※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S3 E03 『Abraca-Diesel』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: ピーター・ガフニー
内容: 手品の最中にサンディーが消え、ディーゼルが心配して探し回る。
【このエピソードについて】
サブタイトルは手品で一般的に使われる呪文、"アブラカダブラ"のもじりですね。ディーゼルが手品を行うという点では、AEGだと本編でこそ初めてであるものの、ショートアニメーションの『きかんしゃがっこう』シリーズ第2話『がまんしてまとう』で、自らをディーゼリーニと名乗って手品を披露していましたね。
従来のシリーズでは映画『走れ! 世界のなかまたち』にて挿入歌「びっくりきかんしゃ」の歌唱中に似たようなイメージを持っていました。
今回はそれらとの関連性はあるのでしょうか?
そうですね、手品に自信たっぷりな様子から前者との関連性は大いにありますが、今回彼はディーゼリーニではなく、"Diesel-O the Dynamo"と名乗っている他、サンディーの方が手品に詳しいように描かれています。
それはさておき、今回はディーゼルとサンディーの2台が主人公です。再びこのデコボコな組み合わせが見られてとても嬉しいですね。カーリーとのてぇてぇ親友合わせも素敵ですけど、たまにはこういう組み合わせもいいですよね。というか『だいぼうけんクラブ』の時から好きです。
手品中、"アブラカディーゼル"の掛け声でサンディーを消えたように見せるつもりが、サンディーが故障したジェームスを見つけて飛び出して行ったところから、手品を成功させたかったディーゼルが彼女を心配して島中を探すというもの。
飛び出した理由が多忙な修理屋のサンディーらしくて良いですし、手品を成功させたいディーゼルが仲間に種明かしをするわけもなく一台で探しに出ていくのはよく理解できます。手品と結びつけた展開も面白いです。
でも、AEG S2『パーシーがきえた!』とほぼ同じ展開で、新鮮味は薄いですね。そこからしばらく、さっきまでサンディーがいた場所にディーゼルが探しに来るという典型的な場面が続きますので。
サンディーは仕事をしながらも手品のショーに戻ろうとするも、すでに会場には(彼女を探しに行ったために)誰もおらず諦めてしまいます。
個人的にはジェームスもウィフも継続して登場してくれたことを嬉しく思いますが、今回は当たり障りのない出番でした。上述と同じ展開であることに加え、中盤までの展開が長いおかげで、結末があっさりしているというペース配分の悪さを考えると、長々とやる必要がなく、モンタージュでも良かったのではないかと思いました。
親友の力でなんとかなった『パーシーがきえた!』と違うのは、他の友達が協力するところです。普段はフレネミー関係のトーマスがこっそりディーゼルの手助けをして、サンディーに対して彼が本気で心配していたことを伝えるという展開が好きです。もし序盤で手品の披露だけでなく、友情か対立に焦点を当てていたら、この展開がもっと輝いたことでしょうけれど。
挿入歌「Abraca-Diesel」は物語の幕を閉じる直前に行われます。手品に結びつけた歌詞は素敵なのですが、先述の通りペース配分が悪いがために結末が急ぎ行われている感じがして、(奇数回に必ず挿入歌を入れなくてはならないCNからの制約があったとしても)不要であるような気がしました。
【チェックポイント】
手品に用意されているトランプの柄はよく見るとサンディーなんですよね。キングもクイーンも。ということはジャックも? ていうか誰が作ったトランプなんだろう。
どうしてこうなった。
全体的な面白さ:☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
アイディア自体は面白く、尊くて素敵なエピソードだと思います。しかし、テンポの悪さと焦点の一貫性のなさが、山も谷もあるはずの展開を台無しにしており、"friendship is magic"という別の作品で聞き覚えのあるキャッチフレーズが一般的に思えるくらい、物語は平坦でした。
もしこれがよりうまくできている物語をお求めならば、オリジナル第18シリーズ『きえたディーゼルきかんしゃたち』をオススメします。
総合評価: 5/10
【AEG第3シリーズ総合評価】
1 What's the Buzz? 6/10
2 Bells are Ringing 5/10
3 Abraca-Diesel 5/10