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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第32話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E32 『For All the Marble』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ジョナサン・エルナンデス

内容: トップハム・ハット橋はひいお爺さんの大理石の運搬をトーマスとブルーノに任せるが、トーマスはブルーノの提案を聞かず事故を起こす。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 この回が放送されたその時、私自身を含めたトーマスファンたちの間で衝撃が走りました。一体何が起こったと思いますか。

 

 はい、そうなんです。TVシリーズで初めて局長であるトップハム・ハット卿が一人ではないことが明確にされたんですよ。

 どういうことかというと、原作『汽車のえほん』の話になってしまうんですが、実はトップハム・ハット卿って3代に渡ってノース・ウェスタン鉄道の重役→局長になっているんですよね*1。絵本の中では触れられていないので知らない人も多いと思います。順に簡潔に説明していくとこんな感じ。

コーヒーポット機関車やヴィカーズタウンの可動橋を作った初代局長がトップハム・ハット卿1世(原作1巻~10巻まで / 1956年に74歳没)。

初代局長の息子であり、1954年から1984年まで務めた2代目局長がチャールズ・トップハム・ハット卿2世(原作11巻~27巻まで / 1997年に83歳没)。

2代目局長の息子であり、初代局長の孫として初期作品に登場したのち1984年以降3代目局長を務めたのがティーブン・トップハム・ハット卿3世(原作28巻~42巻)。

 

 で、なんでこの話を持ち出したかというと、上の画像のヒゲモジャは、現トップハム・ハット卿のGreat-Grandfather、すなわちひいお爺さんであるノース・ウェスタン鉄道の初代局長の大理石だと言うんです。何気にイタリア製。

今までのTVシリーズでのトップハム・ハット卿は、どれだけ年代を重ねたとしても局長として唯一の男として描かれました。スティーブン・ハットも妹のブリジット共々第24シリーズまで子供のままです。*2。これだけ時が経過しているのにおかしいですよね。サザエさんみたい。

しかし、AEGでは、まるで原作設定に沿っているかのように、過去に3代の局長がいたことが示唆されていることになるんです。脚本家が勉強したのでしょうか。複雑ですが、原作好きとしてはちょっと嬉しい心境です。

 ちなみに、ティーブン・ハットの息子はリチャード・トップハム・ハットという名前があります。だとすると、確定ではないことを承知の上で発言しますが、AEGのトップハム・ハット卿は爵位を継承したリチャードということになるのかもしれません。こりゃあたまげた!

 

 現実的な話をすると、今のAEGのトップハム・ハットが「Sir」と呼ばれているということは、準男爵が継承されていて、その先代であるスティーブン・トップハム・ハットが既に他界している可能性がありますけどね。

クリストファー・オードリー作の原作42巻でもスティーブンは現役で、2005年刊行の「Sodor: Reading Between the Lines」によると、彼はこの時点で64歳であり、息子のリチャードが確実にトップハム・ハット卿4世になる運命にあるも、スティーブンはまだ依然として仕事を譲る気がないことが示唆されていたので、ついにその時が来たのかもしれません。

また、リチャード・トップハム・ハットは1972年生まれで、2023年現在の年齢が51歳になりますので、仮に今の局長がリチャードであったとしても申し分ないですね。辻褄合うのって気持ちいい。

※あくまで推測ですけどね。

 

©︎Mattel

 などと原作設定を照らし合わせてついつい長々と語ってしまいましたが、そろそろ本題に入りましょうか。

 そうですね、ブルーノと一緒に壊れやすくて慎重に扱わなくてはならないものを運んでブルーノのアドバイスを聞かずに事故を起こすといった点では『ブレーキしゃのブルーノ』とほぼ同じですし、先の展開が見えやすくなるため木箱を立て直した状態でスタートを切っても良かったはずです。でもちょっと違うのが、ブルーノの着眼点が問題の解決に導いていることですね。

細かいことにこだわりを持ち、細かいことに気づくブルーノ。見る人によってはうんざりするキャラクター性かもしれませんが、これを全てポジティブに描いているのが私が本当にブルーノを愛してやまない理由です。

 

©︎Mattel

 大きく違うことを挙げると、自信過剰なトーマスの軽率な行動で大事な荷物、すなわち大理石に亀裂が入ることです。ディーゼルの場合、灯台のライトは無事でしたが身動きが取れなくなってしまいました。幸いだったのは、トップハム・ハット卿にとって許容範囲内だったことです。結末は異なりましたけどね。

 

©︎Mattel

 もう一つは、全てのルートを熟知しているブルーノをトーマスが先頭にしてあげること。この編成というか組み合わせは正直もっと見たかったですね。冒頭でブルーノが機関車になりたがっていたらより意味があったとも思いますが、今回の道徳は責任のようで、過ちを犯してトンネルの中で一台反省するトーマスに、ブルーノが「チームだから」と自分も責任を負うと寄り添う場面がお気に入りです。

 

©︎Mattel

 だんだんとジェームスのキャラが立っているのが良いですね。それも不快にならない程度で。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 今かぶっている帽子より、それこそAEG第1シリーズ『トップハム・ハットきょうのぼうし』でヴィカーズタウンに展示したものを被せて固定したらより素敵なのではと思いました。

 

©︎Mattel

 変わらないはずの表情が変わるのはまるで『魔法の線路』のトップハム・ハット橋のポスターのようですね。

 

©︎Mattel

 エドワードはAEG第1シリーズ最終話以来の登場でありAEG第2シリーズ唯一の出番ですが、残念ながらデザインの改修はされませんでしたね。老人だからってヘンリーよりデカイのどういうことよ。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 ディーゼルとブルーノほどダイナミックなチームではないし、失敗と反省はいつもと変わりません。しかし、トップハム・ハット卿が過去に3世代存在したという現代的な設定は興味深かったし、その失敗と反省、そしてオチはそれまでのTVシリーズに近かったので、こう言っては怒られるかもしれませんが、もし原作に43巻以降が出ていたらこういう感じの話になってそうなどと空想しながら楽しむことができました。それほどひどいアクションやキャラクター描写もありませんでしたし、ブルーノの扱いもとても気に入っています。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:1997年刊行『The Island of Sodor: Its People, History and Railways』参照。

*2:更には初代局長が作ったグリンが復活した時でさえ「I build (私が作った)」と言及し、第1シリーズ『ジェームスのあやまち』で言い放った「青く塗り直す」は第22シリーズ『カラフルなきかんしゃたち』でも言及されました