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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第13話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E13 『Pizza Picnic Problem』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: サラ・アイゼンバーグ、ベッキー・ウォンバーグ

内容: トーマスたちは創造力を駆使してピクニックの手助けをする。

 

【このエピソードについて】

 ピザということは、レジナルドのパン屋の話であることは確定ですね。予告動画ではデコボコな線路をトーマスとパーシーがピザを運ぶ場面があり、ちょっと嫌な予感というか、二番煎じな物語になるのではという不安がよぎります。

 

©︎Mattel

 特別な道徳やテーマがあるわけでもありませんが、ただ楽しかったです。カズー演奏者が間違ったクルーズ船に乗ってしまったがためにコンサートの計画が頓挫し、せっかく集まった人たちへ代替案としてピザとケーキのピクニックを開くべく、トーマスとパーシーがその手伝いをする話です。

前提からしてコメディみたいな展開ですね。短時間で膨大な数のピザを焼けると思い込んでるトップハム・ハット卿には、もはやどこから突っ込んでいいのやら。

 レジナルドの工房では(内装は不明ですが)ピザ1枚焼くのがやっとで、時間の効率を上げるためにゴードンやウィフ、ブルーノなどの仲間たちの力を借りてことを進めていくというもの。基本的にプロットはただそれだけです。でも、カーリーとサンディーが作ったオートマチックなピザ窯(どこからベルトコンベア持ってきたんだ?)や、そもそもフランチャイズでピザが出ることも初めてなので退屈はしませんでした。

 

©︎Mattel

 挿入歌「Find a New Way」はカズーをバックミュージックに用いたロックンロール調の歌です。このエピソードを象徴する「新しい方法で乗り越える」をテーマにした曲ですね。主役がトーマスとパーシーで、食品を扱う物語で、やり方を変えるために代替案を出すという展開と歌の内容も含めて、AEG第1シリーズ『Thomas and Percy's Eggcellent Adventure』に非常に酷似しています。その作品はピンチを乗り越えるという山場が面白いところですが、遠回りな行動をして食材を無駄にすることがなかったので正直今回の方が好きです。まあ彼らが運ぶ料理がごちゃ混ぜになるのは歌よりもプロットと絡めてほしかったのですが

 ところでピール・ゴッドレッドからヴィカーズタウンへ行く道中の線路がデコボコして毎回食材がぐらつくなら道を平らにすればというのは野暮な考えでしょうか?

 

©︎Mattel

 ケーキの材料を運ぶ話に比べれば山も谷もないですが、この回で気に入っていることはブルーノの台詞です。まさかトーマスでもパイン乗せピザはアリかナシか問題*1*2を取り上げるとは思いもしませんでした。この議論はブルーノの「好きな人もいる」に落ち着きます。私も普段から中立に物事を考えるので彼の判断に賛成です。こんなことのために争う必要はないはずです。

それから、そうですね。AEGはアリかナシか問題にも同じことが言えます。それこそ私がいつも言及しているように。好きか興味がある人だけ見ればいいし、もし評価を下すなら一度全部に目を通すのが道理だとね。

 ところでこの場でパイン乗せピザが嫌いな人は… 何ものってないケーキを食べるんですかね?

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 この回でカズーが出ると思わず、カズー愛好家としては嬉しいです。劇中ではトップハム・ハット卿の他、ニアやパーシーなど機関車たちも吹いていましたね。声が出せれば誰でも演奏できる安価で楽しい楽器です。カズーでいつものBGMを演奏した場面が印象的ですね。

でも、ひとつ言わせていただきたいのが、全体を通してカズー本体を咥える向きが逆です。細い方でも音は鳴るけど、咥えるのは太い方なんですよ。

あと演奏者が駅長のカラーバリエーションみたいで笑っちゃいました。しかし、肌の色から察するに多国籍で集まってるようで良いですね。

 

©︎Mattel

 現代風のクルーズ船が初めて登場しました。トップハム・ハット卿が4代目で、人々がスマホタブレットを持ち歩いたり、ソーラーパネルでカナやリサイクル工場の電力を供給する世界観で例に漏れず登場。個人的にははしけのバルストロードで人々を運ばず、クルーズ船かタグボートのキャラクターがあったら良いのにと思います。

 

 また、この画像を使って、「AEG嫌いの人は世界観の描写も含めて現代的になったことだ」主張する人を見かけましたが、確かにTV版は20年代〜70年代を中心に籠城していたとはいえ、原作『汽車のえほん(The Railway Series)』に至っては2011年までの刊行に沿って徐々に時代を進めていったじゃないですか。

トップハム・ハット卿が3世代存在して、蒸気機関車だけの島にディーゼル機関車が導入し、18巻では本土で蒸気機関車の引退を迫られる中で保存の動きがあることが描写され、35巻ではトーマスがヨークの国立鉄道博物館を訪れ、最終巻ではゴードンが急行列車を引退してHSTのピップとエマに立場を譲っています。もし2011年以降も続いていたら、人々はスマホを持っていたのではないかと考えられますが、どうでしょう。

 

©︎Mattel

 マッコールさんの娘、髪染めた?

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 最初に言った通り、特別なテーマや道徳はありませんが、退屈ではなく、ブルーノのメッセージが好きです。イタリア人はきっと否定するかもしれませんが、この後ピザが食べたくなって、せっかくなのでパイン乗せピザに挑戦しました。味と食感のぶつかり合いはなく美味しかったです。

 

 

総合評価: 6/10

 

 

【AEG第3シリーズ総合評価】

 さて、AEG第3シリーズは全26話ということで1クール分割です。その前半戦はここまで。カナダでは3月16日に14話も放送されますが、14話以降のレビューは2クール目が米Netflixに配信される9月19日以降に投稿しようかと思います。

 前半では、一切喋ることのない人間新キャラクターのレジナルドが営むベーカリーカフェを中心に展開しましたが、展開は普段と変わらず、いつものAEGでした。「いつもの」を具体的にいうと、安心して観られるけど当たり障りがない、良い道徳がつまらないギャグか冗長な展開でお茶を濁されているなど、悪くないけど良くもないものです。

個人的に特段面白かったのはニアとアシマの話で、こだわりを感じられました。7点がついてるものも比較的健全で良い物語でした。ちびっこたちが主役なのは大前提ですが、前期のソルティーやトビーみたいに、脇役が目立つ話がもっと欲しいですね。テスやファローナとフレデリコをそろそろ魅力的に描いてほしい。

 意外にも、予告編に出たウィンストンは一度も登場しませんでした。というか前半には新しく再登場したキャラクターがいません。後半にどれだけ詰まっているのでしょうか。そろそろウルフステッド城が出てきそうな気がしているのですが、それはもっと先の話になるんでしょうかね。

後半ではダニエル・シェアストロムが執筆したブルーノの回があることがわかっているので楽しみにしています。これらを巻き返せる印象深い物語であることを願って。

 

 

1 What's the Buzz? 6/10

2 Bells are Ringing 5/10

3 Abraca-Diesel 5/10

4 Overcommitted 5/10

5 Sandy's Fine Mess 6/10

6 Nia's Green Surprise 9/10

7 Duck Duck Whoosh! 7/10

8 Choo Choo Check In 1/10

9 Percy's Little Problem 4/10

10 Fill-in Friend 7/10

11 Cake It Easy 2/10

12 The Can-Do Crew 7/10

13 Pizza Picnic Problem 6/10

 

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:欧米でよく話題になることで、ヨーロッパ版『スプラトゥーン』のフェスのお題にもなりました。

*2:日本でいうところの「唐揚げにレモンはアリかナシか問題」。