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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第2回【再投稿】

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

S19 E02 『A Cranky Christmas』『クランキーのクリスマス』

脚本: マーク・ハッカビィ、ニック・オスラー

内容: 木箱を落としたクランキーが事故を隠す一方、トーマスは砂を使い果たす。

 

【高評価点】

・道徳「自分の間違いを認める」。

・氷の危険性と砂の重要性の描写。

 

【中立点】

・道徳は『なぞのきかんしゃジェフリー』に酷似しているが、幸いにも同じキャラクターが繰り返し学ぶことはない。

 

【低評価点】

・尺に合わせるために展開を長引かせたように見える。

 

 

【このエピソードについて】

 他の過去作レビュー同様、あえて放送順ではなくプロダクションオーダー順にすると、この回が第2話になるんですね。どうしよう、早速書くことがないかもしれない。

 

©︎Mattel

 そうですね、私が2016年にレビューした時と印象はあまり変わっていません。当時はリアリズムと鉄道らしさばかり囚われていて、(一体誰に媚を売っていたんだろうか?)、物語のことはあまり触れませんでした。現在の私は、この価値観と評価基準が完全に逆転していますが、それでも大差ありませんね。

 

 まず、道徳は前回の『なぞのきかんしゃジェフリー』と全く同じです。トーマスが貨車にぶつかって港にゴムボールがばら撒かれ、それを隠蔽するためにジェフリーをでっち上げたことを、クランキーが木箱を落として責任を問われることを逃れようと木箱を隠すことに置き換えるとこの物語になります。

 とはいえ、全く同じキャラクターが同じシリーズで全く同じことを学ぶこともありませんし、展開は徐々にトーマスが追い詰められていく『なぞのきかんしゃジェフリー』と違って、それ以上に物事を大きくする言い訳はしないし、事故を隠蔽した時にどんな混乱が起こりうるかというまた別の視点で描かれていることが特徴です。落下しても木箱自体が壊れないのはかなり不自然ではありますが、木箱の中身が最後の瞬間まで明らかにならないのでクランキーの不安感は共感性があって伝わりやすく、そういった意味では面白いです。

 クランキーって過去に何度も荷物を地面に(特に初期はわざと)落としているのですが、責任を感じるということは港の大黒柱として成長したことが伺えますね

 

©︎Mattel

 しかしながら、なぜこうも平凡で退屈に感じられるのか引っかかっていたんですが、実はサブタイトルにクランキーとあっても、クランキーそのものの出番は少なくて、お約束の砂の存在を度々忘れるトーマスとツルツル滑る氷の危険性が焦点に当てられているんですよね。これはクランキーが主役だという先入観で観ると、クランキーの物語とトーマスの物語で接続したときに、物語はスローペースで進む上、2度も港へ往復しなくてはならないせいで、後者の方が尺稼ぎになっているように感じてしまいます

英語版のサブタイトルは、キャラクターのCrankyと、恐らく、荷物がガタガタするcrankyのダブルミーニングになっているのだろうと思います。不安定なクリスマスみたいな意味合い。

 

 そんな、見方によって尺稼ぎのように感じる部分にも、良いところはあります。それは凍った路面の危険性だけでなく、凍った線路に対応するための塩や列車の砂箱の重要性を伝わりやすく描写したことです。模型中期から3DCG初期まで砂撒き装置の存在が完全に忘れ去られていましたので、砂があるかどうかに関わらずただ路面を滑る回に比べれば十分優れています。

 主役はトーマスでなくても良かったような気はしますが、トーマスとエドワードとの相互作用や友情が大好きで、2台の会話は心が温まります。特に、砂を使い果たしたトーマスのために、エドワードが砂を撒いてあげる場面はカッコよかったですね。賢く古い機関車が自分より若い機関車を助けるのは素晴らしいです。

 

©︎Mattel

 2016年のレビューで大きくツッコミを入れた砂撒き装置に関してですが、今ではそれほど重視していません。

確かにね、砂箱の明確な位置がわからないことは百歩譲っても、レールに付着しなさそうな高さから砂が降ってくるのは、同じく管を描写していない『ソルティーはうみがすき』のソルティーや、『ダンカンはもんくばっかり』のダンカンに比べてもかなり違和感があって、せめてポーターみたいな管がクローズアップの時だけ欲しいなと思うこともあります。

でも、トーマスみたいなメインキャラをクラスE2仕様のファンアートみたいにディティールアップするのはまた違うよなぁと。そこまでリアルに再現するためにコストを割く必要はない気がしてきました。今ではイアン・マキューが苦言を呈した理由がなんとなくわかります。

 

©︎Mattel

 ポーターが喋らなかったのは残念でしたが、最後にクランキーの口からボロが出た時の反応が好きでした。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 冒頭のティドマス・トンネルの雪景色が大好きです。そこをダックが走っているのも、トンネルからすぐそばにタウンホールがあることを示唆する描写も良いです。

 

©︎Mattel

 港で一番浮かれているソルティーはとても可愛いです。

 

©︎Mattel

 市長の華麗なスケートに注目してください!

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆

リアリズム:☆☆

キャラ活用:☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 悪いエピソードではないのですが、展開はお約束のといった感じだし、2つの物語が上手く絡み合っているとも言いがたく、個人的にはやはり平凡という評価に落ち着いています。でも、慌てふためくクランキーや、浮かれてるソルティー、先輩として活躍するエドワードや、市長のスケートなど、面白い部分はあるので、人によっては価値が上がるものと存じます。

 

総合評価: 5/10

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