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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第1話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E01 『What's the Buzz?』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ジョン・ロイ

内容: トーマスは自分の煙突に住み着いたミツバチのために彼らの新しい住処を探す。

 

【このエピソードについて】

 AEGの第3シリーズ(通算第27シリーズ)レビューの開幕です。今期は全26話と減少、第22シリーズ以前までと同様の話数になりました。新たにオープンするベーカリーカフェに関連したお話があるほか、ブルーノがいつものメンバーとして登場することになった以外、普段通りニュースが無くて何が起こるか全くわかりません。個人的にはあまり期待していませんが、とはいえ面白いエピソードがあるといいのですが。

エピソード一覧はこちらの記事にまとめてありますのでどうぞ参考にしてください。

 

 さて、今回のエピソードは、サブタイトルを見てすぐにミツバチの話だとわかりました。『きかんしゃトーマス』でミツバチを題材にした作品といえば、思い当たるものが既に2つありますよね。まずは原作21巻とTV版第3シリーズに『みつばちとジェームス / あかはなのジェームス』。ジェームスの鼻がミツバチに刺されて赤く腫れ上がるというインパクトのある展開から、フランチャイズ上でも有名なエピソードの一つで、トーマスランドや各イベントで再現されたり、ピークが過ぎた後もプラレールやトラックマスターなど商品になっているほどです。

 もう一つは第13シリーズに『ミツバチぶんぶん』があります。ヒロの忠告を聞かなかったトーマスが花畑の方を走ってしまい、運んでいた巣箱からミツバチが出てきてにっちもさっちも行かず混乱を招く物でした。この回はトーマスが無意味に韻を踏んだり、かなり馬鹿に描かれているのでファンからの評価が低い印象です。正直、私はあまり好きではありません。

 このように2~3世代に渡ってミツバチを取り扱ったエピソードがあるわけですが、AEGではどのように描かれているのでしょうか。早速見ていきましょう。

 

©︎Mattel

 タイトルカードが表示される段階で、木から巣が落ちるところから始まり、群れが暖かい場所を求めて、ティドマス機関庫の開けっ放しの扉からトーマスの煙突に住み着くようになります。

 上の画像の真ん中にある花粉団子のようなものがミツバチの群れです。黒点だけでなく、わかりやすく、ファンシーに描かれていますね。このミツバチの群れは、上述の2つのエピソードと異なり、カートゥーンアニメーションならではの方法で機関車と意思疎通ができます。カナが電気で作る絵文字みたいに群れで顔文字を作って感情表現をします。ジェームスに文字通り攻撃した個体やトーマスの周りを無数に飛び回るものに比べると、かなり優しくて可愛らしい感じです。音を気にしなければ他の動物(スカンクを除く)と同じように不安を抱かずに見られます。

 

©︎Mattel

 トーマスとパーシーがミツバチから逃げ回っているところで、唐突にエミリーに乗ったトップハム・ハット卿が現れます。もはやエミリーの客車使っていません。それも養蜂用の防護服に着替えて。このトップハム・ハット卿、なんでもできますね。前期で4世代目であることが判明しているので、彼がミツバチに詳しくて優しかろうと、なんでもアリな状況をたやすく許容できる自分がいます(笑)

 面白いことに、従来のシリーズではジェームスの鼻を刺す描写があったものの、AEGでは機関車は金属(鉄)製のため刺される心配がないと言及されているんですよね。フランチャイズで最も生物らしい動きをし、最も生物らしい嗅覚を持っているのにね。顔はどうかわからないですけど。

このため、人間を刺す危険性があるミツバチを煙突に入れたまま配達ができず、一緒にニワトリを運ぶ予定だったパーシーと離れなくてはならないという前提条件があるところが面白いですね。

 

©︎Mattel

 虫とはいえ野生生物を保護して新しい住処を探すエピソードという点では特に目新しい展開ではありません。でも、ミツバチが住むために適さない環境(山頂の寒いところや野鳥のいる木、日の当たらない場所など)がきちんと描写されたのは好きです。

