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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第52話レビュー+総合評価

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E52 『Song of Sodor』『ソドーとうのうた』

監督: ショーン・ジェフリー

脚本: クレイグ・カーライル

内容: 新しいベンチの除幕式に一工夫加えるためニアは歌を作ることを提案するが、それにはブレインストーミングが必要だ。

 

【このエピソードについて】

 さて、AEG第1シリーズもいよいよ最終回。従来のシリーズの2倍ほどの話数があるため、ここまで長かったですね。平凡か平凡以下のエピソードが大半を占める中、AEG第1シリーズはどのような最終回を迎えるのでしょうか?

 

©︎Mattel

 奇数回に挿入歌、偶数回には歌がないとまとめられているAEGでは珍しく、前回の『せんろをはしるスキフ』と共にその法則が入れ替わっています。ラストの演出を見るに、歌で最初のシリーズに幕を下ろしたかったのがわかりますね。

 さて、物語についてですが、大体の展開は、オリジナル第16シリーズ『トーマスとソドーとうのおと』によく似ていて、歌好きなニアでの再解釈のような形になっています。有名な作曲家の書いた楽譜が飛ばされるとかは無いですけどね。

新しく出来たベンチの式典に歌を加えたらもっと特別になるとニアが提案し、作詞作曲するまでの工程が描かれます。ベンチの発表に対して機関車たちが何が特別なのかわからないと肩を落とす価値観の違いが見られたのは面白いですね。でも、フランチャイズ上でも流石にベンチの式典が開かれるのは初めてで、視聴者(特に古いファン)からしても平凡すぎて逆に異質に見えますよね。

なぜベンチなのかなと思ったのですが、とある熱心なファンの方の解釈と考察で、非常に納得したものがあるので紹介させてください。「ベンチがテレビの前で座って観る視聴者の比喩になっている」と。確かに最後の歌の演出はかなりそれっぽいですよね。上手い具合にまとめられていると脱帽しました。

 

©︎Mattel

 物語全体が素晴らしいかと言ったら、個人的にはそうでも無いなと思いました。

まず、前回が黄土色(緑色)のいたずら貨車が単体で出てきたのに対し、今回はそのパートナーである赤茶色のいたずら貨車が単体で出演し、前者と性格に差別化が与えられました。この赤茶色の貨車は乱暴ではなく、のんびりとしていて、せっかちで、おしゃべりで、音楽と歌が大好きであることが描かれています。性格の掘り下げ自体は素晴らしいですよね。でも、それが逆に弊害になっているんです。

というのも、扱い方とストーリーの進行が悪いんですよね。この貨車は「歌はもう出来たか?」と、他の機関車が奏でる音や歌に対してその全てに肯定して「それっていいねえ (I like it)」と言うだけで、ニアの手伝いになっていないんです。最悪なのは、歌を思いつくまではそれが延々と繰り返されるので、耳障りだし退屈なこと。この貨車の発言は全てギャグテイストで描かれていますが、物語にはそれ以外に何も無いのです。

 歌を思いつくまでの流れでもう一つ不満なことがあります。それはニアとトーマスの役割が誰でもいいことです。第13話『おんがくはあちこちに』のように、ニアはおそらく普段から感覚でリズムを生み出して物事をうまく運ばせているので、自分一台でよく考えて作詞作曲するのは苦手なのでしょう。アダージョなら特にね。普段はソドー島の音が音楽に聞こえるのに作曲しようとすると雑音にしか聞こえないとする心情はリアルに描かれていました。

では、だからこそ『おんがくはあちこちに』との連続性を持たせるべきだったのではと。ニアと少しベンチについて話して自己解決させるよりも、最終的なアドバイス役で登場したトーマスが『おんがくはあちこちに』で教わったことを、ニアに思い出させる役として登場させたら、ニアが主役であることと、トーマスの出番に意味を持たせることができたのではないかと思うんです。

 

©︎Mattel

 道中、いたずら貨車が「俺の母ちゃんもいつも俺が静かだって言ってた」という台詞があり、ファンの間で物議を醸しましたが、これは単なる延々と喋り続けるビッグマウス古いギャグであって、実際に貨車に母親が存在するという意味ではないと思います。

なお、脚本家のクレイグ・カーライルによれば、これは自分が執筆した時には無く、後付けされた台詞だそうです。

 

©︎Mattel

 挿入歌「Song of Sodor」は物語の幕を閉じる、ニアが作詞作曲した豪華な歌です。ベンチに座って日常の音に耳を傾けてというニアならではの歌という感じがしますね。彼女のみならず、大大大冒険クラブの面々に加えてゴードンとエミリーも歌唱に加わっているほか、ソドー島のいろんな仲間たちや動物が登場するので、いつもより一層特別感を味わえて好きです。

上述の考察をした方の言葉を借りれば、「これからも見てね」という気概も伝わってきますよね。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 トップハム・ハット卿の華麗なタップダンスは必見です。

 

©︎Mattel

 本作の最大の特徴は、最終回だからか、登場キャラクターも豪華です。AEG第1シリーズに登場したオールスターが勢揃い。そのほとんどはカメオ出演ですが、いないよりずっといいでしょう。

でも、第39話で中国に帰ったヨンバオや長編のみのヒロはともかく、黄土色のいたずら貨車と、シリーズ中最も登場頻度の高いジェームスが出てこなかったのは何故でしょうね。エドワードやヘンリー、ケンジさえ出てるのに。

 

 

全体的な面白さ:BORING

遊び心:☆☆

キャラクター:☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 最終回は当然"大大大冒険クラブ"全員が主役なのだろうと思いきやニアが主人公だったのはかなりの驚きでしたね。ニアやトーマスたちの台詞回しやそれぞれの考え方は良かったですし、歌はこのシリーズにとって幕閉じに相応しいものでしたが、申し訳ないけど、それに至るまでの道中は私にとって非常に退屈でした。いたずら貨車に関しては、役に立たないけど愛嬌があって憎めないですけどね。

