年に刊行された「Railway Map of the Island of Sodor」という、初めて手元で確認できるタイプのソドー島地図の載った書籍(?)の表紙です。劇中ではややアレンジはされてはいますが、素敵な小ネタだと思いませんか。




また、絵本のページを開いた際に、一番最初にナップフォード駅の全景が描写されているのも、近年の英語版の原作絵本における最初のページを開いた時のジョン・T・ケニー、またはクライヴ・スポングの見開きイラストっぽいですし、文字は誤魔化されていますが、右下のトーマスとアニーとクララベルのシルエットや、ブリット・オールクロフトのサインとガレイン社のロゴマーク等が確認でき、細部のこだわりと本物感を演出しているんです。
〈ヴィカーズタウン機関庫〉


ヴィカーズタウン操車場の遠景をよく見ると、原作1巻と2巻に出てきたヴィカーズタウン機関庫が存在しているのが確認できます。

従来の第22シリーズでも出てきはしましたが、全体像は映りませんでした。今後誰かが入るのかなと思うとワクワクします。
【大まかな変更点】
〈ナップフォード駅〉

ナップフォード駅は依然として中央駅のまま*20でしたが、元々本屋だった場所にトップハム・ハット卿のオフィスがあり、代わりにオフィスだった場所に本屋ができています。
これはゲーム『Wonders of Sodor』のナップフォード駅の特徴と一致していますね。
〈ティドマス機関庫〉

ここも従来のTV版同様にトーマスたちの拠点である*21ということ自体は変わっていませんが、軽い修理ならソドー整備工場ではなく、機関庫で済ませられるという感じになっています。単にソドー整備工場のアセットが完成していないだけかもしれませんが、より機関庫らしくなったと感じます。また、第3シリーズの機関庫内部のように、内部の煙突が追加されて鉄道らしくなりました。
【アニメーションの表現・見た目】

機関車たちが身振りのように車体を揺らすことも含めて、ぱっと見アーク・プロダクションとジャム・フィルド・トロントが制作した第24シリーズまでのCGI期に戻ったように見えなくもないですが、CGモデルは機関車、車両、人間、動物、レール、背景とロケーションのアセット含めてすべて一新されています。つまり、また新しく作り直しているんです。
画風としては、被写体にピントを合わせて背景をぼかすという、より一層ジオラマ風の映りになりました。

ジオラマ風ということで懐かしさを覚えるかもしれませんが、鉄道模型、または実在性のある画風とは異なり、本作ではおもちゃっぽさが強調されています。登場人物はリアルな人々みたいに自然体で動いていますが、あくまでも絵本の中の物語みたいな感じに見えます。信号機の形なんかが特にそれっぽいです。
また、『AEG』のように飛んだり跳ねたり、意図的に脱線したりなんてことはなく、あくまで機関車、自動車として一貫した動きを保っているものの、クレーン車のディーパックがトーマスを持ち上げて線路を移し替えるという動作があるように、子どもがおもちゃを遊ぶ感覚に限りなく近い何かを感じました。『AEG』に比べたら幾分か現実的でも、時々『おもちゃの国のノディ』みたいな世界観に見える時があるんです。おそらく意図的なのでしょう。

トップハム・ハット卿を含む人間キャラクターは、イルミネーション作品みたいに自然な人間の動きをする、アニメと現実の合いの子のような表現にはなっていますが、従来のCGI期と異なり、リアル調ではなくなり、どちらかといえばTV版初期の人形で表現されていた時代に最も近いと言えるのではないでしょうか。
もちろん、人形になったわけではないのですが、表情やポージングがそれに近いと感じています。

ソドー島は地図に忠実…ってわけでもなく、まずこの場面自体が第8〜12シリーズのイントロみたいに簡易的なものなのだろうと思います。ソドー島の一番大きな山はまずこんなに中央に聳え立っているものではないですし。
でも、周りにマン島とグレートブリテン島本土に囲まれていることが一目瞭然なのが良いですね。『AEG』では一応英国と言われつつも、生息する動物を含めてどこに存在しているのかわからないレベルでした。
〜将来の展開について〜
ここからは、上述のわかったことを踏まえた、自分の考えについての話です。
【個人的な期待値】

