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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第10話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E10 『Fill-in Friend』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: エヴァ・コンスタントプーロス

内容: 仲間たちは誰が一番トーマスを元気づけられるかで躍起になる。

 

【このエピソードについて】

 Fill-in Friendということは、友達の代わりをする話ですよね。AEGのトーマスを元気づけるにはパーシーが有効打だとは思うんですけど、今回はそういう状況ではないんですよね。どういうことなのか、確認しましょう。

 

©︎Mattel

  脚本家の名前を目にした時、嫌な予感がしました。彼女は本気で従来シリーズのオマージュ作品しか制作できないのか、私はいつも疑念を抱いています。それとも実は意図的に行っているとか?

しかし、幸いなことに何もかもが全てオリジナル第23シリーズ『パーシーにあいたい』と同じ展開というわけでもありません。それはサブタイトルからも予想がつくだろうと存じます。

 

 本作最大の特徴は前回のエピソードの続きということです。AEGシリーズ全体で連続性があり、今までも『トーマスロケット』のその後を第2シリーズの『Rocket's Fall』で描くことはありましたが、原作とかオリジナルの初期シリーズよろしく、なんと2話連続した話なんですよね。

そうです、前回『Percy's Little Problem』の最後にパーシーはバルストロードに乗ってメインランドへ修理に行ったのですが、本作ではまだパーシーは修理に出されていて姿を見せることはありません。その上で、親友が恋しくて落ち込んでいるトーマスに、仲間たちがパーシーの代わりを演じようとするという内容なんです。

第1にエヴァ女史が毎回従来の一般的なエピソードを流用しがちなところを物語に工夫施してくれたこと、第2にニアが理性的で描かれていることが嬉しいですね。ニアが郵便配達を任されているのも、『パーシー つぎのしごとをさがす』からの連続性ですね。早すぎる配達は改善したのかどうかは気になるところですけど、まとめ役としての彼女が再び見られて嬉しいです。ニアはこうでなくちゃ。

 

©︎Mattel

 ただ、物語のプロットは別の問題に直面しています。それは、冒頭でトーマス宛のパーシーからの荷物を見せたことで最後の展開が最初からわかってしまうことです。これは『The Case of the Missing Crane』や『Bells are Ringing』の欠点と同じことで、おかげで、ただでさえトーマスの言い分を聞かない仲間たちによる容赦ないスリーストライクなのに、結末までが退屈に感じてしまうんです。(主張の激しい)個包を最初の段階で見せることがなかったらどうしてニアはそんなに慌ててトーマスを追いかけるのだろうと視聴者は興味が持てるはずです

 

©︎Mattel

 スリーストライクと言っても意味のあるものです。パーシーの代わりはいないと示唆した上で、仲間たちの友達想いと、トーマスにとっては嬉しかったことが描写されています。

 また、『Blue Engine Blues』との連続性も良かったですね。トーマスが落ち込んだ理由はBlues Buddy、つまり親友兼気が滅入った時の話し相手がいないことと、忘れられるのではないかという不安感によるものでした。この不安感はよく共感できますし、仲間のためにいいことをしようと張り切る仲間たちの気持ちもわかります。まあパーシーが親友を忘れることがないのはAEG第1シリーズ『いえをはこぶほうほう』でも明らかだし、仲間たちが学ぶ「言い分を聞く」という教訓に関してはこいつら当事者も含めて前期の『Kana Recharges』から何を学んだんだとツッコミを入れたくなるんですが。

 

©︎Mattel

 この手の物語で展開が『パーシーにあいたい』と似てしまうのは仕方がない気はします。でも、手紙はパーシーからです。何より特筆すべきは、あの慎重すぎるパーシーが海を超えてトーマスにラッキーベルを送ったのはすごい成長と判断だと思うんですよ。ラッキーベルと言えばAEGのパーシーが肌身離さず大切にしているものです。彼の手元にも無いし包装して無くす可能性もあるのに、トーマスの身を案じて送っているんですよね。いつかベルに頼ることを卒業してほしいと願っているんですが、この方法には驚きました。親友への想いが尊いし、明確な成長です。愛が重すぎるともいえますけど

 今思えば『Percy's Little Problem』の彼は全然慎重じゃなかったですね。

 

©︎Mattel

 ところで、港に散らばったニワトリは集めなくていいんですかね?

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 バルストロードが港に来るたびにパーシーを待ち侘びる様子は心に来ました。

 

©︎Mattel

 いつの間にディーゼルは独自のベルを手に入れたんですかね。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 完璧ではないけど温かみのある良いエピソードです。この連続した2話は別の脚本家によるものでしたが、上手く連携が取れていて違和感はなく、特に意図的か否か従来シリーズの中でも一般的な脚本をなんの工夫もせず再利用するエヴァ・コンスタントプーロスは今回でその印象を覆すことに成功しました。確かに似ているんですけど、中身は全くの別物でした。言及しかないとはいえ、いや、だからこそでしょうか? パーシーの成長が本当に嬉しいです。

 

総合評価:  7/10

 

 

【AEG第3シリーズ総合評価】

1 What's the Buzz? 6/10

2 Bells are Ringing 5/10

3 Abraca-Diesel 5/10

4 Overcommitted 5/10

5 Sandy's Fine Mess 6/10

6 Nia's Green Surprise 9/10

7 Duck Duck Whoosh! 7/10

8 Choo Choo Check In 1/10

9 Percy's Little Problem 4/10

10 Fill-in Friend 7/10

 

 

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