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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第24シリーズレビュー第10回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S24 E 『Nia and the Unfriendly Elephant』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: ニアは、蒸気機関車が苦手なゾウを動物園へ運ぶことになる。

テーマ: 初対面で緊張している人には慣れ親しんだ光景を

 

【高評価点】

・道徳。

・過去作の小さな連続性、冒頭の場面と内容の対比。

ケニアでの経験を活かしたり、異国での生活環境を思い起こさせるなど、ニアのキャラ活用。

・ニアの仕事内容の定着化。

 

【低評価点】

・物語は、ゾウが蒸気機関車が好きではないなら、何故ディーゼル機関車を呼ばなかったのか、という結論に至ってしまう。

 

 

 

【このエピソードについて】

 正直な話、初めてサブタイトルをIMDbで観たときから視聴直前までフィラー(穴埋め)エピソードだと思って期待していませんでした。中には『トードとクジラ』や『トーマスとはこぶね』などの傑作、『あとにしてチャーリー』や『ディーゼルのひみつ』といった良作は存在しますが、いつの時代でも私の中で動物絡みのエピソードに対する期待値は低い位置にあります。長い間、思考停止のように使われてきたネタだからです。さて、視聴後の私の反応は…?

 

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©Mattel

 BWBAシリーズでは珍しく、プロットの構造自体ははS9~16つまりはシャロン・ミラー時代の物に似ていました。最初は平坦だと思ってみていましたが、オープンな心で改めて観返して、それが素晴らしいエピソードだったことに気が付きました。

 但し、ここで唯一問題があります。ゾウが"蒸気機関車が苦手"という前提なら、何故ディーゼル機関車を呼ばずニアに任せたのだろうか、という疑問です。冒頭で見られるように、ソドー島にはたくさんのディーゼル機関車が存在しますので、ニアとしての物語を続行するのであれば、「Steam engine」ではなく「Railway engine」もしくは「engine」に変更する必要があります。この些細な問題さえ除けば、視聴者に違和感なく見られたと思います。が、物語自体は大丈夫です。

 プロットの構造、具体的に言えばスリーストライクに見える部分(歌、リンゴ、放水での失敗)は、答えが見え透いた愚かな行動ではなく、ゾウを如何にして運んで役に立てるかを、ニアなりの知性で試行錯誤を繰り返しているので、興味深いと思いながら見る事が出来ました。ここではニアとしての個性があり、映画『BWBA』と、S22『ニアとすうじ』で見せた彼女の性格面と同じくらい魅力があり面白いです。

 

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©Mattel

 冒頭の紹介は物語に殆ど関係なく流れますが、ここで紹介されるのは、上手いこと鉄道車両と共存できた動物たちです。最終的にニアが解決することを示唆していますが、ゾウのように車両とは相容れない動物もいる事も同時に仄めかしています

 また、過去のエピソードの連続性はとても素敵でした。それぞれ、S17『ルークのあたらしいともだち』、S19『トードとクジラ』、S20『ディーゼルのひみつ』、S4『デイジーとおうしのめだま』*1の小さな参照です。

特にルークと子鹿との関係がまた描写されたのは私に喜びと驚きと和やかな気持ちをもたらしました。直後の『ルークとミリー』でさえ連続性が無かったので、本当に嬉しかったです。子クジラも、あの時トードが名案を上げていなければ、今のように元気に泳ぐことも無かったでしょうし、ちょっとホロリとしてしまいました。

 

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©Mattel

 私がこのエピソードで最もうれしかった事は、ベルに放水銃の個性以上の適切な役割があった事です。脚本家が意図しているかどうかはわかりませんが、ニアを励ますときの台詞はS15『あたらしいなかまベル』でトビーと友達に慣れた時の言及のようにも捉える事が出来ました。該当のエピソードは私や多くのファンにとって正史として視野に入れたくない物であるにも拘らず、彼女の内面の成長は目を見張るものがあります。

 

 そしてここでは主役がニアである必要性を実感させてくれます。序盤でも、アフリカゾウの扱いに長けていて、歌って落ち着かせるなどの連続性が働きました。だけど、もっと強力なのは、このエピソードの道徳で、それがニアと結びついていることです。不慣れな環境に苦しむゾウは遠い異国から来たニアと見事に一致します。自分と照らし合わせたかどうかは判りませんが、ゾウの仲間を連れてくるというニアらしいアイディアで解決しました。

テーマは、たとえそれが動物でも、新しい環境に緊張する友達に慣れ親しみやすい光景(familiar and friendly)を見せるというものでした。子供たちにも大人にも、そして動物にも関係する良い道徳です。ニアがすぐにソドー島を受け入れられた理由はこれかもしれませんね。彼女の場合は、周りに自分を受け入れてくれる仲間が居ました。

役に立って成功することに対する強いこだわりも、もちろんニアらしいと言えますね。

 

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©Mattel

 ファンダムではゾウ絡みでヘンリーかチャーリーを用意すれば良かったなどの意見がチラホラありましたが、私はたとえ彼らが居てもプロットに何の影響も与えなかっただろうと思います。

デイジーと牛をチャーリーとゾウに置き換えたり、シリーズの連続性として冒頭のゴードンが忠告する役割をヘンリーにすることは可能だったかもしれません。しかし、特に何かが変わる意味も無ければ気にする必要も無いでしょう。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 第14シリーズで初登場してから、何気に初めてソドー動物園の内装が明らかになりました。設備は信じられないほど簡易的でしたが…。

 

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©Mattel

 序盤でゾウを貨車に載せるためにニアが歌った歌は、映画『BWBA』の挿入歌「Enda Ulale / おやすみ」のセルフアレンジです。この辺もニアらしいですね。

 

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©Mattel

 最後はトップハム・ハット卿が、ニアにソドー動物園行きの列車と、港から動物を運んだり果物を運ぶなどのソドー動物園を手伝う仕事を与えました。『Emily to the Rescue』とは違い、ニアは動物好きで、それらと触れ合う事に熱心だったので、このエンディングには大きな意味がありますし、ようやく彼女の仕事が定着して嬉しいです。

また、ソドー動物園はエドワードの支線上にあるので、あわよくば将来、エドワードやティモシーなどのキャラクターと絡むことが出来るのではないかと思います。繰り返しになりますが、第25シリーズの制作を強く所望します

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:PERFECT

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 ニアがケニアからソドー島での生活環境に面食らうエピソードは、彼女が初登場した時からずっと望んでいたので、とても嬉しかったです。第23シリーズではタイミングを逃してしまい、時すでに遅いかもしれませんが、少なくとも第24シリーズまでに創ってくれたのはまだ良い方と思います。

道徳は子供に大きく関係していて素晴らしいですし、ニアとベルのキャラ活用も最高でした。前提を覆すような欠点はあるものの、これまでのところ最高のニア主役回であり、私にとって今期の中でお気に入りのエピソードです。

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:その他『デイジーととくべつなおきゃくさん』『ジュディとジェロームのぼうけん』など。