 

総合評価: 3/10

 

 

【AEG第1シリーズ総合評価一覧】

 てな訳でAEGの第1シリーズのレビューが全て完了しました。長かったですね。だからこそ当初は全てのエピソードをレビューしようとしなかったのですが、終わってみれば清々しいです。また改めてまとめを投稿するときに点数の変動があるかもしれませんが、ひとまず一通り観た感想はこのような感じです。

 オリジナルとはまるで異なるものの、「アニメとしてはそれほど悪くない」が、自分の中で落ち着いているものです。少なくともリアル路線を敬遠しがちな層の獲得には貢献できたのではないでしょうか。

もちろんその中の多くは、まるでフィラーのように平凡だったり、同じアイディアが使いまわされていたり、内容によってはオリジナルシリーズの足元にさえ及ばないものも多数あり「リブートの最初の方にこの体たらくか」と、肩を落としたのも事実。賛否あること(否定意見多数)も観る前から認めています。しかし評価を見ての通り、未就学児にとって良いメッセージや、個人的に気に入っているエピソードもいくつかありました。

特に第27話以降、ストーリーテリングが少しずつ改善されているようにも見受けられました(今見返すと前半のエピソードは驚くほど非論理的かつ退屈でした)し、キャラクターの再解釈が興味深く、AEG第2シリーズにも話したいことがたくさんあるので、このまま番組を観続けながら、全エピソードの感想を述べようと考えています。

 

 コメントでの要望と期待の多いオリジナルシリーズの第2シリーズまとめや第20シリーズのレビューに関しては、もうしばらくお待ちください。特にこの2つは自分の中では二強で、語りたいことがあまりにも多すぎるが故に言語化するのが難しく、言葉でまとめることに難航しています。でも、伝えたいことはきちんと伝えたいので必ず投稿します

 

 ※あくまでも面白さを重視する自称厄介オタクによる評価です。AEGに興味がある人は、私の評価に関わらず全てのエピソードに目を通してほしいと思っています。

 

1 A Thomas Promise トーマスのやくそく 5/10

2 Thomas Blasts Off トーマスロケット 3/10

3 License to Deliver ひみつのスパイ ナンバー・ワン 7/10

4 Rules of the Game たのしいコースであそぼう 6/10

5 A Quiet Delivery しずかにはしろう 8/10

6 Kana Goes Slow 8/10

7 Dragon Run ドラゴンときしだん 3/10

8 The Biggest Adventure Club だいぼうけんクラブ 6/10

9 Percy's Lucky Bell パーシーのラッキーベル 4/10

10 Sandy's Sandy Shipment サンディーは すながすき 5/10

11 A Wide Delivery いえをはこぶほうほう 9/10

12 Counting Cows かぞえて モーモー 4/10

13 Music is Everywhere おんがくはあちこちに 8/10

14 Backwards Day ぎゃくにするひ -5/10

15 Chasing Rainbows にじをおいかけて 2/10

16 Nia's Balloon Blunder ニアのおおきなふうせん 5/10

17 Capture the Flag はたをおいかけろ 8/10

18 Mystery Boxcars ミステリー プレゼント 8/10

19 Super Screen Cleaners トーマスはスーパートレイン? 8/10

20 Overnight Stop パーシー はじめてのキャンプ 5/10

21 The Joke is on Thomas じょうだんでわらおう -2/10

22 Lost and Found ビーチはどっち? 5/10

23 Thomas' Day Off ぼくだけの ぼうけん 7/10

24 The Real Number One ほんとうのいちばん 8/10

25 Roller Coasting ジェットコースターってさいこう 7/10

26 No Power, No Problem! ていでんなんてもんだいない 5/10

27 The Tiger Train ゆうかんなトラのきかんしゃ 8/10

28 The Can-Do Submarine Crew せんすいかん だいさくせん 8/10

29 Thomas and Percy's Eggsellent Adventure 7/10

30 Calliope Crack-Up 8/10

31 Tyrannosaurus Wrecks きょうりゅうのほね 3/10

32 The Super-Long Shortcut! スーパールートでいこう 8/10

33 A Light Delivery 8/10

34 The Paint Problem かわくまでまてない 8/10

35 A Wonderful World ステキなものがいっぱい 7/10

36 Whistle Woes きてきのこわれたトーマス 8/10

37 Letting Off Steam じょうきでスッキリ 7/10

38 Nia's Perfect Plan 6/10

39 Something to Remember おもいでをおくろう 7/10

40 Sandy Versus the Storm あらしのなかのサンディー 8/10

41 An UnbeLEAFable Day たのしいあき みつけた 6/10

42 Ghost Train ゆうれいれっしゃ 5/10

43 A Rusty Rescue 9/10

44 Hide and Surprise! かくれんぼ びっくり! 8/10

45 Pop A Wheelie ディーゼルとしゃりん 3/10

46 Goodbye, Ghost-Scaring Machine さよなら おばけたいじマシーン 4/10

47 More Cowbell カウベルをかえして 7/10

48 Sir Topham Hatt's Hat トップハム・ハットきょうのぼうし 3/10

49 Nia's Surprising Surprise ニアのかんぺきなパーティー 5/10

50 A New View for Thomas トーマスのあたらしいけしき 9/10

51 Skiff Sails Sodor せんろをはしるスキフ 10/10

52 Song of Sodor ソドーとうのうた 3/10

 

全体評価: 317/520

*マイナス点は「0点」とする。

 

次回→ Fast Friends とてもはやいふたり

 

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