※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E2 『Thomas Blasts Off』『トーマスロケット』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: クリストファー・J・ジェンタイル
内容: 仲間たちとロケットの部品を運ぶトーマスはどんな部品も重要だと学ぶ。
【はじめに】
自分の当初の予定では、AEG第1シリーズ (通称: 第25シリーズ)の中でも注目のエピソードだけをピックアップして個別レビューを書こうと思っていたのですが、正直AEG第2シリーズ (通称: 第26シリーズ)が面白すぎて全てのエピソードのレビューをしようかと考えています。
そうするなら、AEG第1シリーズで飛ばした個別記事も、日本で放送されたタイミングで投稿しようかという思いに至りました。飛ばした記事の評価については期待しないでください。
ネタバレ無しの2D期全体についてはこちらを参照してください。
【このエピソードについて】
第1話から第4話は、ローンチタイトルとしてまとめて2021年8月にメキシコで放送され、それを視聴した事を覚えています。アメリカのカートゥーン・ネットワークもそうでした。物語の内容はメキシコの放送を見るまでわかりませんでした。第1話だけレビューを書いてそのほかの3つを飛ばした理由は… 察してください。
このエピソードは、ありがたいことに、私にとって第12シリーズや第14シリーズなどのとてもランダムな物語を思い起こさせてくれました。この物語におけるキャラクター活用は決して悪くないのですが、ロケットの打ち上げについてはとてもランダムな物に感じます。
特に、AEGの最初の6話には乗客などの人間が一切姿を見せない上、ブレンダムの港で雑に組み立てて発射するだけなので、なんのための打ち上げなのかと勘繰ってしまいます(苦笑)
この物語で重点に置いているのはトーマスが学ぶ教訓のみです。彼の仕事は、ポツンと残された小さなバッテリーだけ。それが全ての電源になる重要な荷物とも知らないトーマスは、ほかの大きな荷物を運びたいがために、仲間たちに交渉する機会を窺うお話です。
小さなものの重要性を見落とすといった部分では、精神年齢が少し上な従来のトーマスでは考えられないことです。AEGのトーマスは「小さくても大きなことができる」精神ではないのでしょうか。
トーマスがほかの機関車と同じかそれ以上に見せ場を作りたがる話では、S8『トーマス、ただしくやる』に類似していますね。しかし、この回では、最新作の2話目にして、S12〜S16でうんざりするほど頻繁にみられた”スリーストライク方式”、すなわち3回同じ失敗をしてようやく過ちに気がつくパターンで構成されているのです。最も、ほぼ同じ会話を繰り広げるS12〜S16と大きく異なるのは、中盤(2回目の失敗)から仲間を手助けすることで、多少"同じ展開を繰り返している"という認識をある程度緩和させていることでしょうか。トーマスが助けたカナが、終盤でトーマスを助けるために活躍するのは尊いものがありますね。
物語には遊び心があります。今回はロケットを打ち上げることにトーマスが興奮しているので、彼のセリフにロケットや宇宙飛行に関係する用語が出てきます。暗いトンネルをブラックホールに見立てるのも、子供のごっこ遊びみたいで微笑ましいですね。個人的には、宇宙飛行に関連したセリフで番組を視聴した未就学児が宇宙飛行に興味関心を持つようになればいいなと。AEGはバラエティに富んでいるので列車の物語を見ながら様々なジャンルの想像力を発展させられる可能性があります。最も、列車の物語というにはあまりにも現実の鉄道要素からかけ離れていますが。
バラエティに富んでるとはいえ、ランダムな展開の中でも見過ごせない一幕があります。第1話ではゴードンの連結器が壊れたところから物語が開始しますが、第2話の終盤では再びゴードンの連結器が破損します。緊迫感を与えるためとはいえ、同じネタを使い回すのは… どうなの? 脚本家同士で相談とかしてないのか? それとも、アニメーションのコスト制約のための苦肉の策とかだったりするんですかね。
もう一つは展開です。終盤でようやくバッテリーを運ぶことになったトーマスが港へ赴く4回目の場面では、なぜだか急に土砂崩れが発生します。ごっこ遊びで隕石飛来の緊急事態を思い起こさせるには十分ではあるものの、天候が激変したとかでもなければ、何も前兆とかないですし、あまりにもランダムすぎませんか? 緊急事態でハラハラさせたいならば、それまでで岩がぐらつくなどの前兆を描くべきだったのではないかと思います。単にやりたい放題の物語のように見えます。
AEGにクランキーが出てくることは、メキシコで放送開始されるまで不明でした。放送前に絵コンテを自分のサイトで公開させてしまう意識の低い人間がいる中で、よく隠せたと思います。従来の雰囲気と少し似ていますが決定的に違うのはいつもイライラしているわけではないことです。
AEGのクランキーは常にハートフルな一面を持っていますが、それを隠そうと、機関車たちの前ではわざと不機嫌に振る舞う、大人から見たら愛らしいキャラクターになっています。もちろん、忙しい時は従来のようにイライラすることもあります。
今回早くも教訓を与えるキャラとなったクランキーさん。大人キャラは大抵、ちびっこにそのキャラらしい振る舞いで教訓を与えてくれます。ゴードンを父親に見立てた場合、クランキーは差し詰め港の知り合いのおじちゃんといった印象です。
【チェックポイント】
トーマスがピンチに陥った時、フレネミー関係のディーゼルが誰よりも早く行動を起こしているの、尊くないですか?
コンピューターの高速カウントダウンには面白くてつい笑ってしまいました。
コンピューター役を誰が演じているのかはわかりません。クレジットに表記がないことを考えると、その中の声優か、はたまた業務用のSEとかですかね。個人的に、米国版はトーマス役のミーシャ・コントレラスの声に聞こえます。日本語吹き替え版は… 声優オタクに任せます。
全体的な面白さ:☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
今回の話についての感想を一言でまとめると、じれったいです。2話目でこの出来にはがっかりしたのが正直な感想です。AEG初期の話ではわんぱく少年のトーマスの空気の読めなさにもやもやしてしまいます。当初、個別記事を飛ばした理由です。私が不満を口にすると、主に新しいものかマテル社を憎悪する勢力によってその部分だけ拡散されていくという非常に勿体無い例を経験しているからです。
ただ、後半になるにつれてAEGのトーマスも成長していくほか物語の構成も改善していってるので、AEG全体の判断を下すには、2話4話では早すぎるとだけ*1伝えておきます。
日本語吹替版では、Eテレの枠の都合上、11分×2話構成にも関わらず20分の枠しか持てないため、カットされた歌やセリフが多く存在します。今回だと、冗長した展開を縮めることでテンポ良く観られたので良かったのですが、ほかの話でこれをされるとちょっと寂しいかもしれません。早いところ25分枠に戻してほしいところです。
あと脚本家のGentileをどう訳したらジェヌールになるのか疑問です。
総合評価: 3/10
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*1:S2前半(通算78話)を観た後にもう一度このエピソードを見返しても私は良い印象は得られませんでした。