初期のTV版とも、以前までの2Dともまた趣が完全に違うので両者で賛否両論あると思いますが、私としてはかなり好印象を抱いており、次の展開にとても期待しています。軌道修正とも言えるニュースタルジーなリブートという点も気に入っていますし、何より描写が結構細かくて、落ち着いた調子で、安心してみられます。
例えば、ジェームスの客車を入れ換える場面では、複線ポイントレールを駆使して丁寧な入換作業が行われるほか、彼が出発する際に、走り出しのみロージーが後押ししているんです。BWBA期みたいに時間を埋めようと乱暴に突放したり、『AEG』みたいにいい加減な描写無くです。まずここが信用できるポイントの1つだと確信しています。
『Really Helpful Engines』の脚本も、言ってしまえば、従来の短編を30分に伸ばした超絶シンプルなストーリー性ではあるのですが、意味不明な展開の『AEG』の最後の2つの長編と違って、文脈と構成がしっかりしていて、穏やかなのにテンポが良く、心にグッとくるような台詞や、伏線と言えるような描写があったりと、非常に楽しむことができました。原作や従来シリーズを思わせる道徳も気に入っています。
後述の不満要素や、機関車たちの牽引力が極端に弱くなっている、ミュージカル演出の際に踏切のど真ん中で立ち止まるなどの演出が無ければ、8点くらい付けていたかもしれません。まあレビューは後ほど投稿する予定ですので、そちらで。

しかし、これはあくまでほんの最初の作品に過ぎないことに留意が必要です。いわば公開用のパイロット版みたいなものです。キャラクターも、ローリングストックも、登場するロケーションは過去作に比べて少ないです。これは従来の第1シリーズ、初めてCGIで表現された映画『伝説の英雄』、CGI制作会社の変わって背景が乏しい『キング・オブ・ザ・レイルウェイ トーマスと失われた王冠』、そして52話もあるのにキャストが少なすぎる『AEG』の第1シリーズにも同様のことが言え、いわゆる初期段階に該当するからです。短編が続いていけば、徐々にキャラクターやロケーションが増え、従来のような活気を取り戻すことは間違いないでしょう。
また、線路がローポリのようにカクついている、遠景に見える線路が途切れている、機関車が線路から浮いている、場面ごとにキャラクターが消えたり向きが変わる、陸橋に岩のテクスチャがめり込んでいる、ポイントのない場所で線路を切り替えるなどといった、特に粗探しをしていなくても目立ってしまうヒューマンエラーが3分に1回のペースで存在しています。
これも、第13シリーズや第17シリーズなど、制作体制変更間も無い頃に頻繁に起きていたことと同じです。恐らく時間が経てば修正されていくことです。普通は1〜2年かけて1シリーズ制作していき、プレスコ収録するものですが、特に本作は、たった数ヶ月のうちに急ピッチで制作された第13~15シリーズの時の状況と非常に似ています。

というのも、先述のハリー・スパークスとヘンリー・ゴールディングのBBCインタビューの動画内でちらっと映るこの台本をよく見てほしいんですが、元々のタイトルと思われる『Really Useful Engines』の横に台本の日付と思しき数字が確認できます。そこには「2025年12月21日」と記載されていますね。本作が投稿されたのは2026年9月17日。トレイラーは2026年8月21日です。
台本の寄稿日が12月21日だとして、第17シリーズ以降みたいに声の収録がプレスコ方式だとして、見積もってもし8月初頭に映像が完成したとしたら、絵コンテとアマチュアCGが既にこの時点で完成済みだとしても、わずか7~8ヶ月の間に急いで30分の映像を制作したことになり、ディテールの制作や、十分な確認を取る余裕さえ無かった可能性があります。そう考えると、情報解禁以降全く映像がチラ見せされることがなければ、短編作品が2027年初頭に公開予定というスケジュールにも合点がいくような気がします。
こういうのは時間に余裕ができれば化けるんじゃないかなぁと個人的には思いますので、ここまでのことに不安感はありません。
【少し不満なこと】

