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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第48話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

 

AEG S1 E48 『Sir Topham Hatt's Hat』『トップハム・ハットきょうのぼうし』

監督: ショーン・ジェフリー

脚本: デニース・ダウナー

内容: 大事な発表の前にトップハム・ハット卿の帽子が風で飛ばされてしまい、トーマスたちはそれを捕まえようと島中を走り回る。

 

【このエピソードについて】

 トップハム・ハット卿の帽子が風で飛ばされる回は既にオリジナルシリーズのうちに2回ほど存在します。一つはトーマスとスペンサーが競走で急停車した拍子に飛ばされるという第10シリーズ『トーマスとかぜ』。もう一つは第16シリーズ『パーティーきかんしゃエミリー』。後者はエミリーが特別な仕事欲しさに、トップハム・ハット卿を納得させるべく飛ばされた帽子を探し回るも、自分が功績を得て絶対にパーティー機関車になるだろうと強く確信しすぎて、ビクターを騙して帽子の捜索を後回しにするという倫理的にトンデモなエピソードでした。前者の方も「風さん」とやらが都合が良すぎる点では個人的にあまり好きではないエピソードの一つです。

AEGの次元なら気まぐれな「風さん」も上手いこと世界観に合いそうな気がしていますが、果たしてどのような展開を迎えるのでしょうか。

 

©︎Mattel

 そうですね。AEGの次元ではぴったり当てはまっていると思います。でも、個人的には例を挙げた2つのエピソードとどっちつかずな印象ですね。一つは使い古されたネタの再利用だからという点が大きいかも。少なくとも『トーマスとかぜ』の展開よりは何倍も良いです。

 主役はいつもの5台のちびっこ機関車たちですが、ディーゼルに焦点が当てられている、というよりディーゼルが美味しい役を買っています。彼の行動原理はトップハム・ハット卿の発表で行う"お楽しみ"見たさなのですが、ちょっと弱いような気がしました。理由は後述するとして、それこそ『パーティーきかんしゃエミリー』みたいにトップハム・ハット卿に認められる、または褒めてもらいたいことを行動原理にさせたらより面白くなったのではないかなと。

 

©︎Mattel

 もう一つの点はプロットにあります。AEGでは全ての回にチームワークがテーマに取り入れられていますが、今回はより強く「チームワーク」に焦点を当てていますね。それはいいのですが、展開は冗長で、一言で言うと…じれったいです。

登場人物全員が図々しい『ドラゴンときしだん』と違って、ニアがクラブの参謀的存在として活躍しているのを見るのは嬉しいですが、他の2つの帽子回よりは、オリジナル第19シリーズ『ロッキーきゅうしゅつさくせん』を見ているような気分でした。ニア以外の全ての仲間が我こそはと主張して帽子を捕まえようとしては失敗する繰り返しの展開なのです。チームワークがうまくいかないドタバタ劇やディーゼルとカナの競い合いを見るのは楽しいけれど、場違いな気がしています。先述の通りディーゼルは"お楽しみ"目的で動いているわけですが、他の仲間の自己主張がそこまで激しい理由は何でしょう?

 

©︎Mattel

 特に協調性がないのがディーゼルで、AEGのディーゼルが好きな私にとっては美味しい役だなと思っているものの、物語は大大大冒険クラブの7台がチームワークを駆使して問題解決することしか描かれていないため、最も自己主張が強いディーゼルがただひたすらに足を引っ張っているだけで成長する様子は無いんですよね。オチで再び帽子が飛ばされた時も、走りながらニアを頼りに計画を尋ねるトーマスを除いて、誰も成長しなかったのは残念です。

何故私がキャラクターの成長や発展に拘るのか疑問に思う人に少しだけ説明すると、これらは今回未就学児にチームワークの大切さを教えるためには必要なことだと思うんです。今回は特にね。いたずらしたり出しゃばったり人間味のある可愛い瞬間が続くのはいいのですが、1話の中で何の進展も無く繰り返されるとダレてしまうんですよね。

 

©︎Mattel

 まさかここでフランチャイズの75周年記念ネタが入ってくるとは思いもしませんでした。曰く展示する帽子は75年間、歴代のソドー鉄道の局長たちが被ってきた帽子なのだそう。6600万年以上前の生物の化石と75年ものの帽子が並べて展示される空間面白すぎるでしょ。

このAEGシリーズが現代のような世界であると仮定して、鉄道が開業して75年しか経過していないのなら短すぎると思うのですが、AEG第2シリーズにてトップハム・ハット卿のひいおじいさん(初代局長)の存在が確認できることから、途中から数えて75年という風に解釈することもできる…かも?

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 やはりディーゼルといえばカモちゃんなのだろうか。ていうか水に入って故障しないのだろうか。

 

©︎Mattel

 クランキーのユーモアが一番好きです。Gone fishing。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 物語自体は悪くありません。アニメーションの躍動感とドタバタ劇は楽しくて、特に自分の力を見せてヒーローになりたがるディーゼルに対してニアが「Nope (いいえ、無いわ)」と釘をさす場面などは時に笑いを誘います。AEGディーゼルの愛らしさを堪能したい人にはおすすめできます。しかし、ありとあらゆる面で惜しいエピソードでした。

 ここまで観て、『ドラゴンときしだん』の評価を更に見直す必要がありそうです。ドタバタ劇が笑えると思っていたけど、他のエピソードと比べると、かなりひどいですね。

 

総合評価: 3/10

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