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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第5話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E05 『Sandy's Fine Mess』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: アダム・ビーチェン

内容: サンディーはため込んだ大切な不用品の新しい活用法を学ぶ。

 

【このエピソードについて】

 "fine mess"。アルク英辞郎では「非常にややこしい事態」、「てんやわんやの大騒ぎ」とありました。fineと聞くと「元気」を想像しますよね。でもfineはこのほかにも様々な意味を持ち、「すごく」とか、「ひどく」とか次の単語を増強する意味でも使われます。messは「散らかっている」や、「惨状」などの失態を意味します。それを組み合わせて英辞郎の意訳に繋がるんですね。

 AEGでその文字列を見ると、個人的には嫌な予感がします。とっ散らかったりてんやわんやなエピソードは、AEGだと大体脚本もとっ散らかっているか、一周回って退屈な場合が多いからです。今回はそうじゃないといいんですけど…。

 

©︎Mattel

 幸いにも、キャラクターか展開がてんやわんやすることはありませんでした。

 初登場の時点から直近までずーっと散らかしっぱなしのメンテナンス・ヤードと、ものが大好きで片付けられない女(児)サンディーを題材にしており、整理整頓と再利用の重要性がテーマの物語です。片付けといえば、すでにショートアニメの『かたづけサンディー』にて、カーリーと一緒に整理整頓を試みる回がありましたよね。AEG S1『かくれんぼ びっくり!』が『おどろきいっぱいのディーゼル』の拡張版だったように、今回もその拡張版であるような感じです。実際にはだいぶ違うんですけど。

 

 片付けや整理、私も苦手というか、サンディーと一緒で"もの"が大好きなので、彼女の気持ちにすごく共感できます。あれはまだ使える、これもまだ使えそう、眺めているだけで楽しいと感じて、ゴミは無いけどものが山積みになって、かえって部屋がとっ散らかってる状態です。(自分としては片付いているつもり)。

でも、そうしていては、この話のカーリーみたいにやがて足の踏み場がなくなったり、カナやパーシーを修理する際に、ここぞというときに使えるものを紛失してしまって、何も始められません。だからこそ、子供の頃から片付けの習慣をつけなくてはならないのですよね。

私も3歳くらいからきちんと教育はつけられていたのは覚えているのですが、めんどくさがり屋で、あるタイミングで吹っ切れてしまいました。

 

©︎Mattel

 関連するとはいえ自分語りはこのくらいにして、物語について話を戻しましょう。

 ウィフがヘネロペ*1と一緒にメンテナンス・ヤードに現れた時点で、AEG S2『まるで、新品みたい』と同じく、再利用が物語に組み込まれるだろうとは想像に難くありませんでした。

ウィフはまだAEGの中でも(依怙贔屓なしに)素晴らしいキャラクターの一台ですが、すでに再利用をテーマにしたお話も、AEGではありきたりになりつつあります。持続可能な開発目標として、子どもたちだけでなく世界中の人々にとても必要なメッセージと道徳であることに変わりはないんですけどね。

 

 ただ、私が言いたいのは、サンディーはもうすでに再利用のことはわかっているはずです。確かに、サンディーは形を残したまま再利用することが多く、溶かして別の形に作り替えるといった行為はあまりやりません。でも、『大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』冒頭*2では、すでにリサイクル工場で不用品を溶かして作り替える工程を説明しながら見ています注釈: この光景は先日公開された「大大大冒険にでよう」のMVにも映っています。

以前の時系列と見なす希望にかけましたが、どうもルックアウトマウンテンには旗が立っていて、そういうわけには行きませんでした。

 思うにこれは、AEG第2シリーズの序盤あたりでなら十分に良いエピソードとして機能したはずです。でも、もう遅いんですよね。S19『ヒロをすくえ』や『ロッキーきゅうしゅつさくせん』で覚えた残念な感じと同じです。

 あるいは、連結器の修理のためにサンディーを追いかける役割をトーマスではなくリサイクル工場に訪れたことのない別のキャラクターを用意してそのキャラクターに驚きの反応を示させた上でサンディーに閃かせる展開をすれば、この違和感を簡単に払拭できたと思います。例えばトビーとか。

 

 それにしてもリサイクル工場の内装って魅力的ですよね。ウィフのリサイクル工場のギミック付きの玩具があったら是非欲しいくらいです。タカラトミーさん、どうか一つ。

 

©︎Mattel

 今回は挿入歌が2通りあるタイプのエピソードです。曲名はとてもシンプルに「Stuff」。担当者を表すstaffではなく、ものやガラクタを意味するstuffです。

 1回目はサンディーのソロで、操車場に散らばった不用品をどれだけ愛しているかを語る短くてノリノリな曲です。この回の挿入歌は彼女の気持ちを一発で表現する空想と同じように十分機能しています

 2回目は再利用の素晴らしさを学んで実行に移すサンディーと、それを見守るウィフとのデュエット曲になります。歌詞は全体的にありきたりではありますが、

1回目で「There's never enough, it's my favorite stuff!」とあったフレーズが

2回目では「But enough to enough, we can reuse that stuff!」となるのが好きです。

 

 また、挿入歌だけでなく劇中で流れるBGMもかなり良かったです。

 

©︎Mattel

 先ほど、サンディーはすでにリサイクルを知っているはずだと批判しましたが、その下に主役回を変える以外の提案を書いた事由の一つとして、今回の物語がサンディーの主役回でなくてはならない理由が存在します。

 メンテナンス・ヤードがいつも散らかってるから? それもありますが、前提を考えてみてください。ショートアニメの『かたづけサンディー』では、結局サンディーの判断でリサイクル工場へ分別することなく無理に倉庫へ詰めてスタート地点に戻りました。代わりにカーリーがガラクタの素敵な再利用方法を学んだだけで、これ以上の行動はとっていないんです。ゆえに直近まで散らかっています。

これに対し、今回のエピソードでは実際にサンディーが道徳を学びついに重い腰を上げて整理整頓を実行したという成長を遂げたんです。これが単なる拡張版ではなく、その後の話として成り立つことができ、十分に評価できる部分です。今後のエピソードでもメンテナンス・ヤードが整理された状態ならば言うことなしです。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 そういえばトーマスの後部連結器がネジ式と自連のハイブリッドだったのってショートアニメだけでしたね。合わないと察したのでしょうか。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 まだ少しありきたりで、トーマスがただの間抜けに描かれていて、過去の描写がなかったことになっている=展開するのが遅すぎるなどはありましたが、ガラクタ大好きなサンディーが成長したエピソードとして十分に評価できます。US版の声優はいつも通り素晴らしいです。

 相変わらず平凡が連続した出だしのAEGですが、次から挽回できるのか…? なーんてね。もう第6話がどうだったのか知っているので、次のレビューをお楽しみに。

 

総合評価: 6/10

 

 

【AEG第3シリーズ総合評価】

1 What's the Buzz? 6/10

2 Bells are Ringing 5/10

3 Abraca-Diesel 5/10

4 Overcommitted 5/10

5 Sandy's Fine Mess 6/10

 

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:AEG S2『What's in a Name?』からウィフの相棒になった紫色の雌鳥。

*2:US版冒頭10分映像参照。https://www.youtube.com/watch?v=frKBtIbTaoU