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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第47話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E47 『Thomas for a Day』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: トレイシー・ニコレッティ

内容: 一日トーマスのように青くなったパーシーは自分らしくある方法を学ぶ。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 NWRブルーで塗装されたパーシーが公式になりました!!

…などという冗談はさておき、事故で青いペンキをかぶったパーシーが、トーマスのようなナンバー・ワンの機関車になりきりながら、勇気を持って自身の困難に立ち向かおうとしてボロが出るお話です。

 なりきりを体験して自分は自分の良いところを見つけるという教訓では、映画『走れ! 世界のなかまたち』もそうですけど、オリジナル第14シリーズ『パーシーはパーシー』でサブタイトル通り同じキャラクターが同じことを学びましたね。それは小さくて気づかれないからゴードンのように威張り散らしていたら失敗したという内容で、数ある微妙な回が豊富に揃うニトロ期の中でも隠れた名作の一つだと私が考えている物です。

ということは、ラッキーベル問題と同じように私は今回のエピソードを批判するのでしょうか。

 いいえ。これはAEG、つまり別次元です。少なくとも、ラッキーベル回のように、その"良作"を蹴飛ばすような真似はしていませんし、何より独創的でおしゃれな演出のおかげで良いものを見た気分です。

 

©︎Mattel

 それが、フランチャイズ史上初・メガネを落としたウィフです。

…いや、まあ、自分の最推し・激推しキャラクターのレアな姿を拝められるだけでも十分キュンキュンしちゃうのは確かなんですが、AEGのウィフが、物知りで妙ちくりんな発明をするだけのキャラクターではなかったことが、本来のウィフ好きの私にとって何より嬉しいことなんです。

 ウィフは初登場のオリジナル第11シリーズ『エミリーとゴミあつめ』の時点から、不潔なだけで、働き者で、置き去りにされても貶されても怒らず*1一言も反論しない。単に鈍感なのかもしれませんが、エドワードに似て、好感を持ちやすいキャラクターとして描かれていました。だからこそ大好きなんです。

AEGのウィフもその性格の部分は共通していて、特にAEGでは、感情に流されず受け入れ、理性的に話し行動する穏やかな雰囲気の大人のキャラクターとして描かれているんですよね。現時点ではオリジナル同様怒ったり鋭い指摘やちゃちゃを入れる場面も無いですし。テスやファローナとフレデリコなどの対極にいるようなキャラクターです。

自然動物が好きな一面も可愛らしいですね。

 

 そして、従来のシリーズでは、窓から視認して運転する機関士がいることを前提にしているためか、メガネを紛失する、あるいは視力が低下するエピソードが存在しなかったんですよね。ジェームスが夜間にランプをつけずに視認できなくなる話*2はありましたけど。

AEGはより漫画的な描写が可能なため、今回は彼のメガネをなくすことにスポットライトを当てているんですね。そうすることで、唯一*3、すぐそばにいても青くなったパーシーをトーマスとしか認識できない立場のキャラクターになるわけです。

青いサドルタンク機関車を青いサイドタンク機関車に見間違えるという点でも、AEGの漫画的な描写が成功していると言えるでしょうが… そもそも現実には、主に作品に触れたことのない一般層に、トーマスとエドワードの区別どころかジェームスとの区別がつかない人もいますので、それはまた別の話かもしれません。

 

©︎Mattel

 親友のトーマスになりきって困難を楽しもうと試みるパーシーは、いずれボロが出るとはいえ、ゴードンの真似をすることよりも痛々しさがなくて良かったです。US版でトーマスの声を真似するのが個人的にツボでした。早く吹き替え版が観たい。

 道中でウィフも、それがパーシーであることに気づくんですが、それでも彼はクランブルの谷で自分を救ってくれたパーシーのことを信じていて、郵便配達の面でも尊敬しているし、余計なことを言わず、教訓を伝える場面がすごく好きです。そこが彼の理性的な部分なわけです。

「We all wanna be like those we admire. Now pretending is fun, But the bravest thing you can be is yourself.  (ぼくらはみんな憧れの人になりたいものだ。真似をするのも楽しい。でも一番勇敢なのは自分自身なんだ)」

「Just try to see yourself the way I do. I don't need my glasses to see who you really are. (ごらん。きみの本当の姿を見るのにメガネは必要ないんだ)」

なに? そのオシャレな言い回しは。

 

©︎Mattel

 挿入歌「Take a Closer Look」は、ここに辿り着くまでに本当は自分自身が勇敢なのだと気づかせる、カントリー調の、ウィフとパーシーのデュエット曲です。「あなたはあなた」にも似ている部分がありますが、心に残りやすいです。

 ウィフが歌うのもフランチャイズ上で初めてのことなんですよね。むしろなんで3DCG期に無かったんだ…? 貴重な河杉さんの歌声聴きたかったぞ!! うわあああああん!! (心の叫び)

 

 でも、ちょっと惜しいのが、ここまで来てソドー吊り橋を渡らず引き返しちゃうんだってところなんですよね。ウィフ自身がパーシーの"そのまんま"を受け入れているのが素晴らしいんですが、視聴者目線では、そこはクランブルの谷でウィフを助けた時みたいに、勇気を持って立ち向かい、成長してほしかったなと思いました。ウィフが道中で言及しているように、「The Mail Delivery Song」の歌詞に合わせてどんな天気でも郵便配達をしているという潜在的な勇敢さをパーシー自身がここで実践すれば、よりその教訓を強められたのではないかと思うんですよ

それは長編とかもっと大舞台で披露するつもりなのかな。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 ウィフの汽笛の音色も大きく変更されましたね。3DCG期のピーター・サムみたいな感じになりました。

©︎Mattel

 途中で車体番号と緑色のペンキが露見して、その場でパーシーだと気づくも、黙っていてあげるウィフがなんと優しいことか…。それをわかっている上で、真似をしながら自己卑下するパーシーに、彼の凄さを語る場面良すぎませんか。

決してトーマスのふりをしている彼をからかっているのではなく、それに付き合いながら、自分らしさを見出すまで見守っていてあげている叔父さんのような雰囲気が大好きです。

 

©︎Mattel

 実は今回もトーマスの出番は30秒前後のみです。従来シリーズのようにキャラクターそれぞれに焦点を当てるのは素晴らしいことです。でも、同じ色をした親友同士の対話はもっと観てみたかったなと思います。ショート動画とかでやらないかな?

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:GREAT

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 『走れ! 世界のなかまたち』のパーシー版とも言えますし、吊り橋を渡らず引き返したのは残念な点でしたが、道徳と紐付けた演出も唸るほど良かったですし、パーシーがどれほど親友を尊敬し、ウィフもどれだけパーシーを尊敬しているかが描写されたことにとても満足しています。完璧じゃないけど好きな話の一つで、全体的にはさほど悪くないと思います。特にウィフが歌う姿は必見です。早く吹き替え版が観たい。まだ声優わからないけど!

 個人の話になりますが、無事に、AEGのウィフも、AEGの中でブルーノに次ぐかそれ以上の最推しキャラクターになれてよかったです(笑)

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:そもそもそういうコンセプトの為か、一発屋のビリーと違って、怒った顔の模型さえ作られませんでした。

*2:第14シリーズ『くらやみとジェームス』

*3:最後のニアを除く