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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第51話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E51 『Skiff Sails Sodor』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ダニエル・シェア=ストロム

内容: スキフの船体に穴が空いたためトーマスがハーウィックへ運ぶことになるが、スキフは陸酔いするため、運ぶのに難航する。

 

【このエピソードについて】

 覚えていますか? スキフは2015年に英国で公開された映画『探せ!! 謎の海賊船と失われた宝物 (Sodor's Legend of the Lost Treasure)』(以下、SLOTLT)で初登場した際から既にレールボートとして出てきたことを。要約すると、海軍から追放された船乗りジョンがトレジャーハンティングの移動手段としてスキフを作り、ソドー島にカレス船長の海賊船の在処がわかると、スキフを線路で走らせるための台車を与えた、という設定でした。事件解決後も第24シリーズに至るまで、レールボートツアーとして線路と海の両方を走れる船というユニークなキャラクターで登場し続けました。玩具もレールボート仕様で発売されたものがほとんどですね。

 

©︎Mattel

 このエピソードは、スキフが主役で、スキフが初めてレールボートになる内容です。

AEGではニアがケニアからソドー島に来る『BWBA』のようなタイムラインが存在している割に、『SLOTLT』のタイムラインはまるで存在していなかったかのようです。スキフが船乗りジョンによって造られなかった世界線ということでしょうか。混乱しそうですけど、やはりAEGは「別の次元」という表現がよく似合うかと思います。

この新番組から初めてスキフを見た新規視聴者が、当たり前のようにレールボートとして動くスキフを見たら同じように混乱するからでしょうか? まずは帆船という当たり前の共通認識からスキフというキャラクターの成形を組み立て直している…?

あまり難しく考えすぎるとサンディーみたいになってしまいそうです。

 

©︎Mattel

 私は従来のCG期のスキフが大好きです。が、今回の物語もかなり気に入っています。読者の方々が投石器と岩を持ち出して私に照準を合わせる前に理由を説明させてください。

AEGのコンセプトは前に何度も解説した通りで言わずもがな。まず評価したいのは、これまでAEG本編の中で一度きりの脇役止まりだったスキフが今期中に主役になったことです。第23話以降ずっと出てくる気配がないので心配していたんですよね。別次元であるCG期の方でもS20が終わればライアン同様下火になりチョイ役程度の出番で寂しかったんです。

 次に、スキフ自体のキャラクター性を強めるためにか、海路と陸路の心地両方に焦点を当てて物語を進行するところです。AEGでは新たに、波みたいな揺れがないと陸酔い(Land-sick)する設定が与えられました。それが物語を作り出していて、非常に印象に残ります。運ばれるのを拒んだことにも納得がいくし、陸酔いさせないようトーマスがあえてでこぼこの線路を選んだり飛び跳ねるも、トーマスまで酔わせないように自分を犠牲にしてまで水面に居座ろうとするスキフに共感しました。

全体的にキャラクター活用は満点だと思います。わんぱくだけど思いやりのあるトーマスが活きているのもいいし、不公平なレースを望まないディーゼルが壊れたスキフを想うのも良かったです。跳ねることを物語に活かしているのもAEGならではです。

 

©︎Mattel

 解決までの道中も楽しかったです。元々スキフがレールボートのキャラクターだとわかっていてもこの結末は予想できませんでした。従来みたいな台車があっても、でこぼこ道出なければ陸酔いしてしまいますからね。

キャラクターといえば、黄土色のいたずら貨車もいいキャラしてたと思います。従来のように自力で動けないところも良かった(シリーズ中に自走シーンがなければもっと良かったんですが)。彼が失言をしては、公平を好むディーゼルに体当たりされたり、ディーゼルにボロバケツ呼ばわりされてるのが面白いです。グラグラ揺れる車体を利用してスキフに楽に線路を走ってもらって同時に楽しませる方法を見出すとは。

 

©︎Mattel

 サンディーが作ったスキフの新しい台車は、従来のものと同様シンプルですが、おおきなバネがあることで、走るたびに上下にボヨンボヨン跳ねる性質があるのが特徴です。この姿でまた登場してほしいですね。物語で活きる可能性がまたグッと広がったような感じがしますし。唯一の問題は彼の登場回数がAEG全体でも非常に稀なことです。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 いたずら貨車黄土色赤茶色のもので、第51話と第52話で性格におおきな差が生まれたと思います。両方ともおばかさんですが、こちらの方は、より思いやりがなくて、ズルくて、とにかく失言が多いです。

また、どんなに悪口を言われても燃え上がるスキフもいいですね。スキフもスキフで従来の純粋な性格とはまた差異が見受けられます。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 ここで初めてレールボートになったかのような物語は、オリジナルのスキフに親しみを持つ人からしたら奇妙に思えることだと思います。加えて、乗り物が働いている世界でスキフだけオリジナルと違って存在するために何をしているのか明かされていないのも気になります。今後の課題はスキフが普段何をしているのか明かすことかも。

 しかしこれまた奇妙なことに、私はこのエピソードがAEG第1シリーズの中で最も好きです。前提条件と制限を兼ね備えた物語がしっかりしていて、キャラクター活用が完璧で、一味違うスキフを最初から最後まで楽しめたからだと思います。そういうわけでとても面白かったです。

 

総合評価: 10/10

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