※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E37 『Letting Off Steam』『じょうきでスッキリ』
監督: ショーン・ジェフリー
脚本: サラ・アイゼンバーグ、ベッキー・ウォンバーグ
内容: トーマスとパーシーは初めて大喧嘩をしお互いに友情が終わるのではないかと心配する。
【このエピソードについて】
トーマスとパーシーが喧嘩をするのは、ブランド的には初めてのことではありません。原作では第30巻『More About Thomas the Tank Engine』(未翻訳)が、4話まるごと2台の喧嘩にまつわる話です。TVシリーズでは、その映像化であり省略版でもある第2シリーズ『トーマスとパーシーとせきたん』、パーシーによる一方的な喧嘩では第12シリーズ『ベストフレンド』、映画『ディーゼル10の逆襲』、『勇者とソドー島の怪物』などが主な作品ですね。それぞれ別々の解決方法で仲直りをしました。
さて、AEGではどのように解決するのか…?
長年のファン的には、久しぶりに本気でお互いに喧嘩したところを見たような気がします。従来のTVシリーズは後半になると、主にパーシーが一方的にキレ散らかして避けるようになる展開が多くありました。まあ、どちらにしても別次元の2台なんですけど。それでも、TVシリーズの適応といっても過言ではないくらいに、原作30巻の『Drip Tank』に非常に近い雰囲気を感じました。木の枝のシーンなんか特に。水漏れはしないけど。
線路が塞がれる焦りから、仲間と失敗の笑い合い、そこから喧嘩に発展していく心理的なものはリアルに感じました。中盤でお互いに別の線路を行くことになっても、対して距離が離れていないのが彼らの心情の現れのようにも見えました。
それにしてもこの鉄道何回渋滞するんじゃ。高速道路か。
喧嘩している時間の方が長いので解決方法は意外とあっさりしているように感じます。でも的確なんですよね。仲介人として登場するのがニアです。彼女は怒りを抑える方法を挿入歌「Blowing Off Steam」を通して教えます。蒸気を思いっきり拭きあげれば、暗い気持ちを切り替えられるよという内容です。人間で言うと深呼吸か、でっかいため息かな?
「ため息は不幸をよぶ」と主に"聞かされる側"から言われることが多いですが、それは遠回しに「やめろ」という意でもあり、実際に誰もいないところでため息をつくことでストレス解消になることもあります。
"怒りは6秒我慢すれば収まる"と言いますからね。正しくは我慢より一度距離を置くことだと思います。今回の話みたいに。そうすれば、(場合によっては)頭を整理する時間が生まれて、何かに気づくことができることもあるかもしれません。
ゴードンはこのシリーズで何回連結器壊すんですかね。なんとこれで4回目です。
【チェックポイント】
実は今回、カメオ出演含む従来のシリーズのキャラクターのみで展開しているんですよね。
ところでエドワードがアニーとクララベルを牽いてるの珍しいよね。『はじめて物語』辺りで繋いでたっけ。
ゴードンのやわやわ連結器も大概だけど、ジェームスもこのシリーズで貨物落としすぎじゃないですかね。。。
全体的な面白さ:☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆
道徳:☆☆☆
【最終的な感想】
怒りとは負の感情に上乗せするかのように価値観を傷つけられることで発生する感情です。そのメカニズムはライターに例えると分かりやすいと、心理学の先生から教わった覚えがあります。今回の物語はそれを十分分かりやすく表現していました。ジェームスの荷物が線路の上に崩れたことの焦りから負の感情が現れたのでしょう。ニアの扱い方も良かったですね。内容的には少し平凡だけど、決して悪いエピソードではないです。少なくとも、突発的に何事もなかったかのように仲直りするよりは良いでしょう。
総合評価: 7/10