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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第14話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E14 『Whiteout!』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ニキ・リットン

内容: トーマスとパーシーはクリスマスを控えた吹雪の中、島中の全ての人々にプレゼントを配達しようとする。

 

【このエピソードについて】

 4つ前に『Blackout!』というサブタイトルのエピソードがあったばかりですが、対極の(?)『Whiteout!』が来ました。まあ文字通り前者は停電、後者は吹雪で視界が非常に悪い状態になるホワイトアウトを指すのでしょう。前者の物語は個人的にはつまらなかったのですが、真っ白に染まったソドー島のお話はどうでしょうか?

 

©︎Mattel

 サブタイトルに関しては文字通りです。画像の通りすごい猛吹雪と視界の悪さが演出されています。静止画より実際に観てもらった方が良いかも。先に言っておくと雪関係のアニメーションは素晴らしかったです。

 物語の方はそうですね…。もしオリジナルシリーズにこのお話があったら、きっと私は気に入らなかった事でしょう。

 

©︎Mattel

 というのも、感覚を研ぎ澄ませて土地勘を頼りに目的地を見出すという、人か動物っぽいお話なんですよね。AEGは自由度が高いのでOKですが、もしオリジナルシリーズのような鉄道を意識した作品だったら、線路の方向は信号手が決めるので自動車と違って迷子になることはないはずなんです。まあ猛吹雪でポイントが凍ってたら… どうかわからないけど(笑) そうしたらこの感覚が必要になるかも? 猛吹雪の中でよく聴こえない事が前提なのに聞き耳を立てる展開はちょっとおかしな気もしますが。

目ならまだしも、耳どこにあるんだよとも突っ込みたくなりますよね。でもオリジナルシリーズにも原作にも「聞く」事を描写しているのでこれに関しては永遠の謎です。

 

©︎Mattel

 今だから言いますが、私はオリジナルシリーズと過去のAEGの焼き直しや類似点があるからといって、すぐにダメと決めつけるわけではありません。むしろ、それ以上のものがあれば高い評価に変わります。

このお話では、人々のために豪雪の中働くのは、S18の名作『クリスマスのさいしゅうれっしゃ』に類似していますし、視界が悪い中土地勘を頼りに行ったらリサイクル工場など思わぬ場所に出る展開はS15『スペンサーとふかいきり』、道徳はAEG第1シリーズ第22話『ビーチはどっち?』の焼き直しに見えます。まさか「ウィフが出る」ことと類似したお話が続くとは思わなかったけど。

相変わらず"The Vroom 3000"からは悪臭が排出されているみたいだし、ウィフがモーターどうのと喋ってるのってやっぱり蒸気モーター機関車にでもなったんだろっか…?

 

 『スペンサーとふかいきり』は終盤にドラマチックな展開がありますが、中盤まではただ迷う繰り返しで、楽しめることといえばスペンサーが過去に絡んだことのある機関車と会うことでより滑稽に見えたことくらいで、展開上はほぼ無意味でした。視覚的にも見づらいし。

このエピソードでは、他のキャラクターとは深くやりとりがあり、私はそれがとても好きです。農場の後に寄る予定があったのかはわからないですが、パーシーからクランキーとウィフそれぞれにプレゼントを渡して、彼らから手がかりを見つけるヒントをもらいます。それぞれの台詞は温かみがあるし、意味のある絡みだったことを感じさせられます。

 また、『クリスマスのさいしゅうれっしゃ』とは、共通する利点があると思っています。利点というのは、どちらも鉄道車両として人々のために動いていることです。道徳は人に関係するものですし、前者ほどドラマ性があるとも言えません。でも、クリスマスかハヌカーなどの伝統行事をする人たちの事を思って責任持って動いていることは評価したいですね。

それに会話がまともなので、道徳が一緒である『ビーチはどっち?』より、ずっと面白く感じます。

 

©︎Mattel

 トップハム・ハット卿もプレゼント*1をもらったり、最後には可愛らしくて尊い瞬間もあり、クリスマスの休暇らしく心が温まります。

 ただ純粋な疑問なんですが、パーシーが島全体の全ての子どもたちに配達する事を意気込んでいるのに、農場に止まってから他の地域の駅を目指さないのは何故でしょう。ええ、わかっています。コスト制限で多くの駅を出せないことはね。でも、サドリー駅だけでもちょっとした配達の場面を設けても良かったのではないでしょうか。子どもたちが農場かヴィカーズタウンにしかいないように見えるのはちょっぴり変です。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 ハヌカ*2が言及されたのはフランチャイズでも初めてですね。原作者への敬意に関係があるのかはわかりませんが、オリジナルシリーズではハロウィンを除いて派生や他の宗派には殆ど触れられたことがないんですよね(BWBA期ではヒンドゥー教が少し触れられた程度)。それはそれとして、パーシーをはじめ機関車たちが人々を平等に考えているのが好きです。

確かにどちらか一方の宗派の人にとっては難しいところかもしれませんが、番組を観られるのは全ての人々だということをお忘れなく。個人的には全てひっくるめて"holiday"と称していた時代よりは良いんじゃないかと思います。

 

©︎Mattel

 AEGのクランキーは徐々に素晴らしいキャラクターになりつつあります。このエピソードのクランキーが本当に大好きです。

 

©︎Mattel

 プレゼントのおもちゃにトーマスではなくゴードンの形があるのは新しいですね。この世界線ではゴードンが一番人気なのかな?

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 類似点が数多くあり、ウィフの言うような"創造的"なエピソードとは言い難いですが、2台とも諦めずに感覚を頼りに配達を終わらせられたし、他のキャラクターがプレゼントを受け取ることも含めて心の温まる別の良いクリスマスエピソードとして気に入っています。お祝いをする人の中にはユダヤ教の存在も言及から確認できましたし。

 それにしても加工されたミーシャ・コントレラスの声が気になる…。

 

総合評価: 7/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:中身はお察し。

*2:ユダヤ教のお祭り