※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S2 E44 『Seeking a Safer Sodor』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: ピーター・ガフニー
内容: 衝突しそうになったパーシーとカナは、安全機関車のエミリーの助けを借りながらとんでもなく極端な対策をする。
【このエピソードについて】
このエピソードのあらすじを最初に読んだ時、とうとうAEGのエミリーに主役回が与えられたのだと早合点してしまいましたが、実際にはそうではありませんでした。まあでもオリジナル第24シリーズでエミリーが"安全機関車"になって、それが定着した初めてのAEGのエピソードとも言えるかもしれません。
この回の主役はパーシーです。冒頭からはカナなのですが、思ってたよりカナの出番はありませんでした。なんでや。
私はキャラクターが極端にバカな行動に出るエピソード自体があまり好きではありませんが、少なくとも私がこのパーシーぐらいの年齢*1の時は考え方が極端で、安全対策のつもりが、やらなくていいことまでやってしまった経験が実際にあって、ちょっぴり共感意識を抱きました。よって完全に否定はしません。
また、パーシーが過剰に神経質になるという点では、あるはずもないことを妄想して勝手にパニックになる、オリジナル第23シリーズ『しんぱいしすぎのパーシー』よりはまだ少しマシかもしれません。
周囲に注意を払うという道徳も、安全対策で極端な行動に出るのも、オリジナル第14シリーズ『ヘンリーはあんぜんだいいち』に似ている部分がありますが、物語は安全への認識と、標識をテーマに視野を置いています。「じこはおこるさ」の歌詞にあるように、標識はいくつもあるのに注意を払わない人って多いですよね。
道徳はトーマスによって伝えられますが、上のスクリーンショットでの場面が全てですね。どんなに大量に標識を設置したところで見なければ意味が無いし、複雑すぎる信号を設ければ覚えるのも認識するのも一苦労で混乱も発生する危険性があります。
正直な話、メッセージを伝える役割は、トーマスよりも、あるいはトーマスと一緒に最後までエミリーにやってほしかったとは思います。誰よりもパーシーに理解があって、今回では中立的な立場からパーシーを見守っているので理にかなっていますが、エミリーを安全機関車として活躍させる絶好の機会を逃した気がしました。少なくとも信号の一件では指摘しましたけど、ただでさえAEGの初期からいるメンバーでも影が薄いので、ゴードンやウィフなど他の大人機関車よろしくもっと画面に映る時間を長くしてほしいところです。
エミリーといえば、AEGでの扱いが、トップハム・ハット卿を乗せるサルーン機関車というだけでなかったのは嬉しかったです。ついでに言うと、彼女も彼女で、島で最も(滞在するには)危険なクランブル・キャニオンの線路の枕木を一本ずつ安全か確かめるなど結構極端な部分が描かれましたね。こういう個性的な部分もっとほしいです。
固有名を持たない顔つきタンク車は従来のシリーズにもいた*2のでこれを既存キャラクターというべきかはわかりませんが、唐突に新キャラクターが登場して困惑を隠せません(笑) ここまで書籍にも玩具にも明かされなかったので、本当に情報を隠すのが上手いと思いました。宣伝しなさすぎな気もしますが。
2台のTroublesome Tankers、訳すといじわるタンク車にでもなるんですかね? 現段階ではTroublesomeな様子はなく、口が酸っぱくて、笑い方が下品で、ただ感じが悪いだけで、贔屓せず正論を言うキャラクターとして描かれていますが…、彼らがどういうキャラクターなのかは次回で判明します。
声優は紫色の女性の方がUS版ではナオミ・スニーカス(Naomi Snieckus)、UK版がジェシカ・キャロル。紺色の男性の方がUS版ではマット・バラム(Matt Baram)、UK版がガイ・ハリス。面白いことに、ナオミ・スニーカスとマット・バラムは夫婦でこのタンク車を演じられているんですよね。2015年に夫婦で「Baram & Snieckus: You and Me」という番組を制作されたこともあります。
【チェックポイント】
パーシーが作ったであろう「牛と同じスピードではしれ」という標識に対するジェームスの反応は面白かったです。
ヨンバオはいつの間にソドー島を再び訪れたんですかね。どうせしれっと登場するだろうとは考えましたけどまさか本当にそうするとは。タンク車を運んだと思ったらビーチボールの貨車を繋いで引き返してくるジェームスも含めてあまりにもランダムな登場なのでエドワードとヘンリーの名前そろそろ挙げても良くないですか?
全体的な面白さ:☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆☆
【最終的な感想】
事故を起こさないために注意を払うという安全対策のエピソードは本当にシリーズ中でいくつあってもいいと思います。公共機関の鉄道車両を取り扱っている作品ですし、年齢問わず頭に入れておくべきことです。ただ人によってはパーシーの描き方は当たり外れがありそうだなと思いました。私が子どもの頃に同じバカな行動をしていなかったらきっと評価を下げていたことでしょう(笑)
冗談はさておき、まだ出番がそう多くはないとはいえ、エミリーに個性が与えられたのは素直に嬉しかったです。今後エミリーの"安全委員会"のエピソードがあったらいいなと思います。あとトーマスが伝えているメッセージは素直に好きです。
総合評価: 6/10
※この記事に添付したスクリーンショットの著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。
*1:AEGのトーマスたち子ども機関車は8歳を想定していることが明らかになっています。
*2:特に紫色の女性タンク車という物は『Go!Go! 地球まるごとアドベンチャー』に、イタズラでもイジワルでも無いけど登場していました