※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E36 『Whistle Woes』『きてきのこわれたトーマス』
監督: ジェイソン・グロー、ショーン・ジェフリー
脚本: サラ・アイゼンバーグ、ベッキー・ウォンバーグ
内容: トーマスは汽笛が使えなくなっても自分らしくいられることを知る。
【このエピソードについて】
汽笛のお話です。長年のトーマスファンの中で汽笛に関する話題を持ち出すと、大体悪名高い第15シリーズ『グラグラのきてき』が持ち込まれます。それは、助言を無視したトーマスが常識を窓から投げ捨てるかのように全く空気の読めない行動を起こし、動物や人々が怪我もしくは命を落とす可能性があるほど鉄道の安全性が考慮されていないのにそれについて学ぶことはなく、貨車が積み込み終える前に出発するところから始まるという非常に馬鹿馬鹿しいシナリオでした。ファンの間で最悪のエピソードと呼ばれるのも無理はないでしょう。
さて、サブタイトルは共通する部分がありますが、AEGでの汽笛の災難は実際どんなものなのでしょうか。
あらすじだけを見れば、どちらかと言えばS23『ラジブのだいじなおうかん』で王冠をなくすことを詰まった汽笛に、主人公をラジブからトーマスに変えたような物語のようにも捉えられますね。もちろん、汽笛ですので王冠と違って鉄道の規則として必要不可欠な物ですから、無くても平気ってことはあり得ないでしょう。まあ…、従来のシリーズだったら。
AEGでは自由度が高いのでリアリズムは置いておいても、今回の話は物語がきちんと成り立っています。加えて、S8『パーシーときてき』、S15『グラグラのきてき』の大幅な改善にもなっており、車輪でポイントを切り替えたり飛び跳ねたりすることを大目に見れば、物語自体は従来の『きかんしゃトーマス』とさほど変わらない感じの、優れた印象を受けました。
まず、ディーゼルが競走以外で意地悪をしたのはAEGではこれが初ですね。しかもいたずら貨車たちとつるんで。ここだけでもちょっぴり従来っぽい雰囲気を感じられます。AEGのディーゼルとしても彼らしい動作をしていてちょうどいい塩梅なのがミソ。
でもちょっと惜しいです。彼が急発進したことでトーマスの汽笛に小石が挟まるわけですが、意地悪だったのはほんの一瞬だけで、ここでは無意識に行われるので、そのまま彼らの意地悪での事故だったら、後の展開ももっとうまく機能したのではないかと思います。次のシーンでは笑ってるので多分脚本よりも構成かアニメーションの問題かしら。
S15『グラグラのきてき』との決定的な違いは、トーマスが常識を持っていることです。同じように、変な汽笛の音色で動物を驚かせてしまう描写もありますが、自分の汽笛が詰まっていると気づいた後は、面白がって遊びで鳴らしまくるのではなく、すぐに間違いに気づいています。無論、鉄道では変な汽笛を好き勝手鳴らしてもいいという教訓ではないです。
正確には、サンディーが細かい工具を使わないと小石が取れないという制約の中、バルブから蒸気漏れしているパーシーの代わりに郵便物を届けるときだけ普段の感じで鳴らそうとしては、珍しい鳥の仲間扱いにされて、まともに鳴らせないことに対し徐々に劣等感を抱くといった流れです。中盤まで彼の代わりに親友のパーシーが汽笛を鳴らすところが好きです。
偶数回にも関わらず「The Mail Delivery Song」が挿入歌として流れますが、パーシーが郵便配達するときの曲として今後も定番になっていく感じなんですかね。
終盤では怒涛の展開で、劣等感を抱いたきっかけを利用してパーシーといたずら貨車の救出に向かう場面は圧巻でした。
【チェックポイント】
今回、小屋から顔を出した人物は本当にマッコールさんなのでしょうか?
服装どころか、顔自体が模型期のマッコールさんとも、CG期のマッコールさんとも全く一致していないのだけど…。もしかしたら次世代のマッコール二世かもしれません。
ちなみに第2シリーズでは恐らく妻と娘のような存在も確認できました。
アニメーションはかなり優れていてアクションにも注目です。
ロルフ城って常に兵士のコスプレした人がいるんですね。
守りたい、このえがお。
全体的な面白さ:☆☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:AMAZING
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
『きかんしゃトーマス』において、"変な汽笛"を重点においた回はこれで5~6回目*1くらいですかね。その中でも最も近しいのが『グラグラのきてき』でしょうけれど、たとえ脚本家が意図的でなくてもイメージの悪さが払拭できてたと思います。纏まりの良い物語でした。
総合評価: 8/10
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*1:『かわったきてき』『パーシーときてき』『グラグラのきてき』『マイクのきてき』など。