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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第3回【再投稿】

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

S19 E03 『Snow Place Like Home』『ほっとするばしょ』

脚本: リー・プレスマン

内容: ビクターは雪が嫌いにも関わらず、雪で立ち往生したケビンを探しに行く。

 

【高評価点】

・ケビンに対するビクターの友情と信頼度が描かれる。

・子どもに共通するケビンと、親に共通するビクターの描写。

 

【中立点】

・ケビンがいかにして動いているのか謎が深まったが、ボディランゲージの表現は悪くない。

 

【低評価点】

・第19シリーズで必ずトーマスに出番がある代わりにスカーロイ鉄道に焦点を置かないこと自体はわかっているが、大雪の中で機関庫にいないのなら、彼らは一体どこにいるのだろうか。

・ビクターが整備工場を発つ時、裏口からの方が自然では?

 

 

 

【このエピソードについて】

 これが放送される前、私はビクターあるいはケビンと一緒の話を求めていました。

ビクターが主役になるのは『ブルーマウンテンの謎』を除けば第14シリーズ『ビクターはおおいそがし』ぶり。第17シリーズで有能さが認められて活躍したケビンはともかく、いつも一緒に働いているビクターとケビンがどのような信頼関係を築いているのかは非常に興味深いところでした。

 

©︎Mattel

 第19シリーズにはコンビや家族的な雰囲気を持つエピソードが多く存在しているのですが、これはかなりハートフルで、このシリーズ中で一番心が温まるコンビ回だと思うんです。

 キャラクターがやってはいけないとされたことをやってしまい事故に遭うという、いつもの展開ではありますが、ケビンは雪を見て興奮するビクターには暖かい地域(キューバ)で育ったため雪が嫌いという設定が新たに付与されています。キューバは雪が降らないわけでもないけど、鉄道車両であることを考えると雪嫌いは理にかなっています。これにより、ケビンは雪の怖さを考えないではしゃぐ子どもビクターは身内が傷つくことを望まないお父さんに共通し、両者ともお互いを気にかけていて、立派に家族的な雰囲気が生まれているんですよね。

加えて、これ自体が、ビクターがいつもケビンをそばに置く理由になっているわけです。どれだけケビンがヘマをやらかしても、ビクターにとってケビンは手伝いのクレーン以上の存在なんですよ。

 

©︎Mattel

 このエピソードで主演キャラクターが本当に上手に描かれているのが大好きです。冒頭ではどれだけ雪が嫌いで注意すべきかをケビンに論し、スカーロイ鉄道の機関庫にエミリーの新品のサイドロッドがあったとしても断固として雪の中を走ることを解けるまで待つとまで拒否したビクターが、ケビンが行方不明になると、雪かきを装備して、機関庫へ赴いたり、彼が見つかるまで雪の中を探し続けます

ビクターは修理屋というだけあって、身内や誰かの安全を常に求めていて、同時に勇敢さ固い決意を持っているというところが描かれているんですよね。私は彼の行動に心を打たれました。そしてケビンが見つかったと報告を聞いた時の彼の表情はまさに宝石です。

トーマスではなく、ビクターがケビンを見つけるべきだという声もありますが、個人的には十分です。

 

©︎Mattel

 今思えば、ここではケビンだけですが、車両のキャラクターが、人の操作に関係なく自ら意思を持つように身振りをするきっかけだったのかもしれません。

この頃のボディランゲージ表現は、非現実的であっても、クレーンを持っていることや、普段ケビンがそのように動作することで、自然に受け入れられるくらいでしたが、その2年後、機関車キャラクターが奇妙な身振りをし出した時はそう簡単に受け入れられませんでした。でも、時間が経つにつれてこのケビンも含めて気にならなくなりました。特にAEGを観た後なんか全く(笑)

でも、ボディランゲージよりも、ケビンの運転手がどうなっているのかよくわからないことの方が問題であるような気もしています。ケビンに乗る描写がないので、(あの行動を取るので)乗っているかどうかもわからないし、仮に遠隔操作だとしても誰かに知らせないのは無理があるし、クランキーもそうですが、謎が深まりました。

 

©︎Mattel

 また、非常に細かい部分ですが、欠点がないとも言い切れません。

トーマスとエミリーの役割は誰でもよかったように思え、性格や経験、技能を活かすなどが無ければ、いとも簡単に別のキャラクターに置き換えられます。特に前者はクロヴァンズ・ゲートに赴くまで長い距離と、大雪のゴードンの丘という難所を越えなければならないことを考えると、小さなタンク機関車にとっては重労働なのではないかとさえ思います。

 次に背景的な話になります。事前の情報では、第19シリーズはトーマスが全ての話で役割を持つ代わりにスカーロイ鉄道がフォーカスされないという話がありました。私の記憶ではFacebookでトーマス用のアカウントを作ったサム・ウィルキンソンの情報共有が初出だったはずです。現在はアカウントが停止して確認が取れません。

これを大前提として置いておくのですが、フォーカスしないにしても、CGモデルがなかった時代ではないのだから、ビクターを除いた狭軌機関車が一度も姿を現さないのはいささか変ではないかと思うんです。喋らなくても構いません。しかし、この大雪の中機関庫で休んでいないのなら彼らは一体どこにいるというのでしょうか採石場のトンネルで立ち往生でもしているんですかね。

 また、ビクターが整備工場を出る際、裏口から出る=ケビンもその方向で事故を起こす方がより自然だったと思います。正面口から伸びる線路は標準軌なので、三線軌条にする必要があります。

 

©︎Mattel

 逆手に捉えれば、これほど細かい部分しか欠点が思いつかないので、このエピソードがいかによくできているかが伝わるのではないかと思います。

物語は良く、ビクターとケビンに本物の友情と本当の家族であるような親しみやすい雰囲気がうまく表現されていて素晴らしいです。共感できるだけでなく、ビクターが良い友達で、ケビンが半分有能で半分バカなアシスタントである以上のものが見られたことが一番大きいです。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 トーマスが雪かきを嫌がらなくなったのも、第17シリーズ『トーマスとゆきかき』での経験が大きかったのだろうと思います。そもそも『トラクターのテレンス』で学んでいるはずなので、雪かき嫌いをそう長引かせる必要はなかったんですけどね。

 

©︎Mattel

 雪の描写とアニメーションは、これ以前のシリーズと比較して格段に良くなったと思います。機関車の光沢や照明もうまく機能しているおかげか、トーマスの後ろ姿はまるで実写のように映えて見えました。

また、曇天の夕焼けは美しく、工場の釜で温まる場面は、観ている方も温かみを感じるほど良くできていました。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

リアリズム:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 はちゃめちゃに視野が狭かった以前のレビューよりも文字数は少ないですが、正直もっと良い話だと気づいたので、評価を上げました。ビクターとケビンの絆の描写が本当に大好きです。

 

総合評価: 9/10

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