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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第20シリーズレビュー第3回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S20 E04『Henry Gets the Express』『ヘンリーか?ゴードンか?』

脚本: ヘレン・フォラル

内容: ゴードンの代わりにヘンリーが急行列車を担当することになる。

 

【高評価点】

・ヘンリーのキャラクター設定が戻ってきた。

・急行列車を牽ける設定も戻った。

・教訓。

 

【中立点】

・日本語吹替版タイトル。

 

【低評価点】

・ヘンリーが急行客車を牽くのが永続的ではないのは何故?

 

 

 

【このエピソードについて】

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©︎Mattel

 なんてこった。これはヘンリー史上最高のエピソードかもしれません。

第19シリーズでは『トーマスのはじめて物語』での扱いに違和感を持たせないようにするためか、心配性の面が強調されていて、『ヘンリーのしんぱい』は理に適っていて良かったのですが『ソドーとうのゆきおとこ』ではかなり臆病でした。このため、私を含む多くの古いファンが急な改変に逆に違和感を覚え腹を立てていたことをよく覚えています。

その次のシリーズである本作のヘンリーは控えめに言って素晴らしかったです。『勇者とソドー島の怪物』の機関庫の場面で、ヘンリーがパーシーに対して生意気だったのを覚えていますか。あのヘンリーが戻ってきました。原作本来の彼がここで描かれているヘンリーは、清々しいほど生意気で、不快にならない程度に皮肉屋で、そして何より自信に満ち溢れているのです。この3点全て物語に貢献しています。確かに急行列車を牽き始めたとき緊張していましたが、TV版では第9シリーズ以来なので理に適っています。これこそファンが待ち望んでいたヘンリーのキャラクター像です。

 ヘンリーがフォーカスされていて、実はゴードンのエピソードでもあります。だからこそどちらが急行列車を担当するのかで吹替版タイトルが『ヘンリーか? ゴードンか?』なのだと思うのですが、開始2分でヘンリーが牽き始めているので捻りすぎだと思います。もっとシンプルでもいいはずで、『ビルかな? ベンかな?』を真似る必要はないですよね。

それはされおき、ゴードンが準備に怠惰になっているところから始まり、ヘンリーが急行列車を牽く傍ら、ゴードン側はヘンリーの仕事=貨物列車を牽くことになります。ゴードンを気の毒に思う人もいるかと思いますが、鉄道の時刻表という大前提を考えてみてください。いかに時間を守ることやり遂げることが重要なのかわかると思います。

彼が学ぶ教訓は「やり遂げること」と「言いつけを守ること」です。特にゴードンはヘンリーと同等かそれ以上の能力を持っており、やる気があればできることが、これと他のエピソードでわかっているので、いい薬だと思います。何か他に理由があるなら別ですけど図々しく逆上するのは道理じゃないよねって話。まるで保護者と駄々をこねる子供のようで可愛らしいです。

問題があるとすれば、第20シリーズにもなってまだ成長してなかったことですかね。

 

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©︎Mattel

 ただ、シリーズ全体に言えることなんですけど、どうして原作みたいにヘンリーの急行列車を永続的にやらせないのでしょうか。(S22でレベッカが出るまで)ゴードンが唯一の急行列車担当前提なのは少し不思議ですし、彼の負担が大きいと思います。それにゴードンより扱いが上手かったのなら鉄道に利点があるのでは。

頻繁に牽くようになったと説明されていたはずですが、TVシリーズでは謎に頻度が低いんですよね。過去にヘンリーが劇中で急行列車を牽いたのは、S1『ヘンリーだいかつやく』、『フライング・キッパー』、『きてきとクシャミ』、『ゴードンみぞにはまる』、S2『せんろのうし』、S3『どろんこゴードン』、S8『ヘンリーとねがいのかなうき』、S9『ゴードンってすごい』の計8回だったと記憶しています(※もしかしたら見落としが多くあると思うので、あれば教えていただけると嬉しいです)。

吹替版ではニュアンスが異なるセリフ*1に置き換えられていますが、冒頭でトーマスが言う「Henry was pulled before. (直訳: ヘンリーが前に牽いてたよ)」は大体この辺から来ていると思います。むしろ設定拾ってくれてありがとうございます。

 

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©︎Mattel

 でもそんな欠点を忘れそうになるくらいの利点が機関庫の場面にあります。性格の話に戻りますが、それはヘンリーの皮肉屋としての部分です。トーマスに目配せしながら、ゴードンを上手いこと口車に乗せる策士な様子は、長年ゴードンと一緒にいるだけあって彼の性格をよくわかっているし、キャラクターとして非常に光り輝いて見えます。彼本来の人間味あふれる性格と、長年一緒に居続けているからこその尊さが本当に好きです。

ヘンリーだけでなく、トーマスやゴードンなどのキャラクター一つ一つのセリフも原作からそのまま飛び出してきたかのような雰囲気で、ヘレン・フォラルがいかにキャラクターへの理解度が高いかがわかります。本当に楽しいので感謝しかありません。

ビルとベンをブレンダムの港で出してゴードンに絡ませる機会を逃したと嘆く人もいますが、画面を支配する必要がないと思ったのならそれでいいです。一言だけどクランキーとポーターがいい味を出していたので、私としては全然OK。

 

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©︎Mattel

 ゴードンのストライキに関しては、ストライキというよりも"ヒステリーを起こす"という表現の方が適切でしたね。ストライキじゃなく期待外れだという人もいましたが、これは単に番組表の筋書きがストライキの意味を履き違えていただけだと思います。

 そうそう、ヒステリックの場面といえば、レニアスが出てくるとは思いませんでした。私の中では契約切れで降板したベン・スモールのレニアスがベストなのですが、ジョン・ハスラーのレニアスもかなり良かったです。なんの違和感もありません。もっとセリフを聞きたかったけれど、これ以降レニアスに出番が与えられなかったのは非常に残念なことです。

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 本人がいないところでゴードンを下げるんじゃあないよ(苦笑)

 

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©︎Mattel

 ヘンリーの「Express coming through!」に対して、「But... That's my line! (それは俺のセリフだぞ)」に笑いました。吹き替え版では「それは俺の仕事だぞ」に置き換えられていましたね。Lineは職業という意味にもなるのでまちがいではないというか、多分原語版はセリフ路線職業全てを掛けてそうですよね。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリズム:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 ファンの間で過大評価と言われる所以も理解はできるのですが、エピソード全体と登場キャラクター、セリフ、音楽、映像全て文句なしに痛快で素晴らしいので、この点数をつけたいです。個人的に好きなヘンリーのエピソード5本指に入ります。ゴードンもほんっと可愛いよなあ。

 

総合評価: 10/10

 

 

【第20シリーズ総合評価】

1 うたうシドニー 9/10

2 トビーとフィリップ 8/10

3 ヘンリーか?ゴードンか? 10/10

 

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:「ヘンリーがいるじゃないか」