『AEG』に比べれば再びリアル調にはなりましたが、トーマスのフランチャイズとして間違えてほしくなかった点が1つだけありました。それが、今回の中編作品の中では、機関車の総称を指す「Engine」という言葉が、内燃機関のエンジンとして誤用して描写されていることです。
具体的には、
●ゴードンが「But Thomas, my engine is twice the size of yours. (俺にはお前の2倍のエンジンがある)」という台詞。
●「My engine's broken! (エンジンが故障しちゃった!)」という機関車たちの台詞。
●故障した際に、シリンダーではなく、動輪の上から黒煙が噴き出す。
といった意図的な描写です。
『AEG』では基本的に「locomotive」*22や、「train」*23といった単語が使われつつ、石炭を積む描写は消えてもなお機関車らしさがあっただけに残念でした。
スタッフクレジットを確認したところ、『AEG』や従来の第6〜16シリーズ同様に、いわゆる鉄道コンサルタントはいません*24。要は、誰も蒸気機関車の内部構造について知らない可能性があります。
アニメーターや脚本家に専門知識がないからこそ、過去に専門家が雇われている*25ので、知らないことを責めるつもりは毛頭ありませんが、細かな鉄道描写にこだわる『The Railway Series』を原作とし、実際の蒸気機関車についてのラーニングセグメンツを復活させたからには、全ての列車に緩急車を繋ぐよりも、ランプのヘッドコードを変えるよりも先に、この辺の描写を正しくやってほしいなというのが正直な感想です。
本物のような鉄道描写は望んでないので、題材にする以上、せめて蒸気機関車らしい特徴だけでも把握して制作に臨んでほしいんです。

また、機関士の存在は復活したものの、1台につき1人しか確認されていないので、今後のシリーズで機関助士が復活することを願います。
〜終わりに〜
ここまでが『Really Helpful Engines』が公開されて判明したこと、劇中を観てわかったこと、そして個人的に思ったことです。かなり長くなってしまいましたが、参考になればと思います。
プロモと玩具のバタ臭い顔を見て正直不安だったのですが、動いてる方が断然可愛くて、私の中でバタ臭さは払拭されました。ただ時々明る過ぎてビビッドカラーが目に優しくないことがあるのでなんとか修正してほしいところですが、個人的にはポジティブな印象の方が強く、超絶シンプルな物語にも関わらず、まるで絵本の読み聞かせのようで、何度も再生してしまいます。短編の公開が待ち遠しくて仕方ありません。
繰り返しになりますが、英国では10月に『Really Helpful Engines』が「Milkshake!」で放送され、短編の第1シリーズ(10分x18話)が2027年の初頭に放送されます。米国公式YouTubeチャンネルでの公開も大体この辺になると考えられます。並びに、2026年9月現在、第2シリーズの収録が行われている最中です。
日本での公開については不明瞭です。SCP側も公開前から当然把握していることでしょうけれど、少なくともまだEテレで『AEG』の第4シリーズ*26が放送されていない状況です。個人的には、最後まで放送してから次に移ってほしいです。最も近くて2年後ぐらいなのかなと予想しています。果たして声優は続投するのか。しても全然自然な感じがしますけどね。
では。
※この記事に添付したスクリーンショットの著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。
*1:子どもの頃は列車よりもプリンセスに夢中だったため。
*2:Foxy Tongue Voices公式インスタグラムより
*3:Loud and Clear Voices公式インスタグラムより。
*6:第13〜24シリーズにかけてヒロ役を担当した日本人俳優。
*8:Loud and Clear Voices公式インスタグラムり。
*10:『AEG』シリーズから続投。
*11:Foxy Tongue Voices公式インスタグラムより
*13:Foxy Tongue Voices公式インスタグラムより
*14:ジェームズ・ハミルトンによれば、チャーリーのエピソードは執筆していないため、玩具限定キャラクターである可能性が高いです。
*15:TV版で言えば『あなにおちたトーマス』、『パーシーにげだす』、『どろんこゴードン』など。
*16:第25シリーズ『ほんとうのいちばん』、『あらしのなかのサンディー』
*17:トーマスエンジンコレクションシリーズ
*18:「Great scot!」の機関車版
*19:これはCGI期でもたまに使われていました。
*20:原作ではティドマスが大きな駅で、ナップフォードはTV版でいうエルスブリッジで、ほんの接続駅みたいな役割。
*21:原作のトーマス、パーシー、トビー、デイジーのみファークァーの機関庫が拠点です。
*22:本来は機関車の米口語)。
*23:Thomas the Trainという勘違いをよくされがちですが、trainは動力車の後ろに繋げる列車の意味で、かつ列車の総称です。
*24:第17シリーズ以降でもあってないようなものでしたけどね。
*25:イアン・マキューが第15シリーズにプロデューサーに就任した時、ファンから全ての列車の最後尾にブレーキ車を付けるように言われたのを確認して訂正作業をしたと語っています。
*26:通算第28シリーズ




























































































































































































