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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第11話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E11 『Cake It Easy』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ジョン・ロイ

内容: トーマスとディーゼルがケーキの配達でスピードを出して悲惨なことになる。

 

【このエピソードについて】

 Cake It Easy、ケーキとTake it easyを掛けた一般的なダジャレです。ケーキの話ということは、レジナルドのパン屋が出るのは確定で、4話中の2話目と考えて良いでしょう。あらすじはすごく見覚えがあるのですが、とにかく観てみましょう。(※米Netflixは観れる環境にあります)。

 

©︎Mattel

 多くのAEGファンがトーマス対ディーゼルのライバル関係を象徴するエピソードにうんざりしているのは重々承知していますが、この関係性を楽しんでいるのは私だけでしょうか。無論、従来のシリーズだったら別の話です。特に主人公なのに蒸気かディーゼルかで差別し合う光景は、私もいい加減うんざりでした。

しかしこの別次元では不快な差別は無いですし、従来でいうトーマスとバーティーやレックスとマイクに近いものだと考えています。子どもキャラクターの張り合いって危なっかしいけどつい見たくなっちゃうじゃないですか。…ならない?

 ともかく、個人的には、それよりも積荷を運ぶ時に慎重さを求められると学んだはずのトーマスとディーゼルまたしても同じことを繰り返して展開させる事の方が問題だと思います。やってることはAEG第1シリーズ『A Light Delivery』や、ショートアニメ『とうだいでダンス』と大差ありません。開始4分くらい(競争が始まって1分30秒)ですぐに過ちに気がつくのはまだ良いとしても、その後の展開は分かりきっているし、いつもの悪くも良くもないAEGの展開に乗せられてしまいました。

 まあでも、うまく直そうとしても不運に見舞われたり逆に失敗してしまう様子からは、「これが人生」という見方もできます"That's the way the cookie crumbles"ということわざの通りです。まさに「じこはおこるさ」の"運がないときはしょうがない なんとかしよう"という詞の状況の物語なんですよね。

 

©︎Mattel

 比喩で悪くないとは言いましたが、実際には今回のエピソードは悪い方だと考えています。この手の問題は従来のシリーズにもありましたし、子どもたちのために伝わりやすく、"見栄えのため"に食材を裸で貨車に載せているのはわかっています。しかし、雨宿りのために入った森の中のリスやカラスはともかくとして、中盤ではいつもの夕立みたいな短い雨やカモメに食品が危険にさらされるリスクが描写されているにも関わらずなぜ誰も箱の有無に対して疑問を持たなかったのだろうかとモヤモヤしました。競争中に包装材が吹っ飛んでいくとかいう描写にはできなかったのでしょうか。AEGの世界でさえ野生生物がよく線路に割り込む中、そのままの状態でどのように安全に、慎重に運べば良いのでしょう。終盤の挿入歌で納得できるわけないでしょ。

 

©︎Mattel

 3代目以前(要は原作と従来シリーズ)のトップハム・ハット卿だったら間違いなくカンカンに怒っていたことでしょう。4代目のトップハム・ハット卿は楽天的すぎるのか、トーマスの茶化したケーキとカタストロフィーを掛けたダジャレにノって嘆くのみでした。それが悪いとは言わないけども。

上司のトップハム・ハット卿にはもちろん謝罪する場面があるのですが、いくら喋らないとはいえどもケーキを作ったレジナルド当人にも一言謝るべきでした。現実でさえ、側から見ても功労者への謝罪を忘れる若者にイライラします。レジナルド自身のリアクションは薄いけど職人としてショックなんじゃないかと気が気でなりません。

 

©︎Mattel

 ケーキを作り直す際に流れる、挿入歌「Make Things Right」は、上述の「これが人生」を思わせながら「失敗から学ぼう」という教訓の曲です。曲自体はアップテンポで耳に残りやすいです。歌詞はありきたりですが悪くありません。

 

©︎Mattel

 Motorizedの「Wobbly Cake Thomas」と「Frosting Diesel」の商品画像が昨年のうちに公開されたとき、AEG第3シリーズにはベーカリーカフェを主題とした話がある知らせを認知していたので、私は特定のエピソードに関連した商品なのだろうと思いましたが、予想的中でした。どちらもこの回をモチーフにした玩具でした。しかもディーゼルに付属している、あの"どでか油差しギーギーネーター"も劇中に出てきて、"The Frosting-inator"と改名して転職まで果たしています

AEGのトップハム・ハット卿も芸達者ですね。最初は養蜂家の格好をしたと思ったら、今度はレジナルドを手伝うためにパティシエとしてケーキの飾りつけをしています。

 問題解決に導いた功績を讃えてのことなのでしょうけれど、トーマスのケーキまみれの格好は(いつもの)Frosting-inatorの暴走によるものなのに最優秀デコレーション(機関車)賞が与えられるのは腑に落ちない終わり方でした。上述の玩具は再現というより、コマーシャル感が強く出た感じがしました。Frosting-inatorも突然出てきたし。未就学児向けアニメ自体が玩具のコマーシャルなのは当然わかっているんですけどね。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 パン屋のレジナルドが出てくるたびに、「AEGのトップハム・ハット卿は機関車たちに直接話しかけられる唯一の人間キャラクターである」という制約が無ければよかったのにと思います。

この制約のせいで、マッコールさんもレジナルドも喋ることはなく、レジナルドを必要とする場面では必ずトップハム・ハット卿がそばに来て、通訳よろしく代わりに喋ることになるんです。

これ自体がまず滑稽だし、男性のパティシエ兼パン屋というせっかくジェンダーの偏見払拭に貢献できている新キャラクターなのにもったいないなと感じます。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 教訓自体は良いと思います。時にはうまくいかないこともあるし、失敗から学ぶことが人生の基礎です。とはいえ、そんな回に過去の失敗から学んでないトーマスとディーゼルを見なくてはならないことが残念です。AEG第2シリーズ以前を観たことがない子どもには良いかもしれませんが、トーマスとディーゼルがまたしても積荷を考えずに競争し始めるのは、脚本家チームが総とっかえされていないシリーズの115話目でやることではないですよね。(できれば総とっかえしないのが望ましいけど)。

 

総合評価: 2/10

 

 

【AEG第3シリーズ総合評価】

1 What's the Buzz? 6/10

2 Bells are Ringing 5/10

3 Abraca-Diesel 5/10

4 Overcommitted 5/10

5 Sandy's Fine Mess 6/10

6 Nia's Green Surprise 9/10

7 Duck Duck Whoosh! 7/10

8 Choo Choo Check In 1/10

9 Percy's Little Problem 4/10

10 Fill-in Friend 7/10

11 Cake It Easy 2/10

 

 

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