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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第20シリーズレビュー第11回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。2016年に書いた感想を書き起こしたものです。

 

 

 

S20 E11 『Henry in the Dark』『やみにひかるヘンリー』

脚本: リー・プレスマン

内容: 手違いでヘンリーが暗闇で光るペンキを塗られ、それを目撃したトーマス、ジェームス、ゴードンたちが幽霊列車だと思い込む。

 

【高評価点】

・ヘンリーの形勢逆転劇が面白い。

・ヘンリーとゴードンの性格。

・ポーターのちょっとした開発。

 

【中立点】

エドワードの描写は大丈夫だが、他の機関車と一緒の言動をせずに、落ち着いた喋りをしたり、ヘンリーの味方になってくれた方が面白かったのではないかと思う。

 

【低評価点】

無し

 

 

 

【このエピソードについて】

 まだ11話目ですが、ここでヒューゴやジュディとジェロームなどをテーマにした恒例の6話収録のDVD「Extraordinary Engines」のエピソードのレビューに入ります。プロダクション・オーダーの順番では『ライアンとデイジー』の次にこのエピソードが入るようで、日本の放送で冬エピを飛ばしてこれが8話目にきたのも納得です。最初に紹介するのは、ヘンリーのエピソード。ここにはまだヒューゴは出てきません。さて、今期2つ目のヘンリー回になりますが、いかがなものだったでしょうか?

 

©︎Mattel

 これはなかなかに独創的なエピソードです。そう思いませんか? 

内容的にはもはや恒例となりつつある幽霊列車に纏わるもので、全体的にヒュ〜ドロな感じのホラーテイストなBGMが流れていますが、視聴者も一緒に驚かせる・怖がらせる雰囲気ものではなく、怖がる機関車たちを愉しむコメディスタイルの物語という感じです。ええ、通常なら穴埋めエピソードだと言うかもしれませんが、私はこれをとても面白いと感じました。

 

 ヘンリーは、心配性で繊細、そして臆病な性格と断定されて、第3シリーズから長年にわたって描かれ続けてきましたよね。原作と初期2シリーズでは決してそうではないんですが。第19シリーズになると、『トーマスのはじめて物語』での雨への恐怖に関連づけようとして、その解釈を違った見地で、更によりオーバーに描いたがためにヘンリー愛好家を筆頭に反感を買いました。『ソドーとうのゆきおとこ』とかね。

ありがたいことに、今期の『ヘンリーか? ゴードンか?』からは、その傾向を避けているように見えます。今回の物語では、その形勢が逆転したことにより、他の機関車たちが彼の姿を見て怯えるというのが、実に痛快でとても面白くなっていました。特に今だからこそ、ヘンリーでやることに意味があるんです

 

©︎Mattel

 実際の鉄道でも標識に蛍光塗料が使用されているのかどうかは知りませんが、ソドー島の線路は、大半が光源のない田舎で描写されているため、理にかなっています。最近では蛍光塗料を塗った自動車とかもあるみたいですね。

でも、確かに何も知らないで、暗闇の中をぼんやりと輝く物体が向かってきたらなんか怖いですよね。

 

©︎Mattel

 今回のヘンリーの性格も素晴らしかったですね。最初から最後まで陽気に描かれていますし、事情を話そうとしたのにゴードンとジェームスから「どうせ臆病だから怖がったに決まってる」と決めつけられた時は、悲しがるのではなく、エミリーがチャンスを与えても腹を立てて拗ねてしまうのが昔の人間味の強いヘンリーを見ているかのようで良かったです。

 そうそう、"昔の"といえば、ゴードンも戻ってきた感じがしました。ゴードンもまた、ヘンリーほどではないですが、長年プライドだけに固執していて、特にS17『こおりついたてんしゃだい』ではプライドの1点集中で描かれていたのに対して、自分が見たものを信じられずに慌てふためいたり、見てみぬふりをしたり、ヘンリーの前では強気でいようと下げたりと、様々な一面を面白く描いてくれて嬉しかったです。

本当はゴードンってもっと柔軟な性格してるんですよ。

 

©︎Mattel

 エドワードが怯える貴重な場面に関しては、ファンの間では否定的な意見が圧倒的に多かったのですが、私目線では何の問題もありません。普段は幽霊などを一切信じないゴードンが慌てている状況なのですから、実際に確認していないエドワードが尋常な事態じゃないと捉えていても不思議じゃないと思ったからです。それと安心感があるがために神格化されがちですが、彼は何事にも動じないような完璧超人じゃなく、ただ素朴で親切なキャラクターです。

 ただ、パッと見て慌てたトップハム・ハット卿を除いて、物語の登場キャラクター全員がオドオドしたバカに見えるのはいささか違和感があります。ですので、S18『たよりになるエドワード』で見せた、ちょっといたずらっぽいところを掘り下げる形で、唯一機関庫の中でヘンリーに蛍光塗料が塗られていることを知る仲間として、ヘンリーが怖がらせることに加担していたら、より面白かったかもしれません。

 全員が驚愕して機関庫の中に入る場面で、演出上自動ドアになったのかと思いきや、実際には作業員が扉を開閉していたのは面白かったです。作業員もきっとびっくりしたに違いありません。

 あと、ジェームスとゴードンがヘンリーをからかった際に、トーマスと一緒に彼らを睨んでいる描写は見どころですね。

 

©︎Mattel

 ポーターにいたずらっ子な側面を追加したのが好きです。これは一瞬の出来事です。彼はS19『ソルティーはうみをいく』で、ナレーターによって語られこそしないものの、臆病な一面を見せていました。呆然と油断したソルティーに、怪談のお返しのつもりでしょうか。それともただの戯れでしょうか。依然としてポーターの出番は少ないものの、どんなに些細でも掘り下げてくれるのは嬉しいです。

 

【チェックポイント】 

©︎Mattel

 ここ、絶妙な角度で、ゴードンの視界からは車体番号が見えないんですよね。そして顔を見ることなく驚いて逃げてしまうという。

 

©︎Mattel

 物語の冒頭で、ウィフとポーターがペンキを塗り替えてもらっているのが好きです。いつか会話してほしい。

 

©︎Mattel

 ブレンダムの港で、クランキー、ソルティー、ポーターのみならず、いたずら貨車(フライング・キッパーの一部)も一瞬怯えて目を閉じているのも好きです。

 

©︎Mattel

 目線を見るに、おそらく居場所を特定しているエミリーとエドワード。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

リアリズム:☆☆☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 キャラクターが適切に描かれていて、テンポがよく、とても楽しかったです。道徳も良く、しかしそれ重視出なくとも、物語とキャラクターが面白ければ素直に評価します。

蛍光塗料を扱うのも斬新な発想で興味深く、また出来る展開が増えた感じがしました。(*幸い第23シリーズで再利用されました!)。

 

総合評価: 9/10

 

 

【第20シリーズ総合評価】

1 うたうシドニー 9/10

2 サンタクロースへのてがみ 10/10

3 トビーとフィリップ 8/10

4 ヘンリーか?ゴードンか? 10/10

5 コーヒーポットきかんしゃグリン 6/10

6 グリンとスティーブンのレース 10/10

7 ディーゼルのひみつ 9/10

8 ブラッドフォードってきびしい 9/10

9 じかんをせつやくしよう 5/10

10 ライアンとデイジー 10/10

11 やみにひかるヘンリー 9/10

 

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