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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第24シリーズレビュー第18回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S24 E15 『Gordon and Rebecca, Coming Through!』『ゴードンとレベッカのおとおりだ』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: 自分と同じ仕事をするレベッカに、ゴードンは自分のやり方を押し付ける。

テーマ: 経験と助言が全て正しいとは限らない

 

【高評価点】

・道徳。

 

【低評価点】

・本線で急行列車が蛇行しなければならないほど混雑した状況が2回続くのは不自然。

レベッカから学ぶことは多いが、一部の問題が放棄されている。

 

 

 

【このエピソードについて】

 ゴードンがレベッカを(半ば一方的に)最高の友達として認識してからの初めてのコンビでのエピソードです。

 

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©Mattel

 レベッカが初登場時にどのような考えで仕事に励んだか覚えていますでしょうか。はい、彼女は自分にとって素晴らしい仲間たちに囲まれて、自分も彼らと対等でなければならないという考えで早さを求めて仕事をして混乱を引き起こしました。

今回はゴードンが、同じ仕事をする、自分にとっての最高の仲間に自分と同じでなければならないと考えるという、無意識下で『おくれてないけどこんらん』の逆の立場になります。要約すると、自分のやり方で働いた経験が長い方が正しいとは限らないという話で、ゴードンは善意と好意で教えるものの、レベッカにとってはその助言がありがた迷惑で、自分のやり方が事故に繋がるリスクがあることに彼自身が気づくまでが物語の主軸です。威張っていて待てないことで事故を起こすという点ではS8『ゴードンとおなじ』に似ているかもしれませんが、キャラも内容も大幅に異なり、ここにはある程度働いた経験のある新参者を相手にして古株の方が学ぶという面白さがあります。

デヴィー・ムーア脚本のキャラクターは子供でも大人でも日常のあるあるをわかりやすく表現できていてすごく好きです。傲慢な人ほど気付きにくいのですが、もしかしたら自分もそうしてるかもしれないと、自分を見つめ直すいいきっかけになるかもしれません。実は私も気に入った相手(特に新人)にあれこれ教えて度が過ぎてしまうところは共感できました。実際に周りにもこういう人いますし。しかし、ゴードンの傲慢さはステレオタイプの如く誇張されて描かれていて、少し違和感がありました。

 一方、レベッカは一貫してレベッカでした。相手に対して思いやりがあるけど遠慮がちで、自分より小さな機関車にも線路を譲るほど。自分の意見を持っていて物怖じさえしないけど、ゴードンを傷つけないように言葉を選んで遠慮していたのも印象的です。思えば今期のレベッカは、主にスチーム・チームの一員に対してですが、含みのある言葉を真に受けることが無くなったなと思います。ソドー島に馴染んできてシリーズを越えてキャラクターの設定を離れすぎない程度に成長を感じられるのは嬉しいことです。

 

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©Mattel

 イギリスおよびソドー島では列車が左側通行なのは前提として、混雑した状況でどのように判断すればいいか少しわかりにくいかなと思いました。物語から考えるに、ゴードンはエミリーとディーゼルの列車がすれ違うまで待つ必要があったということです。そもそも本線で急行列車が蛇行しなくてはならないほど混雑した状況が2回も平然と続くのは、かなり奇妙です。運行ダイヤに問題があるのではないでしょうか。

  また、混雑状況の良心としてヘンリエッタレベッカに声をかけるところは好きですが、トビーが当たり前のように本線を走っているのはなぜでしょうか。ミラー期ですか?

 

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©︎Mattel

 本題になるまで、ゴードンがどれほど誇示的で傲慢かを表現するシーンがある中で、レベッカの謙虚さ、例えば遅い列車を先に行かせて待つのも時に混乱につながることを示唆する描写があるのに対して、ゴードンの非だけが焦点に当てられていたのがエピソードで最も残念なところです。
もとを辿れば運行ダイヤに落ち度があるように見えるため、臨機応変な対応をすることまで学べばよかったのかなと思いました。そういった意味では、レベッカの謙虚さに関する成長は、できればこのシリーズ中にやって欲しかったのが正直な意見です*1

まあ、子供たちがこの両極端な対応を見て自然に学習することを願います。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 先ほどゴードンの傲慢さが誇張されていることを批判しましたが、事故と自分の過ちを身をもって体験した後のゴードンは非常に好きでした。素直に反省し、レベッカはもちろん急行列車の責任と乗客のことを第一に考えた上で柔らかい言葉で視線を送るところは実にゴードンらしさがあったと思います。

 

 

全体的な面白さ:☆

鉄道らしさ:☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 初見時では自分に刺さらなくともそれほど悪いエピソードではないと判断し、7/10の評価を設けるつもりでいましたが、次に見返した時に言いようのない違和感が残り、もう一つの問題が放棄されているように見えました。ゴードンとレベッカの相互作用と道徳は素晴らしいですが、ゴードンの成長を描きたいなら焦点をどこかに当てるか、或いはレベッカを書きたいならどこまで道徳を広げるかを工夫したら強いエピソードになったのではないかと思います。

まあ何はともあれCGシリーズの最後にゴードンとレベッカのコンビ回を掘り下げてくれたことを感謝しています。

 

総合評価: 4/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:2Dシリーズは機関車が島で遊びを繰り広げるのが主軸になるので、おそらく鉄道のルールもヘチマもありゃしないものと考えられます。よってその道徳はほとんど意味を為しません