 

 挿入歌「Worth Doing Right」は当たり障りのない歌に思えました。"If a job's worth doing, It's worth doing right"という教訓的な格言が元ネタで「どうせやるならきちんとやろう」という意味ですね。

住処探しを諦めたら友達とも仕事ができないしミツバチも困るので、この歌の意図は理解できます。ミツバチの羽音と絡めたノリノリの楽曲ですが、AEGのどの展開でも当てはまるし、住処探しのモンタージュのための一曲という感じで、印象に残りづらいんですよね。まあ少なくともあまりにも単調な「I'm Gonna Chug」を物語通して延々と聴くよりはずっとマシです。

でもなんで分かれたばかりのパーシーとデュエットしているの?

 

©︎Mattel

 しかし、もっと納得いかない場面があります。それは最終的に住処として選ばれた場所でした。人々から遠ざける必要があることが前提なのになぜヴィカーズタウン・プラザという人々が住む街の広場のど真ん中で解決するのでしょうか?

 この広場の花々は、AEG第1シリーズ『ステキなものがいっぱい』でニアたちがその辺に生えてたものを集めて運んだものです。以前の展開を無駄にしないのがAEGの好きな部分です。でも、ミツバチは花の受粉を手伝うのでそういうメッセージを伝えたかったのかもしれませんが、蝶の観察に行く自然動物保護区を劇中で出さなかったのは何故でしょうか。S13『ミツバチぶんぶん』みたいに養蜂用のミツバチじゃないのだから、今回は寧ろそっちの方が適していると思うんですけども。

 

©︎Mattel

 とはいえ、最後にミツバチがトーマスの煙突に固執した理由が描かれることと、防護服を着たトップハム・ハット卿が活躍する場面がこのエピソードで私が最も好きな瞬間でした。塗料でくっついた女王蜂を丁寧に助けるときのトップハム・ハット卿は、英国人らしい言い回しの台詞で大変良かったです(笑)

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 凍える時に顔が青ざめるのはAEGでは今までになかった描写ですね。本当に寒そうなのが伝わってきます。

 

©︎Mattel

 初回早々ダーシーが出てきました。ミツバチに挨拶して通り過ぎるだけの数秒の出番でしたが、前期では長編(映画)を除けば、たった一度のカメオ出演だけ*1でしたので、続投することがわかって嬉しいです。脇役止まりにならず、以降、ダーシーが活躍や失敗する短編エピソードがあることを願うばかりです。

 

©︎Mattel

 『大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』のちょっとしたワンカットもそうだったんですけど、AEG第1シリーズ『きょうりゅうのほね』でヴィカーズタウンへ持って行ったはずのティラノサウルスの化石が何故かまだ洞窟に残ったままなんですよね。『きょうりゅうのほね』よりも前の時系列を示唆するのか、それともまた別の場所なのか、ちょっと判断できないですね。どちらも古い鉱山で間違いないので…。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 新シリーズの初回にしてはまあまあなスタートを切ったという感じがします。まともな教訓を持ち、トーマスだけでなくトップハム・ハット卿も活躍し、以前植えた広場の花を活かすエモい瞬間もありましたが、最終的な住処の場所だけが納得いかなくてモヤモヤしますね。

展開自体は普段通りで、特別な面白さはない印象です。S1『トーマスのやくそく』以上、S2『とてもはやいふたり』未満というか。

 

 ジェームスを登場させる方が良かったと言う人を何人か見かけましたが、S24『ニアとあたらしいゾウさん』のレビューでも言った通り、生物と関連したことのあるキャラクターを出したところで何か展開に深みを与えられるとは思えません。そもそもAEGと従来のシリーズにはなんら繋がりがないことをお忘れでないですか? 切り離して考える必要があります。ラッキーベルに不満があるお前が言うな? ええどうもすみません。

 

総合評価: 6/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:『Off the Rails』のみ