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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第34話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E34 『Retrieve the Kraken』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: エイドレア・ウォルデン

内容: トーマスが風で飛ばされた風船を追いかける傍ら、仲間たちの間でクラーケンが出たと騒ぎになる。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 番組表のプロットだけを見たときはトーマスが風船を追いかけるだけの単純な物語なのかなと思い一切期待していませんでしたが、もう一つのプロットが存在します。それは風によって解き放たれた大きな風船(『ぷかぷかパーシー』の熱気球のリカラーバージョン)を見たディーゼルや仲間たちが海の怪物だと勘違いしてパニックになるというもの。まあこんな光景をトンネルで見たら誰だって怖がるでしょうね。

 

©︎Mattel

 前回に引き続きソルティーが登場します。脇役かと思いきや、物語を左右させる役割を持っています。それこそオリジナル第16シリーズ『ブレンダムのかいぶつ』や第18シリーズ『きょうふのかしゃのおと』と同じように、ソルティーの悪意のない海の怪談から誇張した噂が独り歩きし、ある意味変わった形の風船を見るたびに仲間たちがパニックになる、従来のシリーズではお約束の内容でした。

 その中で唯一、"怪物"の正体がわかっているのがトーマスで、まずトーマスを主観に見ることになる視聴者も同様です。ですので、トーマスが何度も風船だと説明しているにもかかわらず怖がりまくるディーゼル、パーシー、ニアを見るのは上記の例に比べても退屈でした

しかし、個人的には同時に懐かしい気持ちにもなりました。子供の頃に見た"第一印象で怖かったもの"はしばらくずっと怖いままですよね。私がまだ4歳の頃、某テーマパークでのキャラクターグリーティングがあまりに表情が無機質で怖くなり泣き出してしまいました。どんなに説明されてもその時は怖いままで、そこで作り話を入れるとまたそれをいとも容易く信じてしまうんです。例外もいますが子どもは純粋なんですよね。

 

 ところでディーゼルとクランキーがソルティーの話を鵜呑みにしているのは、実際に目の当たりにした第一印象の恐怖があるからか、それとも海賊の財宝が本当の話だったからなのかしら。

 

©︎Mattel

 退屈でも、その懐かしい気持ちを覚えるのも無理はありません。なぜならテーマは上述の例のようなちょっとしたパニックホラー展開ではないからです。道徳はオリジナル第9シリーズ『ゆうかんなトーマス』や、第19シリーズ『さよならトビー?』、『ソルティーはうみをいく』などに似ています。『勇者とソドー島の怪物』のサブプロットでもありますよね。

ニアのセリフにもある通り「聞いた話を全て鵜呑みにする必要はない」。ここで一度冷静になって本当は何を見たのかトーマスが一台ずつありもしない話を問う場面が好きです。状況を把握するために一度冷静になって整理するのはいつでも非常に重要ですし、原因を知るトーマスがそれを視聴者のお手本になっているのを見られて嬉しく思います。

 

©︎Mattel

 最も好きなのは、悪意はなかったとはいえソルティーがクラーケンの怪談を話して仲間たちを怖がらせて話をややこしくしてしまったことをみんなやトップハム・ハット卿の前で謝罪することです。ソルティーの話で機関車たちがパニックになったり噂が一人歩きするのは従来のシリーズで何度もあったことですし、AEGでもやるのかとさえ思いましたが、解決した後でソルティーが謝る場面は、全員集合している『さよならトビー?』を除けば(記憶違いでなければ)今まで無く、彼のアイデンティティとして受け入れられる程度だったので、新鮮かつ良い瞬間だと思います。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 過去に運んだ物が登場したり、過去の話と紐付けされているのがAEGの好きなところです。まあ展開上、潜水艦が必要で、それにリアクションを取る人物も要したのでしょうけれど、ならばトップハム・ハット卿が潜水艦に乗る理由を明確にして欲しかったなとは思います

 

©︎Mattel

 クラーケンに恐れ慄くクランキーが可愛いです。CGシリーズでもこのように動物や怪物の話を前に慌ててたのは、やっぱりその場から動けない=避けられない恐怖心からでしょうか。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 独創性はありませんでしたが道徳が好きです。トーマスが主役なのかと思いきやソルティーが美味しい役割を持っていて、AEGチームに愛されてるのかなとちょっぴり和やかな気分になっています。元々のキャラクター性が濃いので話が作りやすいのでしょうね。クラーケンといえば近世ノルウェーで伝わっている怪物で、海の話であり世界旅行をしているAEGのソルティーから出る話としてはかなり自然ですよね。

 

総合評価: 7/10

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